見出し画像

上高地の特別さとは。結婚30周年旅行で思うこと

結婚30周年記念旅行中の2日目です。2日目は白骨温泉から上高地へ移動。上高地散策をし、上高地五千尺ホテルに宿泊する予定。

今年の上高地は去年より多くの人が押し寄せているようです。この日は10月三連休中の中日。白骨温泉の宿の人から、車がさわんどバスターミナル周辺の駐車場に停められない事態があるという話を聞き、そんな上高地へ行くのに少し怖気付いてしまっている私。でも上高地は思い入れのある場所、ちゃんと上高地入りできますように、と祈る気持ちで出発します。


宿の方からのアドバイス

マイカー規制のある上高地へ行くには長野側からだと「さわんど駐車場」へ車を停め、バスに乗り換える必要がある。
およそ合計2000台おける駐車場があるのだが、そこが満車になるという。

白骨温泉の宿の方からのアドバイスは

その1. 民間の駐車場が臨時に停める台数を増やしてくれることがある。 

その2. 岐阜側の「あかんだな駐車場」まで行ってしまう。ただし、ここも満車のことがある。

その3. 上高地へ泊まるのであれば、駐車場が空くまで待つ。

確かに昼過ぎれば帰ってくる人たちがいるはず。

私たちはとりあえずさわんど駐車場へ向かい様子を見ることにした。
上高地へ行くということで、朝食も用意でき次第早めに頂けるようにしてくれた。ありがたい。

白骨温泉粥
ほんのり塩気がある優しいお粥
美味しかったです!

危うく駐車場難民に

白骨温泉からさわんどまでは車ですぐ。上高地とさわんどを結ぶ道に出ると、驚いたことにその道沿いに路駐の車がずらっと並んでいる。まだ午前8時30分にもなっていなかったと思う。

これはもうどこにも車が置けない事態発生か。満車の表示が出ていたが、なぜか入れてくれる駐車場あり。そこに車の頭を入れてしまう。駐車場の誘導をしてくれるおじさんに「停められるんですか?」と聞くと「分からん。小さい車は停められるかも」えっ?と思いつつ、入ってしまったから出るに出られない。そんな車で駐車場内が溢れている。誘導係同士の連携が良くないんじゃないかと思う。仕方ないので動くのを待つ。痺れを切らした夫が車から降りて別の誘導のおじさんに状況を聞きに行く。そこで得た情報は、ここにはもう普通車は置けない、近くのそば屋さんが臨時に駐車場を開けてくれているらしいとのこと。場所を聞いたので、車が動けるようになったらそこへ向かうことに。なんとか駐車場から脱出してそば屋を目指す。

ラッキーなことに、ラスト一台の場所に停められた!そこは超絶狭い空間。隣の車が偶然同じ宿に泊まっていた方達で、一旦停めたのに、わざわざ寄せて空間を広くしてくれました。ありがとうございました。助かりました。

私の運転技術では停められなかったであろう駐車場に停めることができて本当に良かった。夫にもありがとう。

バスで上高地へ

そこからは上高地行きのバスに乗って向かう。私たちは普通席に座れたが、補助席まで満員のバスだ。細い山道カーブ途中で、対向車のバスとお見合いして立ち往生しているバスが私たちのバス手前ギリギリにバックしてきてヒヤヒヤしたり、バスターミナルに入るのに渋滞しているので、「大正池のバス停で少し待機します」のアナウンスに、私たちは大正池のバス停で降りることにした。

本当だったら泊まる予定の五千尺ホテルに荷物を預けて身軽で散策したかったのだが、荷物を抱えて大正池を目指す。

正直、ここまで来るのにぐったり。夫は二度目、私は六度目の上高地だが現地到着までにこんなに気を揉むのは初めてかもしれない。

夫も私も口数が少なくなっている。

大正池に映る青空と焼岳がお出迎え

しかし人が多いとはいえ、外に出てしまえば、遊歩道が大渋滞というほどではない。天気は晴れ!気をとり直して行こう。ここで二人で不機嫌になってはもったいない。

大正池へ向かうと、そこには真っ青な空に映える焼岳とその焼岳が映る鏡のような大正池が出迎えてくれた。
「ようこそ上高地へ。せっかく上高地に来たんだから楽しんで行ってくれよ」
とでも言っているかのようにどーんと立派な姿を見せてくれている焼岳。

