【読書感想文】『赤毛のアン』L.M.モンゴメリ/松本侑子訳
【あらすじ】
プリンス・エドワード島のアヴォンリーにあるグリーン・ゲイブルズに住むマシューとマリラ兄妹は、共に独身のまま二人寄り沿って暮らしていた。年を重ねたマシューの農作業の手伝いのため、孤児院から男の子を預かる予定だったが、手違いで11歳の赤毛の女の子、アン・シャーリーを引き取ることになる。今まで教育も躾もされてこなかったアンを、マシューは優しく、マリラは厳しく、めいいっぱいの愛情を注いで育てる。二人の愛とアヴォンリーの人々との温かい交流を通して、アンは様々な失敗を繰り返しながら大人へと成長してゆく。
豊富な文献をもとにした細やかな訳注が、この小説を「大人の文学」へと昇華させている。松本侑子の新訳は、『赤毛のアン』新たな発見を見出させる。
小学校の頃、本がバラバラになるまで読み、読書感想文で賞を取った記憶があるが、一体何にそんなに魅了されたのか、と思い手に取った。読んでみるとアンは自分の子どもの頃によく似ていた。空想が過ぎて自分の作った世界に浸り、時には怯えてしまうところ。落ち着きのないところ。そして激情派なところなど。マリラが直そうとしたところは、同じように母が直そうとした私の欠点だった。そんなことを思い出した。
改めて読むと、モンゴメリーの教養の幅がすごい。そして、11歳でアヴォンリーに来たアンが急に大人になっていくきっかけが「勉強」というところも実に興味深かった。児童文学とされているが、金言も多く子ども時代に読むことが大事なのは明らかだが、大人になってからも「心の友」となる小説だと思う。