直木賞作品『熱源』で思う、アイヌとあのニュース
漫画・ゴールデンカムイが無料公開されるというニュースには、興奮しました!
かねてから読んでみたかったのでワクワクしていたら「どうせ読むんなら紙で読め!!!」と会社の先輩がドーンとオトナ貸しをしてくれました。
最高の作品でした!!!!!!
素晴らしい作品というのは、読者の興味や行動の対象をその作品のみにとどまらせす、外へ外へと拡大させてくれます。
ごたぶんに漏れず、わたしもゴールデンカムイをきっかけにアイヌや幕末・明治の時代に興味を持ち出しました。
高校時代の日本史の資料集を引っ張り出してきてめくってみたり、実在した人物のWikipediaサーフィンでネットの波をゆらめいたりしました。
もっともっとこの時代の物語に触れたい!と思っていたところ、アイヌをテーマにした直木賞受賞作があることを知り、すぐさま取り寄せました。
そしてたった今読み終えたのが、この熱源です!
この小説を読んで、思い出した話があります。
朝の情報番組のワンコーナーでお笑い芸人が発した「アイヌだ」と「あ、犬だ」をかけたダジャレ表現が、差別としてニュースになったこと。
小説の冒頭にも、アイヌが和人に「あ、犬」とディスられるシーンが出てきます。
ニュースになった当時、アイヌの蔑称が犬であることを知らなかったわたしは、小説のアイヌの子どもたちが犬呼ばわりしてきた和人に取っ組みかかって抗議するシーンを読んで、改めて自分の無知さを恥ずかしく思いました。
しかし、一方で。
テレビでアイヌと「あ、犬」をひっかけたお笑い芸人さんには、差別の意図はなかったというのです。
悪意はなく、純粋に言葉遊びのダジャレとしてだったという意図を伝えながら、深くお詫びされていました。
悪意がないから余計にタチが悪い、と思われる方もいらっしゃるでしょうが。
わたしには、アイヌを下に見る意図がなく、フラットに捉えたからこそ、今回のようなことが起こったのかなとも思えました。
(もちろん番組側の知識不足や、犬という表現に心を痛めるアイヌの方への配慮に欠けたことは、改善されるべき点だと思います。)
アイヌや、アイヌを支えた方々が、熱を持って文化を残して伝え続けた結果が、今につながっていることを考えさせられます。
その熱が、和人の見下しや同化を強いる眼差しを少しずつ変え、アイヌを対等なもの、いまやそれ以上に憧れの対象・かっこいいものとしている。
すごいことだなと思いました。
日本が、アイヌを先住民族だと認めたのは2008年。つい最近の話です。
ここに至るまでに燃え続けた熱に、そしてこれからも燃え続ける熱に、敬意を表したいです。
熱源では、それぞれの異なる背景を持った登場人文が出会い、物語を織り成していきます。
そんな壮大な物語、一読で終わらせてしまうのはあまりにもったいないので、二週目に突入してまいります!