大正池と焼岳
この景色を見たら感嘆の声しか出ない。
穂高連峰には雲がかかっているが、それも面白い。なんて綺麗なんでしょう。


黄色く色付き始めた唐松林もいい。しばし絶景に見惚れて田代池に向けて出発。

上高地を散策

私の大好きな田代池
田代湿原

田代湿原から林間コースを歩き、田代橋を渡った先の遊歩道は人出も多くなく、ゆったり歩けた。

それにしても梓川の青い水の色に心奪われる。

水の青さが素晴らしい

河童橋が見えてきた。

河童橋周辺の人の多さは半端なく

ここまでの遊歩道は人もまばらだったが、河童橋周辺はすごい人出。お昼ご飯を食べるためにも行列だ。

河童橋の上から穂高連峰を望む

そんな人の波を抜けて、五千尺ホテルにチェックイン。ホテルのカフェでは宿泊者専用の席に優先的に案内してくれる。並ばずに席に座れるのはありがたい。

五千尺ホテルのカフェ
ケーキを頂きました。

ホッと一息ついたので、明神池まで歩きましょう。夫はこちら側は初めて。今年の6月豪雨で梓川左岸道がずっと通行止めになっていたが、ちょうど前日から通行可能となった。行きは右岸コースで、帰りは左岸コースで歩こう。

岳沢湿原
こちらも水の美しさが素晴らしい
イワナが悠々と泳いでいる
ずっと見てしまう

明神池に着いた。
穂高神社奥宮にお参りし、明神池を眺める。神々しい明神池もいい。

人が居なくなった一瞬
池に映る明神岳

ここから明神橋を渡り、左岸道へ。午後4時近くなってくると左岸道はなんとなく薄暗い。足早に歩き、そろそろ河童橋に近くなる場所に小梨平というキャンプ場があるのだが、そこで人が並んでいるのが目に入った。なんの行列だろうと近くを通ると、なんと、さわんど駐車場行きのバスに並んでいる人の列だった。バス会社のスタッフが「最後尾はこちらです」の看板を持ちながらバス待ちの人たちを誘導している。

「こんなところまでバス待ちの行列が並んでいるの?!」と驚いてしまった。バスターミナルから小梨平キャンプ場までおよそ650m。そんな長い行列になってしまっているのに驚きを隠せない。

バスに乗るのにどのくらい待つのだろうか?

そうこうしているうちに太陽は傾き、上高地は美しい夕焼けの景色を見せてくれる。

焼岳
夕陽に赤く染まる穂高連峰
アーベントロート
美しい夕暮れ

五千尺ホテルへ。

五千尺ホテル入り口
バス待ちの人の列がホテル前から小梨平方面まで延びていた。

五千尺ホテルのおもてなしが嬉しい

さて五千尺ホテルには温泉ではないけれど清潔で気持ちの良い大浴場があり、まずはそこでさっぱり。お風呂ってなんでこんなに気持ちいいんだろう。ありがたくて本当に幸せな気持ちになる。

お待ちかねの夕食の時間。メインダイニングでフランス料理のコースディナー。
詳細はホテルのHPにも記載されているので良かったらご覧ください。

美味しいのはもちろんなのですが、スタッフの皆さんが親切で感じ良いのがまた嬉しい。実は事前に「結婚30周年記念でそちらに宿泊します」と一言添えて予約した。こちらから言うのは気恥ずかしいけれど、「記念日」の一言を伝えておくと、対応してくれるホテルが多い。言わなければ伝わらないのだから。

そしてその役回りは予約する私。。。ま、適材適所で30年間やってきたのだから仕方ない(諦)

と言うわけで、五千尺ホテル側からお祝いのデーザートワインをサービスしてくださった。とても嬉しい!ありがとうございました。良い記念となりました。

濃厚な味わいのデザートワイン
結構アルコール度が高いような感じがした。美味しかった!

