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高次脳機能障害「私」のマイクロツーリズム~「私」のトリセツ 食事編その①~

このコーナーは重度高次脳機能障害当事者(重い知的障害、ADL全般の障害、特に失語症で思うように意思表示できない)の家内(=「私」)の気持ちを、夫である私(=たまさん)が推測し、家内の視点に立ち家内の言葉で書いたものです。
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このイラスト・・・・・・。
板橋のあるPTさん(イラストレーターでもある?)に、「私」の状態をたまさんが伝え、イメージしていただいたものがベースになっている。
左側の「私」。
こんな感じだそうだ。ん~、ちょっと反省。いや、かなりイメージ悪いね。
何とか右側の「私」になりたいものだ。

もっとも、たまさんはそのためにいろいろ創意工夫している。それは日々実感している。
その創意工夫を、これから時々「『私』のトリセツ」としてご案内してみたい。
ただ、このトリセツは「私」だけに通じるもので、決して汎用性があるわけではない。なんせ、思いつき100%のたまさんが考えること。
いわゆる世間のルールからかけ離れていることも多いと思う。

まずは「食事編 その①」。
一時、「私」の体重が大きく減ったことがあった。
そもそも「私」が受傷したのも、てんかんの薬があわなくて「食欲不振→体重減&体力減」となり、重積発作を引き起こしたことがひとつの原因。
だから、たまさんは「私」の体重をものすごく気にしている。
一喜一憂とはこのことをいうのかな。
体重の増減でたまさんの表情がまったく違う。けっこう気の小さい人だから、すぐ顔に出る。

前にも書いたように、ここ半年余り、嚥下の具合がよろしくない。
米粒大の塊でも神経質な「私」は異常反応する。大きく咳き込み、ゲボ(嘔吐)を繰り返す。
看護師、ST、ヘルパーさんにもご協力いただきながら、いろいろな対策を立てる。うまくいかない。焦るたまさん。力むたまさん。

この「たまさんの焦りや力み」が「私」にはストレスになる。
最近になって、たまさんもようやく気が付いたようだ。
たまさんの中では「食事は30分以内で終わらせる。それができない場合は認知症を疑うべき」と、過去にある専門家から言われたことが強く頭に残っていたようだ。
これもいわゆる「認知の歪み」になるのかもしれない。

ある時から食事の考え方が変わる。
「栄養補給の場」ではなく「コミュニケーションの場」として食事を考えるようになった。だから時間は気にしない。それよりもテレビをみながら、たまさんが問いかける。「私」の機嫌がいい時はそれに答えながら、ゆっくり食べる。
よくよく考えてみたら、仕事仕事で、たまさんとゆっくり食事を楽しんだ記憶がほとんどない。
だから、ひとつのいいきっかけと、「私」も前向きに考えている。
でも、テレビをみながら、話をしながらの食事は嚥下にはよくないらしい。
これはあくまで「私」たちの場合に限ったやり方。
これが「私」にはしっくりきている。
当然、食事におけるこまかな注意点はある。
その辺も含めて、食事に関する「『私』のトリセツ」としている。
(一応、下記に示します)

結果的に、体重も増加傾向に。たまさんの表情が柔らかくなっている

<<「私」のトリセツ 食事編その①>>
コンセプト:食事は「コミュニケーションの場」
注意事項:
1)1スプーンは少量で
2)コーティングを考える(素材やメニュー)
3)姿勢は「背筋を伸ばして、あごを引く(うなづくように)」
4)急がせない。時間を気にしない
5)無理して食べさせない
    

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