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暑さも吹き飛ぶクメールの朝礼(カンボジア編)

猛暑続きだったカンボジアも、6月に入りだいぶ暑さが緩んできた。
時折夕方になると雨季特有の強い雨が降り、プノンペン中心部のバンケンコン地区でも膝まで冠水することがしばしばだ。
尋常じゃない量の豪雨が一旦降ると、トゥクトゥクなどのタクシーも捕まりにくくなり、とにかく止むまでじっと待つしかいない。この長雨の待ち時間にイライラすることもあるのだが、カンボジアの人々は皆意に介さず、慌てずのほほんとしたものだ。カフェでまったりとお茶を飲んで時間を過ごしたり、昼寝をしている人さえいたりする。
こういうところにクメール人ならではの、おおらかでのんびりした気質を感じる。
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しかし、バンケンコンから車で北西へ30分ほどのトゥールコック区にある送出機関「アクセル アジア ヒューマンリソーシズ」日本語学校の『朝礼』を訪れると、そんなカンボジア人の印象が一変させられる。
月曜日から金曜日まで毎日行われる朝礼は、朝8時から20分の校内清掃に始まり、その後全員参加で9時まで40分間みっちりと執り行われる。
約200名の実習生が、「休め!気を付け!」の号令のもとに、とにかくテキパキと機敏に動く。ひとつひとつの動作に気迫があり、見ているこちらの方の背筋がピンと伸びる程だ。
特に、この大人数で指先までしっかり動きが揃うラジオ体操は圧巻だ。制服代りの揃いのオレンジ色のTシャツが躍動する様は、若々しさと力強さを感じさせる。続いて「実習生の誓い」、「5S」、「九九」の唱和、「人員点呼」と次々とテンポよくプログラムが進行される。この1時間でこちらの暑さも眠気も完全に吹っ飛んでしまった。

同校アシスタントディレクターの永井さんによると、この朝礼をはじめ学校の様々な活動は、「委員会」と呼ばれる実習生10名ほどのリーダー・グループにより運営されているという。「統括」・「風紀」・「交通」・「美化」の4グループで構成され、リーダーたちが実習生たちのまとめ役として、学校活動を主体的に展開しているのだ。
例えば、ボランティアで実施している「王宮の美化活動」なら、当日の出欠・実施時間・進捗状況・課題事項などをリーダーが状況把握し、実習生の意見を集約して教師へ報告するといった具合だ。
まさに仕事における「報・連・相」を確実に実践していると言える。
永井さんは、

「日本語を習得することはもちろん重要だが、仕事をする上でのルールや心構え、規則正しい生活リズムを身に付けることは、それ以上に大切」

という。

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Tシャツの胸には「石の上にも三年」とプリントされている。
日本での実習期間である3年をイメージしての合言葉であろう。
彼らの努力が実を結び、晴れて来日する時には、「石」ではなく「育む大地」として迎え入れてくれたらと思う。
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(※このnoteは、ビル新聞2019年6月10日号掲載「リアルタイム外国人技能実習24時」Vol.5を加筆転載したものです。)

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