体罰を与える父親のもとで育った子どものその後
家族の思い出は、楽しかったことよりも怖かったことの印象が根深い。
私には年の離れた兄がいる。
私が幼少期のころ、まさに思春期真っただ中の兄。この兄に対して、父親はとても厳しかった。昔ながらのしつけ方法なのかもしれない。
「言っても言うことを聞かないから叩くんだ。」と。
ある日の夕食後、理由はまったく知らないが、父が兄を恫喝し、暴力を働き出した。
兄は泣きもせず、じっと堪えてことが終わるのを待っていた様子だ。
母は、「もうやめて」と言いつつも、父を制止することはできずただ見ているだけ。
家族かこんなおかしな状況で怖いこと、父がいつもの父じゃない様子のこと、兄がひたすらかわいそうで仕方ないこと。すべての感情がぐちゃぐちゃになって、なぜか妹の私が一人でひたすら泣き叫ぶという状況が数回あった。
30歳を超えた今でも、男性の怒鳴り声を聞くだけで身体が固まって何もできなくなる。自分が言われているわけでなくても、勝手に涙が出てしまう。しっかりとトラウマになっているのだ。勘弁してほしい。
さて、そんな父親で育った兄は今どうなっているか。
はっきりと言う。兄はすでに40歳を超えたが今でも不仲である。おじさんになっても、まだ、兄は反抗しているのだ。
引用:「アドラー流子育てベーシックブック」P85
罰を与えられた子どもは言うことを聞くようになるか、もしくは、親に反抗したり恨んだりします。罰せられた子どもは何にフォーカスするでしょうか。
多くの場合、それば自分の行動が引き起こした結果や、この経験から学んだことではありません。むしろ、親や先生といった権威的な立場にある人に、どうしたら仕返しができるかを考えるようになるのです。
今の兄は、まさに「権威主義タイプ」のスタイルの結果そのものである。権威主義的な親は、厳しくしなければ子どもは育たないと考え、権威を振りかざして子どもの言動を思い通りにコントロールしようとする。
もし、あなたが子どもに罰を与えたい衝動に駆られたら、次の質問を思い出してほしい。
・なぜ子どもにいうことを聞いてほしいの?服従させるため?
・子どもをコントロールしたいの?子どもに自立してほしいため?
・どうしたら強要せずに教えられる?
なお、兄も子供を持ち、育てている。しかし、いちいち父親に対しては当てつけのように真逆の教育方針をうたっている。
「話せばわかってくるれる」と。
私はどちらかというと兄の教育方針に同意するが、それにしても父親への態度は見過ごせないくらい幼い対応だと思う。
こんな家族関係にならないように。つい怒鳴ってコントロールをしようとしてしまうあなたに届きますように。そして、すこしでも私のようなトラウマを抱える人が減ることを祈る。