玉坂

文章が誰かのささえになったり,勇気となったり,慰めとなったりしたらいいなぁと思って書きます。 日中はブラックコーヒー。 制約と誓約によって更に強くなるんですってば。

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01.バーの馴染みにもどるには

「で,嫁が家を出て行ったのです」 ボニーバタフライに来るのは1年ぶりだった。 サラリーマンになって,半年ほどでこの店に来るようになって,あしげく5年ほど通った職場近くのバー。結婚してからぱたりと来なくなった。それでここに来るのは1年ぶり。 カウンターに8席あって,4人掛けのテーブルが1,2,3,4と5つある。あと,6人くらい座れる半個室的なテーブルが2つ。壁際にはダーツ台が2つ。お客さんもそこそこ入っていて,割と繁盛している大きなバーである。 ひさびさに訪れる,かつて

    • ネタのための「閾値」越え

      就活の時、資格は取るべきか否か、みたいな話題ってあがりませんでしたかね。 わたしを取り巻く当時の環境は、中の下から中の中、あるいはもう少し上あたりを背伸びしてうろつく学力レベル。すなわち関東で言うならばGMARCHに届かず、関西で言うならば関関同立からこぼれ落ちる類の烏合の内でした。 持てるべく学歴という武器は心もとなく。 モラトリアムで得た経験はおよそキャバクラバイトで獲得した黒服のふるまいと、いかにして授業に出席せずして単位を獲得するかという要領の良さばかりであり、

      • ビジュアル系的な「歌詞」の弊害

        とてつもない偏見からはじまる、身勝手な言いがかりであることは先に断りを入れておきたい。 書き手自身。 はじめてかっこいいと思った曲がB'zの「Blowin'」で、はじめて買ったCDがサザンオールスターズの「エロティカセブン」である。 その後、思春期にCDTVで流れたLUNA SEAは「ROSIER」のPVに心つかまれて。 書き手の世代が知れるのは不本意ながらやむを得ない。大義のための犠牲である。 MALICE MIZER、SHAZNA、FANATIC CRISIS、L

        • 「自虐風」自慢

          結論から言うと博愛の精神が足らんかったのである。 自虐風自慢ってなんだよそれ、という方はgoogle先生よろしくその辺の記事をいくつかみつくろって読んでいただくと良いのですが、ありていに言うと、自虐に見せかけた自慢である。 読んで字のごとく。 だいたいこういう文字面をトピックスにあげつらう時、それがいつごろから使われはじめたものなのかを追跡する。Win98がではじめてインターネットが世に広まった1998年から10年ほどに期間を絞って、検索、と。 何故か期間縛りを乗り越

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        記事

          「セカンドシーズン」は悲しい

          深夜にビールでも飲みながら、かつて好きだったバンドの曲をyoutubeなんかで検索して。少し聴いて、またほかのバンドの曲を検索して、聴いてすぐにまた他のに換えて。 ずいぶん前の曲だけれど、頭の中では鮮明で。CDなんてもう疾うに手元にないけれど、こういう夜にしばしば聞いているもんだから、お気に入りが長らくそばにいて、過去と共に生活の一部にある感じ。なつかしさというよりも、もはや自分の中にある定番はかつてから今に、絶えずに続いている。クラウドの先にあの頃が残り続けている様は、思

          「セカンドシーズン」は悲しい

          「心配」なのはあなたのこと忘れそうなこと

          ふとした時に頭をよぎる、風景やらシーンやら、表情やら投げかけられる言葉やら、そういう思い出みたいなものがそこかしこにありまして。 上記はそういう類の、ひとつ。心くすぐる歌詞であります。 かつてGO!GO!7188というバンドがありまして、当時学生時代、いかような手段であったか定かじゃありませんが、友人からmp3だったかなんだったかのデータを、個人利用の範囲でなんらか聞かせて貰ったんだとぼんやりと。 「かつて」とはどれほど遡った以前なのかとGoogleを叩くと、なんと20年

          「心配」なのはあなたのこと忘れそうなこと

          「初心」にかえる

          毎日投稿しようと決めてからちょうど1年。 当初、書こう書こうと思っていた小説の題材があって、書きはじめたものの、なかなか筆が重くって、とは言え、何も書かないってのもなんだか怠惰な気がしたので、小説が進まなくても、モチベーションキープのために、なんか、書こうと。 なんか書いてれば小説の方も書きたくなるだろうって思うていたけれど、全くそんなことはなく。 むしろ、なんか書こうという、いわゆる手段の方が目的化してきて、小説の方は進捗が3月初頭にぱったり止まって5話まで。なんかの

          「初心」にかえる

          「不快な解釈」を選択する権利

          このやり取りで、Aは馬鹿にされていると感じ、Bに見下されていると解釈した。また、知人がこのように話していたのを聞いたことがある。 Dは割と強めに怒ってたらしい。 少しくらいの皮肉が含まれていればまだしも、Bにも、Cにも悪気は微塵もない。ゼロである。しかしながら、受け手はそれを自身への攻撃であると感じ、極端に不快な方向へ解釈する。 コンプレックスが強いのか、想像力に欠くのか、触るものみな傷つけてララバイしたいのか、はたまた、そういう自身にとって不快な解釈をすることを無意識

