強烈なストーリーには勝てない
11月に入り、森の香りに癒されております。中でも香り高いジュニパーベリーは、お酒の”ジン”に使われているほど。あの独特の香りはジュニパーが醸し出していて、ジン好きな方はすぐにわかるみたいですね。
(画像のリースは全て生徒作品)
わかるでしょうか?上の画像右側のブルーがかった小さな実を付けた植物。日本では”西洋ネズ”と言われているけれど、ジュニパーの方が響きが可愛いくて好き(笑)。
歴史を紐解くと、11世紀頃のイタリアの修道士が、ジュニパーベリーを使った蒸留酒を作ったのが起源と言われています。
中世ヨーロッパで、黒死病というのが大流行した際にも、このジュニパーベリーの蒸留酒が治療薬として普及したのだそうです。
17世紀のオランダでは、解熱・利尿用薬として、いわゆる薬用酒とされたのですね。偉いなジュニパー君!!
生徒さんや私にとっては、ここから年末まで、ずっとジュニパーの香りとご一緒するのが風物詩となっています。
すう〜っと、その香りで頭の中がスッキリ覚醒する感じがたまらない。そして、ジュニパーが入ったリースは、途切れることのない永遠を象徴する意匠です。そこに、永遠の繁栄を願ったのもわかる気がします。
自然の法則というか、宇宙の原理は全てが繋がっているので、途切れることの方が不自然なのかもしれません。
そこで思い出したのは、村上春樹氏のこの記事。
「僕が小説を書くとき、筋を練ることはしません。いつも書くときの出発点は、思い浮かぶ、ひとつのシーンやアイデアです。そして書きながら、そのシーンやアイデアを、それ自身が持つ和音でもって展開させるのです。
言い換えると、僕の頭を使うのではなく、書くプロセスにおいて手を動かすことによって、僕は考える。こうすることで、僕の意識にあることよりも、僕の無意識にあることを重んじます。
だから僕が小説を書くとき、僕に話の次の展開はわかりません。どのように終わるのかもわかりません。書きながら、次の展開を目撃するのです。」
手を動かしながら感じ、考える。ストーリーの展開は、花にお任せして。
無意識の領域にあるものがハーモニーを奏でるので、感性の扉をいつもオープンにしておきたい。
そんな生徒さんたちの思いを叶えたいから、花材を自由に選べるよう、沢山の花材を揃えてお迎えしたい!森の香りに包まれて。。