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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『読書会という幸福』向井和美著~

「わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは、本があったから、そして読書会があったからだと言っていいかもしれない」。
衝撃的な帯POPのメッセージ。
30年近くも読書会に参加された著者の「想いの記録」と感じた。
読書会は「魂の交流の場」。そう表現されている。
「本について語りながら、実のところはわたしたち自身の人生を語り合ってきたのではないかと思う」というメッセージは、私自身もある読書会に参加している身として感じ入るところは多い。
本を通して自分を見つめるとともに、参加者とのつながりを感じながら本について語り合う。やや大げさかもしれないが、そこに言葉にいいあらわすことのできない充実した人生の一コマを感じる。(やや大げさかもしれないが)
 
著者はプロの翻訳家ということもあって、文章がとてもきれいで読みやすかった。
しかし、著者自身も翻訳学校で翻訳の仕方や文章の書き方を学んだそうだ。
著書にはそこで教わった内容が書かれているが、最近なにかと「ものを書く」シーンが増えてきた自分にとってとても参考になる。
①  読者のストレスを少しでも減らすべし
その文が肯定なのか否定なのか。早めに表現して、一度にすんなり読めるようにする。
②  目にも耳にも美しい文章を書くべし
「・・・・ではないのである」という回りくどい文、「ないわけではない」という二重否定。また「そっと」や「やった」などの促音便が一行の中にふたつある。これらは「美しくない」文章。
③  やまとことばを使うべし
これは基本の「き」。
④  代名詞はなるべく使わず訳すべし
そのためには視点(誰の行為か)を統一するとよいとのこと。
⑤  自分が読みたいと思う文章を書く
 
ん~、どれも表現力に乏しい自分には耳の痛い話。
特に「⑤自分が読みたいと思う文章を書く」は、これまでまったく考えもしなかったこと。とても役立つメッセージである。
読書会に限らず、自分自身を俯瞰する大切さを改めて学ぶことができた。

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