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【日記】まねからはじまる、朝のひととき。
毎朝、お湯を飲んでいる。
きっかけは雑誌だったか、YouTubeだったか。なにをきっかけに始めたのかは忘れてしまったけれど、モデルさんやていねいな暮らしをしている人たちはこぞって朝にお湯を沸かして飲んでいた。
そんなに、みんなやってるなら…と思い、真似をした。
それがかれこれ5年以上前の話だ。
雑誌や動画のなかの人たちは、おしゃれなケトルや南部鉄器のやかんでお湯を沸かしていた。
とくに南部鉄器や鉄瓶でお湯を沸かすと、鉄器からでた鉄分が白湯に含まれていいらしい。
わたしはもともと血圧が低い。そして当時は仕事の過労で貧血をよく起こしていた。これは朗報、いいこと聞いた!と思いたち、南部鉄器のやかんを調べ、その値段に驚愕しあきらめた。
また大ヒットしていたMEGUMIさんの美容本を読んだ直後は、白湯にレモンを入れていた。
しかし近ごろはレモンが家にない。
抗酸化作用を高められていないが、レモンを買いにいくのがめんどうくさい。
わたしは美しさよりもめんどうくさいが勝つ、そういう人間だ。
結局いまわたしは、小さなアルミ鍋でお湯を沸かしている。
こげた小さなアルミ鍋をかこむようなガスの火が、その燃える音が、ちょっとした朝のいやし。
いつも使っている保温タンブラー1杯分のお湯を沸かして、注ぐ。
お湯の日もあれば、お気に入りの梅干しを入れて梅湯にしたり、喉の乾燥を感じている日ははちみつを入れることもある。
朝のお湯を飲むことで、美しさも丁寧な暮らしも手にできているわけではない。
子どもが起きてくると、沸かせない日もあるしひっくり返されたら、と思うとひやひやする。
それでも、真似から入ってめんどうくささを感じつつも続いている。
継続できているまねごとは、すこしずつじぶんのものになっているのかもしれない。
「綺麗になりたいから」「こんなふうになりたいから」「こんな悩みを解決したい」
明確な理由があることはもちろん大切だけれど、ぬるっと真似してやってみる。ちいさなことが生活の一部にフィットしていく。
こういうぬるっとフィットする感覚、わたしはとても好きだ。
そしてそのフィット感に気づいて、ちょっとニヤつく。
そんな日常とじぶんが大好きなのだ。