相手を困らせない”質問”ができていますか?
「え?結局、何が聞きたいの?」と質問の内容が意味不明だったり、「それって私に依頼されても困るんだけど・・・」といった問い合わせ先を間違っていたり、「調べたらわかるのに・・・」と思考停止になっている質問が飛んできたりします。
今回は、質問のポイントを整理していってみたいと思います。
■質問で失敗するのには大きく2つのタイプの人がいる
質問がうまくできない人には大きく2タイプの人がいるように思います。
●相手のことを全く配慮していないタイプ
目の前の仕事に一杯一杯になっていたり、自分の都合にしか意識がいっていなかったりすると、相手の都合を全く考慮できなくなってしまいます。そのときには、下記のような失敗が発生している傾向にあります。
・質問の内容が意味不明
・自分で解決できることにも関わらず、考えることから相手に任せっぱなしになっている
・質問する相手を間違っている(場合によっては、質問しやすい人に聞いている)
このタイプは、相手の状況に意識が向いていないので、一緒に仕事をしている人がどんな仕事をしているのか?を具体的に知っていくなど、相手のことを考える力を身につける必要があります。
日頃から相手のことを考える思考の習慣が足りていないことが多いので、質問のときだけではなく、相手に何かを伝えるときに、自分自身が伝えた内容で「相手がどんな気持ちになるのか?」ということを考えていくと、相手のことを考慮できるようになるための訓練になります。本気でこの訓練をする場合には、常に息をしているのと同じレベルで、常に相手のことを考えるようにします。そうすると、一日の脳みその疲れレベルは半端ない状態になります。逆にいえば、それぐらい考えていないと身につかないとも言えます。
●相手のことを気にしすぎて質問できないタイプ
今度は逆に、相手のことの都合を気にしすぎたり、もしくは、相手に怒られることを恐れて質問ができないタイプです。
一見、相手のことを気遣っているため問題ないように思いますが、仕事になれていない新人時代には下記のような失敗を起こしがちです。
・質問をするまでにすごく時間がかかってしまう
・問題を一人で抱えてしまう
・わからないことをわからないままにしてしまう
会社としては、問題を一人で抱えて、後で大きい問題になる方が損失になるので、質問をされる側にとっても質問をしてもらったほうがいいにも関わらず、このタイプは「質問をするほうが迷惑になる」「質問をする怒られる」と間違った認識をしていることが多いです。
一人で抱え込んでしまっている時間が有用な時間になっているのか?や質問をせず、問題をそのままにすることによる周囲への損失を振り返ってみるのがいいかもしれません。また、「叱られたらそのときは謝ろう!」ぐらいの気持ちで、勇気を持って質問の頻度を増やしていくのも一つの方法です。
■質問の仕方を整理してみました!
質問は日常的にするコミュニケーションなので、なんとなく思いつくがまましていることが多いですが、”なんとなく思いつくがまま”することで、相手の時間を必要以上にとってしまっていることは少なくありません。質問の仕方について少し整理をしてみました。
(1)調べれば分かることではないか?
社内イントラの情報やGoogleで検索でのリサーチ等で調べたり探してみると、知りたいことが出てくることも少なくありません。
「あのメールに書いてあったことを質問してしまった」とか、「社内のwikiにあったのに、質問をしてしまった」もしくは、Googleですぐに出てくるものを質問してしまった経験はありませんか?
わからないことがあると、質問をするという誘惑にかられてしまいますが、ぐっと一歩立ち止まって、すでに自分の手元に情報がないか探すところからスタート。
一方で、相手のことを気にしすぎて質問できないタイプの方や調べるのに没頭をしてしまう方は、調べるのに何時間も費やしてしまうこともあります。そういうタイプの方は10〜30分程度で時間を区切って調べるのがおすすめです。
(2)聞く相手が間違っていないか?
「とりあえず、この人に聞けばいいや」とか、「この人は聞きやすいから聞いてみよう!」で質問する相手を選んでしまっていませんか?
