「まんざら」の語源について
否定を伴う気になる御三家といえば、以下であります。
1位 のっぴきならない
2位 やぶさかでもない
3位 まんざらでもない
次点 ぞっとしない、全然ない
のっぴき=退き引きの促音化ですかね。のっぴきならないは、退くことも、引くこともできないどうにもならないってニュアンスで使われます。
やぶさか=吝かです。日常あまり見ない漢字ですが、小説なんかで「吝嗇(りんしょく)」って熟語をたまに見ますね。けちってことです。倹約家だと節度を守って生活してそうな人のニュアンスですが、吝嗇家だと、けちだしちょっとネガティブなニュアンスでしょうか。この辺踏まえて、やぶさかではないは、けちじゃない・物惜しみしないってことなので、転じて、前向きだぜ!って意味合いで使われます。おくゆかしや。みんな大好き文化庁解説はこちら。漢検のサイトもわかりやすい。
そこにきて「まんざら」であります。
語源不明らしいんですよね。そして「満更」の漢字はあて字と。上記だと1600年代後半からちらほらあるっぽいので、すくなくとも江戸から使われていたと。
江戸か…。
「ざらにある」ってありふれているって意味の言い回しがありまして。「ざら」は一文銭から来ているって。
一つの仮説として、「『真銭』でもない」思いっきりつまらない一文銭みたいなものではないというところから、「まざらでもない」は価値のあるもの、必要なもの、本気である、乗り気である、みたいな意味合いになったって文脈ではいかがでしょう。
「まざらでもない」これが撥音化して「まんざらでもない」と。
まんざらでもない
ちゃちゃっと調べても通説、俗説載ってなかったので、仮説を組み立ててみました。言語学者さんに聞いてみたいところ。
ちなみに…
全然のあとに肯定がくる「全然OK」「全然大丈夫」って変じゃん!と突っかかってる言説がたまにありますが、芥川龍之介や夏目漱石も肯定的表現と共に全然を使っていたらしいですよ。言葉の広がりや興味深さを考えると、むしろ全然OKで受け入れるのが妥当だと思いますけどね。使いどころは注意すれど。
良くもわからず現代のマナーやらなにやら、知った知識を振り回して否定し倒すなんて、ぞっとしません。
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