          「不快な解釈」を選択する権利

          「勇者」は半分でも断った

          タイには自動車メーカーがない。 バンコクの街中に出て周りを見渡すと、ニュートラムはあるし、高いビルも建っているし、高級なブランドショップも沢山ある。 たしかに、少し脇道に入れば、確かに発展を置き去りにした平屋、限られた流通の中で完結できる個人商店、路上でたむろするひとびと。 とは言え、 日本との経済格差がどうしてこうも大きく広がるのかがいまいちピンと来なかった。 自動車の開発には多大な労力がかかる。 設備も必要だ。試行錯誤もいる。 日本は1900年代初頭に車を作

          「勇者」は半分でも断った

          「事柄」の性質上

          バーナム効果、カリギュラ効果、ツァイガルニック効果にザイオンス効果。心理学効果一覧なんかで検索するともっともっと出てきます。眺めていると飽きません。ずーっと見てられる。それ故でもあるんでしょうけれど、似たような記事がそこかしこに、これ見よがしに。 面白いよ、面白いけれども、もうこれが面白いということは面白くないよ、ということになるくらいしょっちゅう見聞きする、心理学の話。 なのだけれど、話の流れでちょっとこれだけ触れさせてください。 これね。 もっともらしい理由を付けた

          「事柄」の性質上

          「作話」という創作

          「作話」という言葉をご存知でしょうか。 先日、知人が入院している精神科の入院病棟にお見舞いに行ってきました。 映画「カッコーの巣の上で」「シャッターアイランド」「レナードの朝」等を彷彿とさせる、入口に鍵が掛っていて、中からは自由に出られず、入場に許可がいるタイプの病棟です。 入院者の屯する食堂があり、知人とそこでコミュニケーションを取っていると、年の頃50代後半の男性が、話しかけてきました。 「兄ちゃん、ええのー。見舞い来てもろうて。わしには全然こーへんねやわ」 わた

          「作話」という創作

          「概念」を定義するから養える

          なんて。 そう聞いて、そんなことあるかよって思ったのがいつ頃だったか。 これで2005年か。 いや、もっともっと前だった気もするけれど……。まあいいか。 いずれにせよ、もったいないって概念は割と昔から注目されていて、今では「MOTTAINAI」とアルファベット表記にまでされ、広く浸透しつつあるのだとか。 もったいないって言葉がないと、もったいないって感覚はなかなか養われないと思うんですよね。 イメージできますか。 もったいないという言葉がない時に、もったいなさを表現す

          「概念」を定義するから養える

          ロボットで「生殖」を

          「ティファニーで朝食を」的なテンションです。 「○○で▲▲を」って表現を見ると「ティファニーで朝食を」が頭に浮かぶんですよね。優れた表題は後々まで思考に影響を与えます。 で、表題。 AIやらロボットやらの無機物それ自体が生命を持ちはじめるって少しイメージしづらいなーって感覚は、おそらく多くの人も同じように持っていると思います。 ただ、こういう感じで生体ロボットが生殖機能を持つなんて聞くと少々話が変わってきまして。 AI+人口生命体によって人智を超える何かが生まれる可能

          ロボットで「生殖」を

          自分に「制約」を課して強くなる方法

          HUNTER×HUNTERという漫画がとても好きでして。少年ジャンプで連載されていて、これが完結するまではある種、自分は少年を卒業しないでいいって思っています。休載が多いのでHUNTER×HUNTERの掲載があるのは数年の間に数か月だけですが、そのひと時、少年誌を手にしている間は。 HUNTER×HUNTERの物語には「念」という概念があります。聖闘士星矢で言えば「小宇宙(コスモ)」、ドラゴンボールで言えば「気」、NARUTOなら「チャクラ」みたいなもんですね。ピンとこない

          自分に「制約」を課して強くなる方法

          「謝る」ことで誇示する度量

          質の悪い常連客が多くいる、繁華街の夜のお店で。 スーツで、髪にはつややかな何かが塗りたくられておりオールバックで、そんな機嫌悪くなるなら来なけりゃいいのにと思わせる横柄さで。いや、むしろ機嫌の悪い自分にかまってくれるからこそ、あえて機嫌を悪くして増長しとるんだと、そんなある種の様式美を目の当たりにできる良い機会。 一人のお客に対し、一人の女性が着いてお酒の相手をするという類の店で、繁忙時に女性の着くのが遅かったという理由で、値段を下げろだ、いい酒を出せだ、時間を延長しろだと

          「謝る」ことで誇示する度量

          ノートの端っこに「五月蠅」がどうだとか書きまくっていた子

          五月蠅い 五月蠅い 五月蠅い 五月蠅い…… たぶん、こういうことだと思う。中学やら高校時代に知ったら心惹かれる漢字ベスト5には入るだろうこれ。多分に漏れず、冒頭の思い出と共にあたまに残っている。五月蠅い(うるさい)ね。 躑躅って漢字で書くとこんななんだ。かっこいい。 髑髏(どくろ)みたいってググったら同じこと書いてる人もちらほら。語源の共通点としては、諸説。「蜀」にいもむし的な意味があるので、そっからなんかつながりがありそうだとかなんだとか。立ち止まるとか、ゆっくりとか

          ノートの端っこに「五月蠅」がどうだとか書きまくっていた子