重感を憶える旅人
サッとひとりで旅するに大阪はもってこいの街。生まれつきボヘミアン気質があって、旅はひとりが好きなんです。
と、言えばカッコ良さげですが、絶望的に方向音痴ときてる!
淀屋橋から御堂筋線に乗って心斎橋で下車して、アメリカ村とか歩きながらショッピングでも楽しみつつ道頓堀まで行こうと思っていたけれど。
歩いて歩いて、気付いたら淀屋橋に戻ってしまった!
どこでどう進行方向が変わってしまったのか全くの謎。。
楽しい買い物ができたので、心のダメージはゼロなのですが、とりあえず買った物を一旦ホテルの部屋に置いて、再び御堂筋線に乗って今度は「なんば駅」で降り、道頓堀へ無事到着。
こんな感じなので、団体行動に適さないし、連れがいると行動規制がかかるのが嫌なのです。(わがままって清々しい!)
京都でしっぽり紅葉コースも良いけれど、私は断然大阪だった。このエネルギッシュなこと!
今やヨーロッパ直行便はエコノミーでも80万円するご時世。なんだかがっくりきちゃって、私のボヘミアン魂をどうにか鎮魂できるパワーがある街は大阪しかなかった。
大阪城の歴史を知れば、さらに大阪の激しさを思い知る。ここは一向一揆の地。一向宗が起こした反乱に信長も相当手を焼いた事でしょう。
大阪城以前に、ここが石山本願寺であった事は大変興味深い。
そして散歩がてら、どうしても行きたかったのは天満宮。「あきない世傳 金と銀」という時代もの小説をずっと読んでいて、頭で描いたイメージを現場で検証したくなったから。
江戸時代、この大川を天神橋で渡る時、どんなに心が揺り動かされただろうか。そして、どんな思いで、この橋を渡って行く人の背中を見つめていたのだろうか。そんな事を想像するだけで、胸がキュンとしてしまう光景です。
記憶に留める前に、パシャパシャ写真を撮ってSNSに投稿し続ける旅に何が残るのだろうかと考える。そのレベルであれば、80万円の飛行機代は高いと感じるだろう…そう気付いてしまった。
「なぜ大阪なの?」とか、以前なら「なぜパリへ行ったの?」と問われる度に、答えに窮し戸惑う私。でも、それで良かったのだと今は安心できる。
簡単に説明できない問いを簡単にする側に問題があるのだから。人生の重量感が違うと言っても良いだろう。
初心に戻ろう。
そう気付かせてくれた大阪の街。