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【読書】冬の読書におすすめ! おすすめ!「大人の教科書短編集」#292

おはようございます、tamamioです(^^)もうすぐ年末・お正月ですね!

「時間があるし、本でも読もうかなぁ」と思われる皆さん。今回は、冬の読書にぴったりの「tamamioおすすめの短編集」をご紹介します!

1 大人の「教科書名短篇」

本日のおすすめ本はこちらです、ドン!

本書は、戦後~2012年発行の中学校の国語教科書に載った文学作品・翻訳作品の中から「少年時代」をテーマにした作品を集めたものです。

『少年の日の思い出』(ヘッセ)、『盆土産』(三浦哲郎)など、「懐かしい!」と感じる作品も多いのではないでしょうか。

ちなみに中学校国語教師の夫は「まだ載ってるよ(『少年の日の思い出』)」とのこと。私にとって「懐かしい!」が、夫にとっては「生々しい現在」のようです。

2 故郷の思い出

前述した作品の他に、私が一番読みたかった作品があります。

『故郷』(魯迅)です。都会で成功した主人公が没落した実家を引き払うために故郷に帰り、そこで現実を思い知る、という切ない短編です。

中学生だった当時は、時代背景とか、貧しさとか、全く知る由もなく「他人の物語」でした。大人になった今読み返すと、本当に真に迫るものがありました。

(前略)わびしい村々が、いささかの活気もなく、あちこちに横たわっていた。おぼえず寂寥の感が胸にこみあげた。
ああ、これが二十年来、片時も忘れることのなかった故郷であろうか。
(p213)

冒頭から「ぐっ」と引き込まれました。これは私も覚えがあります。私の思い出の中の故郷は、いつも美しい。美しく、活気があって、楽しくて。

でも、実際に帰省して、帰省の感動が薄れると、だんだんと「あれ?」と思うのです。こんなに疲弊していた?自然も、人も、町も、と。そしてその疲弊は、年を重ねるごとに進むのです、悲しいけれど。

3 悲しい再開

主人公が、故郷で一番会いたかった人物が「ルントウ」です。名家だった実家の使用人の子どもの「ルントウ」ですが、二人は「主人ー使用人」の関係などなく、兄弟のように仲良く過ごしました。

そして待ちに待ったルントウとの再開を果たすのですが、大人の皆さんは、もうお気づきですよね。

≪ああ、ルンちゃんーよく来たね・・・≫(中略)
かれは突っ立ったままだった。(中略)
最後にうやうやしい態度に変わって、はっきりこう言った。
≪旦那さま!・・・≫
(p224)

主人公の1つ年上で、兄のような、憧れの存在だったルントウ。主人公が都会に出てからも、彼は家に残り、貧しさの中で「使用人」としての人生を歩むのです。

4 私も、現実を知った

子だくさん、凶作、重い税金、兵隊、匪賊、役人、地主、みんなよってたかってかれをいじめて、デクノボーみたいな人間にしてしまったのだ。(p226)

中学生だった当時は、「自分の努力でどうにかできないものはない」と思っていました。頑張ればなんとかなる。だから、このルントウの境遇も、よくわかりませんでした。

また、「お金がなくても、心までは貧しくならない。お金よりも大切なものがある」とも思っていました。

でも、大人になった今は「自分ではどうにもならないことがある」ということも分かります。貧しさが、人の心を蝕むということも知っています。だから、より迫ってくるのだと思います。

5 社会情勢と時代背景を鑑みるに

本作は、このように締めくくられます。

希望をいえば、かれらは新しい生活をもたなくてはならない。私たちの経験しなかった新しい生活を。(中略)もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。(p230)

この「道」がなにを意味するか、分かりませんでした。が、時代背景を考えると分かります。

本作は1921年に発表されました。時は辛亥革命後。これから日中戦争、第二次大戦、中共内戦と、激動の時代に巻き込まれます。

魯迅の示した「道」が、今の中国の共産主義につながる「道」につながる、とは夫の弁です。もちろん、魯迅はそのように書いませんが。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!よかったら、ご一読くださいね!

では、今日も素敵な一日を!



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