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バッドエンドから知る世界の真実:幻想水滸伝 ティアクライスの思い出

私のゲーム遍歴の中で、シリーズものとして何作もやったことがあるのはポケモンとテイルズ オブシリーズぐらい。そのぐらいのライトゲーマーです。

そんな中、上記のシリーズとは別に鮮烈に記憶に残っているゲームがあります。
それは『幻想水滸伝 ティアクライス』というゲーム。何が鮮烈だったかというとバッドエンドが非常に衝撃的だったのです。(詳細後述)

それまで私はちゃんとしたRPGはプレイしたことがなく、このゲームをプレイして「RPGって面白い……」とハマるきっかけになったと言えるかもしれないです。
(テイルズに手を出し始めたのはもっと後なので)

何故本作品がこんなにも心に残っているのか?

今回はそれについて頭を整理しつつ、皆様に紹介していきたいと思います。

1.ゲーム概要

無数の世界が並行して存在する「百万世界」に迫りくる危機に立ち向かう主人公たち。
絡み合う108の星を宿す者の想い、その先にどんな未来が待っているのか-。
誰と組むか、信じるか。
108の出会いと別れ、絆が織りなす物語。
新たなる「幻想水滸伝」が幕を開ける。

ジャンル:RPG
プラットフォーム:ニンテンドーDS™
リリース:2010年02月18日
(公式HPより:https://www.konami.com/games/jp/ja/products/tierkreis_ds_best/)

発売してもう10年以上経つのか……と思うと自分がいかに歳をとってしまったのかということを思い知らされて少しばかり哀愁が漂ってきますね……。

■ストーリー 辺境にある「シトロ村」の自警団に所属する主人公は、仲間たちとモンスター退治に出かけた裏山の遺跡で不思議な光を目撃する。
その光を放つ「何か」を見つけたことで、主人公たちの物語が大きく動き出す…
(公式HPより)

ストーリーはあらすじからもわかるように王道RPGという感じ。実はこの世界には"世界の融合"という超常現象が起きており、平行世界の別の世界の一部が主人公たちの世界に出現し、出現した一部の地域が丸ごと消滅する、という恐ろしい現象が起きているのです。

主人公は村の仲間達と一緒に旅に出て、徐々に仲間を集めて世界を救うべく奔走する……というのが大まかな話の流れになります。(本作の敵組織については後述します)

バトルシステムはターン制で好みが分かれるかもしれませんが、当時アクションゲームが苦手だった私にとってはありがたかったです。

プレイアブルキャラクターはなんと108人!
水滸伝がモチーフになっているので、108人キャラが出てくるわけですね。(サブキャラを含めるともっとキャラクターは出てきます!)
※水滸伝というのは中国の四大奇書と呼ばれる長編小説のうちのひと作品です。

全キャラクターを解説しているとそれだけでひとつの記事になってしまうので、概要では主人公の話だけ。

主人公の名前は自分で変えることができ、デフォルト名は調べたところ「シグ」だったようです。自分が何にしていたのか思い出すことが出来ないですが、この名前に馴染みがないので恐らく何か自分でつけた名前でプレイしていたのだと思います……。

主人公は元気と無鉄砲さが取り柄!という感じのキャラで、口癖は「やってみなけりゃわからねぇ」というもの。この男前主人公は私としては前向きな気持ちになれて好印象でした。

シグ

ただしただ突き抜けて明るい陽キャ属性だけでなく、ちょっとした影の一面も。
実は両親が不明で村の村長に拾われて義姉に面倒を見てもらいながら育ちました。本人はそのことを全く気にしていないので、暗い雰囲気の話にはなりませんが。

もう一つ謎があるのですが、トビラと呼ばれる平行世界への連絡通路のような所から他の世界に渡ることが出来るという設定があるのですが、主人公だけがこの通路から他の世界に行けないのです。
主人公に隠された謎がある、というのも最早RPGのお決まりではありますが、その点も本作はしっかりクリアしてます(笑)

ボイスは梶裕貴氏。2010年といえば彼はデュラララ!!で遊馬崎ウォーカーをやっていた頃ですね(当時のアニメでパッと思いついたのがこれで、多分もっと色々有名なキャラはいるかもしれませんが)。
人気・知名度共にトップクラスの声優さんですが、RPGの主人公をやっているイメージは個人的にはあまりなく、貴重な作品とも言えるのではないかと思います。まだ初々しさも感じられる演技を聞くことができます。

2.衝撃のバッドエンディング

ここからは超ネタバレを含みます。ネタバレがNGな方はこれ以上は読まず、もうここまででゲーム内容が気になって仕方がない…!という方は、是非本編をプレイしてみてください(笑)

本作の敵組織は「ひとつの道の協会」という宗教団体のような組織です。
この協会の目的は未来を全て見通し、人々の悩むことのない世界を作ること。「世界を一つに!」をスローガンにこの思想を世界中に広めようとしています。表向きは良さそうな団体に聞こえるのですが、その実はなかなかにきな臭いです。

目的の為には手段を選ばず、無理やり協会に加入させたり、隣国をとある方法で脅して半ば強制的に併合させたりしています。
どうしてこのような力をもっているかというと協会の長ベルフレイドの元には「真正なる一書」という特別な力をもつ本があるのです。