間違った相手に聞いても答えが返ってこないだけではなく、相手が集中している時間を邪魔してしまったり、時間を奪ってしまったりしてしまいます。
相手に質問を投げる前に、”本当にこの人に質問して、答えを持っているのか?”を考えてみる!
誰に聞いたらいいかわからないときもあります。その時はとりあえず誰かに質問をするのではなく、自分自身の上司に、誰に聞いたらいいのかを教えてもらうのも一つの方法です。
(3)聞きたいことが明確で、わかりやすい質問文になっているか?
わからないという思いや疑問に思った経緯などがつらつら書かれていて、読み進めていくとやっと質問したいことが書かれており、「なるほど、質問がしたかったのか!」と、用件(=質問したい)が文章の最後でやっとわかるという超長文の質問文に出会ったこともあります。
国語の授業では「起承転結」で学びますが、ビジネスでは「結」から話します。ですので、質問の連絡をするときには、まずは”相手に何を聞きたいのか?”や”何をしてほしいのか?”というところからスタートしましょう。大体、1〜3行程度で収まるかと思います。
超長文とは逆に、短すぎて意図がさっぱり伝わらない質問に出会ったこともあります。その質問は、「相手がどこまでの情報を知っているのか?」ということを配慮されておらず、「自分が知っていることは当然相手も知っている」もしくは「自分が考えていることは相手も考えている」という前提になっているため、意図が伝わらない状態になっているのです。
「結」である質問文を書いた後は、相手が質問に答えるために相手が”知らない”そして”必要な”情報を書きます。例えば、”自分自身が何をしたくて、なぜ、この質問をしているのか?”などです。
よっぽどの説明が必要なケースを除いて、全体として5〜8行程度で文章は収まるかと思います。
質問する文章が書けたら、自分自身が質問に答える立場になったつもりになって、文章を読み返してみます。相手が答えるために必要な情報が揃っているか?だけではなく、失礼な言い回しになっていないか?というところも見直せます。
(4)適切な連絡方法か?
社内には、口頭・社内チャットツール・メールなど様々な連絡方法があります。質問をするときに、一番手軽で思いついたもので連絡をしていませんか?
複数のツールがある場合には、その会社ごとによって使い分けのルールがあるので、それを考慮してどの方法で連絡するのかを選びます。
・口頭
口頭は、相手の手を絶対止めてしまう手法のため、一番緊急度が高いときに使います。
・Slackなどの社内チャットツール
相手にとって、口頭よりは読むタイミングを選べるけれども、通知音などで相手の手を止めてしまう可能性がある手法です。口頭の次に緊急度が高いときに使います。ツールによっては長文が読みづらいものもあるので、文章の量は工夫が必要です。
・メール
メールはリアルタイムで見ていないので、緊急度が低いもののときに使います。また、長文も見やすいので、長文での説明が必要な場合にも活用をします。更に、口頭やSlackに比べて、ログが残しやすいので、振り返って確認したい内容でも有効です。
長文でも緊急度が高い場合には、メールで質問を送った上で、Slackなどの社内チャットツールで「●●の件で質問があり、メールをしたので見てください」と連絡をするなどの組み合わせの工夫もできます。
再掲になりますが、この口頭・社内のチャットツール・メールの使い分けは一例なので、自分自身が所属する会社・団体のツールの使い分けを考慮することは大切です。
■最後に・・・
「質問」一つをとっても、奥深いコミュニケーションがあると思っています。また、今回は、質問をする側に注目して書きましたが、質問を受ける側にも大切な工夫があると思います。それは、心理的安全性です。心理的安全性というと堅苦しい言葉になってしまいますが、新入社員たちが安心して質問ができる環境を作ることです。
また、相手に対して安心感を持っておくことで、間違った質問の仕方をしていてフィードバックをしたときに、フィードバックをした内容が相手により受け入れてもらいやすくなります。
「質問」もコミュニケーションの一つで、一方的なものではないので、相互に歩み寄りがされていくといいなぁと思います。
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