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燕雀いずくんぞ「鴻鵠」の志を知らんや
19~22歳くらいまでの間、片田舎で夜の仕事をしておりまして。
はるかさんというその店で指名数No.1のキャストが、40歳くらいのおっさんのボーイに愚痴ってたんですよ。教育がなってないから新人をヘルプにつけて欲しくないだとか、指名客にばっかりついていたら新規取れなくなるから、指名客についてるときもたまには新規につけて欲しいのに黒服はその辺を全くわかってないとか。
まーまー、古今東西数多の店で2億回は繰り広げられたであろう、どこにでもある愚痴です。
その時におっさんボーイがはるかさんに言うてたんですよ。
「燕雀いずくんぞなんとやら言うてね、他のもんにははるかさんの大変さってわからんのですよ。店としては、はるかさんみたいにできる人の席つけることで若手育てたいですし、指名客取れてない子にお客さんつけて稼いでもらわなだめですし。長い目で見たら店が流行れば、はるかさんの実入りも増えますし、ベテランとしてサポートしたってください。新規につけるようには言うときますんで」
その日の店が終わって、女の子を全員家に送り届け、締め作業で売り上げの計算やらお酒の発注作業をしているときに、おっさんボーイに聞いたんです「燕雀いずくんぞなんとやらって、どういう意味ですか?」って。
燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知しらんや
《「史記」陳渉世家から》ツバメやスズメのような小さな鳥には、オオトリやコウノトリのような大きな鳥の志すところは理解できない。小人物には大人物の考えや志がわからない、というたとえ。
[類語]薫蕕器を同じゅうせず・呑舟の魚は枝流に游がず・藜羹を食らう者は大牢の滋味を知らず
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「はるかさん、うんうん頷いてましたけど、意味わかってたんですかね」
「知らんよ」
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