見出し画像

卓球ラケット工場で働く私たちが多摩の森で学んだこと#3 多摩の森と私たちのこれから

こんにちは。バタフライの広報担当です。

Part1、Part2とお届けしてきた「多摩の森で学んだこと」は今回が最終章となります。

今回は多摩の森で私たちが学んだことを、バタフライが特に大切にする3つの価値観の1つ「Wonder」の活動と、どうつながっているのか深掘りしていきます。

この森林エコツアーを通して、林業の大変さや置かれている現状を知り、私たちは次のステップとして、どのようなアクションを起こしたのか。引き続き、イベントを企画したラケット生産部ラケット加工課ブレード加工係の施 宇哲(し うてつ)さんのインタビューをお届けします。

\過去記事はこちらから!/

「Wonder」 常識からの脱却

広報 森林エコツアーを終えて、次にどのようなステップを描きましたか?

 今回の「森林エコツアー」は、会社の70周年を機にブランドを再定義しようという取り組みの中で、バタフライが特に大切にする3つの価値観から、ラケット生産部が「Wonder」の活動をスタートしたことが出発点です。

繰り返しになりますが、「Wonder」の定義が「驚きのある発想と行動」。つまり常識から脱却して、常識に疑いを持って、私たちはどんな社会貢献ができるか、卓球を通じて世界に幸せを届けていくことができるか、ということになります。

広報 そこで森林エコツアーを企画しましたね。

 まずは、前例や常識にとらわれない発想をする前に「常識を知る」重要性を感じ、「常識」の対義語である「ありがたい(ありがたみ)」を知るという発想から、森林エコツアーを企画しました。そして森林エコツアーを通して、林業が置かれる現状を知ることができました。

林業が方の抱える「賃金が低い」「人手不足」「高齢化」「コスト高」などの課題、「だから続けられない」という実情を私たちは知った。だからこそ、「大変だな」だけで終わらせるのではなく、バタフライとしてどうそれらの社会課題にアプローチすることで社会貢献をし、卓球を通じてどんな幸せを届けられるかを考えていくこと、それが次のステップだと考えました。

車が入ることのできない山道では、重機を運ぶのも、切り出した木材を運搬するのもすべて人手による。労働力不足は深刻化していきそうだ

バタフライにできることは何だろう?

広報 林業界にとって「バタフライにできることは何か」という部分ですね。

 そうです。まず、国産の木材を使用する企業が少ない理由の1つに価格が高い点が挙げられるそうです。一般的には、オーストラリア産は乾燥しているから使いやすい、海外産の方が安いなどの声が多いと伺っています。

そしてバタフライの視点では、当社では製品を作る上でなるべく節などのないきれいな木材を求めていますが、日本産は節が大きかったり、枝打ちの跡があったりする点がネックとなっています。

広報 バタフライの木材選定という点では難しさもありますね。

 例えばですが、国産シリーズが発売できて、その製品をお客さまに応援をしていただけたら、林業の方にとってもすごくプラスになるのではという案もあります。今回、その第一歩として、多摩産の木材や枝を持ち帰り、加工をしてグリップを作ってみました。

広報 グリップを見ましたが、すごく素敵でした。

 グリップ、自然な感じですごくいいですよね。家具とかだと節が入った方が価値が高いこともあるので、ラケットでも同様に受け入れられたら、国産材木をより仕入れることも可能になるのでは。このほかにも、何か提案ができたらいいなと考えています。

多摩産材の枝打ちされた枝で試作したグリップ。無垢の木のさわり心地がとてもよい一本。

「ありがたみ」の先にあるもの

 今回の森林エコツアーを担当してくださった方が、講座や見学会、小中学校のエコツアーなどを積極的に展開されているので、そこで私たちの作った製品をお見せすることができたら、木材を加工すると「こういう製品になる」というアピールになる。そして、林業の方にとっても、苦労して切った木が「こういう製品になるんだ」と知っていただける機会にもなるのでは、と思っています。

ユーザーの方は、日々使っているものに対して「誰が開発したんだろう」「誰が生産しているんだろう」「なんでこんなにたくさんの人が使っているんだろう」という部分に目を向ける機会は少ないですよね。

広報 そうですね。でも、今回のお話を通してメーカーである私たちはその部分をしっかりと理解していたいなと感じました。

 今回の森林エコツアーを通して、「Wonder」の活動の大前提の1つである、「卓球を通じて、世界をもっと幸せにする」という意味でも、林業の方のお仕事は卓球に関わる大切な存在と言えます。その苦労を知らずに、本当の意味で幸せをお届けすることは困難なのではないでしょうか。

私たちのお届けする製品の裏にある苦労、大変さを知った上で「材料をていねい扱おう」という気持ちを持つことで、一層磨かれた製品になるのではないかと思います。

木材買い付けを担当するメンバーにとってはなじみのある材木市場の訪問もほとんどのラケット生産部スタッフにとっては初めての経験だった

―――――――――――――

全3回にわたりお届けした「卓球ラケット工場で働く私たちが多摩の森で学んだこと」はいかがでしたでしょうか。

林業の方が抱えられている課題はもちろん、私たちが日々「当たり前」と思っていることもとても「ありがたみ」のあること。

その「ありがたみ」を知る、感じることで、目の前にある製品への思いもさらに深まり、一層磨かれた製品としてお届けできる。そこが、「卓球を通じて、世界をもっと幸せにする」ことにも繋がっていくのではないでしょうか。

私たちは、これからも「多摩の森で学んだこと」を大切にし、活動を続けていきます。


ラケット生産部を中心として、エコツアーに参加したメンバー