外に出ると、空気が冷たい。
昼間の喧騒が嘘のように誰もいない河童橋。静かな山の夜。

夜景モードで景色はうまく撮影できないなぁ。でもどこか油絵のようで気に入っている。
焼岳側

冷えたのでまたお風呂に入って温まった。明日の天気も晴れ予報。今回の連休はお天気に恵まれている。

連休最終日は快晴

上高地は位置的に朝日が昇るのを見られる場所ではない。それでも太陽が登る前の早朝の雰囲気は格別だ。それを味わいたくて早朝散歩に出る。早朝は熊出没の可能性も高いので熊鈴を付けて。ホテルの部屋にも熊鈴が置いてあり、持っていない人には利用を促している。

朝日が当たって、てっぺんが赤くなっている穂高連峰
きっとこの後ろ側の涸沢では素晴らしい朝焼けモルゲンロートが見られているのだろう。
あぁまた涸沢へも行きたい!
岳沢湿原
朝露に濡れる草紅葉
岳沢湿原
焼岳

朝散歩後の朝食も美味しくて、五千尺旅館時代から定番の豚汁はおかわりしてしまった。

豚汁いいです!
卵料理の種類やパンかご飯(小さなおにぎり)かが選べる。
最後にフルーツコンポートデザートがくる。
牛乳もジュースも全て美味しい!

ゆっくり朝食を頂いた後は荷物をまとめてそろそろ帰り支度を。名残惜しいが、お昼前に上高地を出発しなければ、昨日ほどではないとは思うが、バス待ちの長い列に並ばなければならない。

そして、外に出ればこの美しさ!惚れ惚れする。

雲一つない青空!
焼岳側も!
河童橋にはたくさんの人
なんて綺麗な水なんでしょう
しばし川原で水を見ていた

上高地への思い

上高地の人気の高さは昔からだが、それに加えて今は海外からの観光客も増え、多くの人たちが上高地へと向かう。

上高地の魅力とは、一体なんなんだろう。
程度の差はあるにしろ、訪れる人たちがそれぞれ上高地への思いを胸にやってくる。期待、憧れ、懐かしさ、、、。

今回、驚くほどの人数が上高地へ押し寄せていた。そんなざわついている人間たちのことなどはお構いなしに、上高地は素晴らしい景色を余すことなく私たちに見せてくれた。

それこそ上高地なのだろう。余裕のある自信たっぷりな上高地。「神の降り立つ地、神降地」とも称される聖地、上高地。さすがです。

今回結婚30周年記念に上高地行きにしたのは、北アルプスの素晴らしい景色をゆっくり堪能したいなぁと思ったから。

私は何度か来たことがあるけれど、夫は18年くらい前にほんの半日、河童橋の周りを親戚と一緒に息子たちと歩いただけ。あまり記憶に残っていないようだった。

私の上高地の思い出の中でひときわ心に残っているのは、母娘3人旅行だ。

随分と前のことだが、姉が結婚する前に、母と姉と私と三人で旅行しよう、と計画した際、母に行きたい場所を訪ねると、
「上高地へ行ってみたい」
と、言ったのだ。母にとっては初めての上高地。

上高地に二泊した三人母娘旅行は秋の平日に行った。人も多くなく、静かな秋の上高地は素晴らしく、のんびりとゆっくりと散策路をくまなく歩いた。

母がとても喜んでくれて、上高地の絵柄の、姉にはティーカップを、私にはコーヒーカップを嫁入り道具として(笑)記念に泊まったホテルの売店で買ってくれたのだった。

その旅のことを思い出すと温かい気持ちになる。上高地は大好きで大切な場所。

今回は夫と歩いた。結婚して30年。親と一緒に暮らした時間より長く夫と暮らしている。相手に対してこうあって欲しい要求は色々あるが、お互い様でなんとかここまでやってきた。

「乗鞍・白骨温泉、上高地へ行こう」は、私提案。内心、夫は登山も億劫、渋滞嫌いで、混んでる上高地に着く迄のゴタゴタにうんざりしていたかもしれない。でも「自分から選んでは行かないところに行けて良かったよ。ありがとう」とは言ってくれる。私も付き合ってくれる夫に感謝している。

私が「ああしたい、こうしたい、やってみたい、行ってみたい」ということに、夫は基本賛成してくれる。やりたいようにやらせてくれる。30年間そうしてきてくれたことにありがとう。これからも色々あるだろうけど、楽しくやって行きましょう。

また一つ上高地の思い出ができた。やっぱり上高地は特別な場所なんだろう。

昔、母が買ってくれた上高地絵柄のコーヒーカップ
コーヒーを飲みながら上高地の写真でも眺めて
「楽しんで行ってくれたかい?」
焼岳に話しかけられているような気がしてならない私

長い記事にお付き合い下さり、ありがとうございました。

#わたしの旅行記

いいなと思ったら応援しよう!