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サイゼリヤという贅沢

 午後3時。品川でとある企業の1次面接を終え、大学の入学式以来ほぼ着ることのなかったスーツにネクタイという服装でサイゼリヤにいる。(大学入学以降で唯一スーツを使ったのは、大学入って最初に受けたすき家バイトの面接で、落ちた)。僕は第一印象の天才を自負しているので、正直めちゃめちゃ好印象を与えた自信がある。高校までは、すぐにガチガチになって、話しながら自分でも何言ってるか分かんなくなってたのに、ちょっと成長を感じられて嬉しい。自分の社会性、対人関係力の向上に少し誇らしくなりながら、ライスと若鶏のディアボラ風を食べた。最近家で鶏むね肉ばかり食っているから、久しぶりに食べた鶏もも肉には舌鼓を打たざるを得なかった。少しゆっくりするためにセットのドリンクバーも頼んで850円。高い。高すぎる。
そもそも僕は430円の牛丼並に対して「高けえ、、、腹減ったけどしょうがない、早く家に帰って米炊いてTKG食べよ」と思う人間だ。面接終わりというささやかなイベントの後でなければ、サイゼリヤのようなイタリアかぶれの上層中流階級御用達のレストランなんて行かないだろう。
僕が1度の食事に1000円出すことを許しているのは、量も味も素晴らしいラーメンと、「あー人生終わったー」ってなった時のコンビニでの爆買い爆食いのみである。

 ごく一部の富裕層を除けば、世界中ほぼ全ての人が、それぞれの価値観に則って食費の節約法を考える。
僕も毎日自炊で、ご飯と卵中心の食事を摂取し、昼はおにぎり持参、1.5Lの水筒を持ち歩く。外で勉強や作業をする時はマックでドリンクS120円で3時間以上居座るし、大盛り、おかわり無料なら必ず量を増やす。
 
 食事にオシャレさを求めない、値段と味的な質を第一に考える僕のスタイル。正直気に入っているし、庶民派で、対面に拘らない自分に酔ってすらいる。僕は20代の間に、レールに乗るのがお上手なエリートコースの人間どもを叩き上げて身につけた能力と野心で喰い殺し、影響力もそこそこの富も得ることになるけど、そうなっても松屋でトッピングなしの牛丼頼んでうめーって心から言えるような人間でありたい。
 勿論、普段会えない友達と会うときは値段のリミッターは少し外すし、マッチングアプリで出会った子にカフェ代おごってあげて、1時間の滞在で2人で3000円かかって「なめんな」と思ったけど、他者が介在する食事の機会にお金を使う価値は当然ある。その代わり僕と食事のタイマン、一人飯に関しては節約を妥協しないというのもまた当然のことである。1人だけで得られる食事の歓びというのは限界があるからだ。

 もともと僕は、食事から無限の悦楽を得ようとしていた人間である。
1日頑張った後は、ジャンクフード、ラーメン、甘いケーキ、そういう重めな食事をとるのは致し方ないという考えをしていた。その瞬間に一番食べたいものを爆食いしてストレスを発散する。血糖値を上げてそのまま泥のように眠る。腹が、食欲が完璧に満たされるまで食材という悦楽を摂取し続ける。それが僕ら現代人に許された特権であり、神から与えられた呪いでさえあると思っていた。勿論体に良いわけもない。将来的に肥満のリスクも上がる。しかし、父親も一日の終わりはビール缶を何本も空けてグダグダと飲んでいる。アルコールが飯に変わっただけで、父親譲りの僕の気質なのだと思っていた。1日の終わりくらい、快楽に負けて何が悪いんだと。

 
  …でもやっぱ、そういった衝動的な欲望の過剰摂取はしない方がいいに決まっているんですよね。(なぜかここから敬語)
「ストレス脳」という本を読んで、今年1番の衝撃を受けたというか、冗談抜きで「どう生きれば苦痛を感じ無いのか」に対しての1つの科学的な解答が書いてあったんだけど、その解答とは、極端に言うと「快楽に逃げるな、自ら苦痛を求めていけ」なのです。(少し僕の解釈も入っています)

  薬物に手を出すと、
1摂取した直後に僅かの間だけ快楽を感じ、
2その後それ以上の苦痛が始まって、
3それから逃れるために、さらに多量の薬物に手を伸ばす 
という悪循環で人生が破滅していくサイクルは皆さんご存じだと思います。なぜかというと、脳は「苦痛と快楽」を脳の同じ箇所で処理しており、脳はこの二つのバランスをとるため、快楽を感じると強制的に苦痛を感じやすくし、より強度が高く、長時間の苦痛を味わわせるようにするのです。
本の中ではシーソーの例えが用いられていました。快楽側にシーソーが傾くと、脳は苦痛側に重りを置いて、より深く、長時間、苦痛側にシーソーを傾けるのだと。そして、感じた快楽が大きければ大きいほど、苦痛側に置かれる重りも大きくなるのだと。
つまり、苦痛が嫌ならその逆をすればいいのです。「自ら苦痛を与えて、脳に快楽側へ重りを乗せてもらう」
例えば、ジムでハードワークをして、心身ともに負荷を掛ける。休日でも惰眠を謳歌せず、完璧な規則正しい生活をする。いつも適当にやっている仕事やバイトも手を抜かずに真剣にやる。そうやって、自らを楽な方向に持っていかず、あえて高いハードルを自分に課し続ける。ジャンクフードやポルノ、YouTubeなどの快楽コンテンツを制限する。こうすることによって、結局は質が良く持続的な快楽状態(気分爽快で心地いい)と、高い自己評価を得ることになって、結果的に苦痛を感じにくくなるのです。
ジョージなどの勢力が唱えてる、「(主に男は)ジムで体鍛えて、ポルノは見ずに常に高い目標と規律を自分に課し続けろ」っていう教えは、実は男女関係なく、科学的に合理性のある「幸福に生きるための方法」でもあるとさえ言えます。

 …サイゼリヤが高いの話しからいきなり何のこっちゃになったが、「ストレス脳」は本当に目から鱗で、僕はすぐに書いてあることを実践し始めて、今、精神面も実務面も本当にいい効果が現れているから、自堕落で、自制心が弱いことに悩んでいる人はぜひ読んでみてほしい。
甘党、酒タバコ好き、休日ほんとは充実させたいのに実際は家でゴロゴロ…みたいな人にこそ刺さる本であると思う。

アフィリエイトでも何でも無いけど、本当に素晴らしい本だと思うからオススメしとく。

 高2の時に、サイゼで部活の友達と、面白そうだからという理由でエスカルゴを食べた。今もレギュラーメニューとして残っていて、少し懐かしい気持ちになって頼もうとしたけど、別に1人の時に頼むもんでも無いなと思って、頼まなかった。友達とサイゼに行く時は、エスカルゴをみんなで食べたい。





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