ティアクライスの世界の中では書というのは知の集合体で、この中には世界の未来が書かれています。
その書の力を使って未来を見通して戦争を起こしたり、世界の融合を故意に起こして脅しをかけたりしているのです。

そんな協会の長ベルフレイドの目的は"一なる王"という存在を世界に降臨させること。その為に協会を作り上げ、道義に反するようなことも行っていたんですね。
そしてこの一なる王というのが本作のキーになります。

一なる王がこの世に降臨するとどうなるのか?それは「幸せだった日だけを延々と繰り返す」ことになります。
実はベルフレイドは世界の融合で妻子を亡くしており、妻子との幸せな日々をただ過ごしたいーーその一心でこんなことをしていたのです。

一見いいことのように思えますがそれはつまり「可能性が一切排除された世界になる」ということ。
未来のない世界ーーそれに意を唱える主人公たちは打倒ベルフレイドを決意します。

しかし紆余曲折あって一なる王は降臨してしまいます。その後実際に主人公たちは同じ毎日を繰り返すというのを経験するのですが、実際にプレイするとわかりますがこれがなかなかに恐ろしい……というか気持ちの悪い体験です。

その後なんとかループから抜け出した主人公たちは一なる王との対決に向かいます。
どうすれば一なる王を倒せるかと作戦を話し合いますが、そこで「宿星(仲間達)の命を束ねて一なる王にぶつける」という案が浮かびます。

これはそれまでのストーリーで何度かヒントが出されていた方法で、この方法ならもしかしたら一なる王を倒せそう。しかしこの方法は仲間達を犠牲にしてしまうことになります。
私はここで「宿星の命を束ねてぶつける」方法を選びました。(だって話の流れ上その方法じゃないと倒せない!という雰囲気だったんだもの!)

……既にお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、この選択肢、バッドエンドへ繋がる選択肢です。(当時あまりRPGをちゃんと遊んだことなかったのでお約束がわかってなかったんですね)
この後場面は切り替わり塔の頂上にいる主人公。仲間の命を束ね受け取った瞬間、なんと自分自身が「一なる王」になってしまうのです。

……当時の私の反応。呆然。しばらく開いた口が塞がらなかったですね。
その後、なるほど〜そういうことか!と唸りました。そして背中がゾクゾクしたのを覚えています。
仲間の命を束ねる=可能性を一つにしてしまうということ。一なる王はかつてその前の一なる王を倒そうとした天魁星(宿星たちのリーダー)の成れの果てだったんですね。そして今、自分もそのループに入ってしまったと。よくできてるな〜と感心しました(いや、感心してる場合じゃないんですが)

トゥルーエンドでも一なる王の正体についてはわかるようになっていますが、このバッドエンドを経験するか否かで随分と印象は違うんじゃないかなと思います。
ちなみにトゥルーエンディングですと主人公の「やってみなけりゃわからねぇ!」というモットーの元光明を見出し、見事一なる王を倒すことに成功します。

この物語は大人になった今思い返すと色々と考えさせられるなあと思います。
ベルフレイドの考えもまあわからんでもないんですよ。妻子を亡くすというのは深い悲しみですよね。そこから「幸せな一日だけが毎日続けば……」と思ってしまうのは少しわかる気がします。

でもそれって生きてる意味ある?とも一方で思うんですよね。なんの心の動きもない。同じ日を繰り返すだけ。それはなんだか死んだのと一緒な気もします。
主人公の口癖「やってみなけりゃわからねぇ」こそが人生の醍醐味というか、生きてるってそういうことなんじゃないかな、という気もします。

ゲームってこうして時々哲学的なことを考えさせてくれることってありますよね。うーん面白い。

バッドエンドがただのゲームシステム上の行き止まりではなくて、ちゃんと最悪の結末として行き着くことが当時の私には新鮮でした。だから昔のことをあまり覚えていない私がこれだけ思い出せる、つまり脳に刻み込まれてるということなのだと思います。

3.音楽がまたいいんです

本ゲームで心に残っているのはストーリーはもちろんですが、音楽もまた素晴らしいんです。

楽曲の一部をElements Gardenという音楽制作集団の方が提供しており、それを知った時「おおお!」と歓喜しました。エレガの曲、ゲームやる前から知ってまして好きだったんです。

Elements Gardenといえば有名なのは水樹奈々さんやうたのプリンスさまへの楽曲提供でしょうか?(私は水樹奈々さんが好きで、彼女の曲でエレガを知りました)

数ある楽曲の中でも、ジャナム魔導帝国のBGMが一番好きだったような気がします。異国情緒漂う感じが好きなんですよね〜


4.好きなキャラクター

なにせかなり前にプレイしたゲームになるので鮮明には覚えていないのですが、今でも覚えているキャラクターがいますので一人だけだけ紹介させて下さい。

●クロデギルドさま(cv.朴璐美)

クロデキルド

訳あって祖国のアストラシア王国からジャナム魔導帝国に亡命しているお姫様。
当時めちゃくちゃ好きで学校で友達によく話をしてました。

お姫様といっても冥夜の騎士団というレジスタンス組織を束ねる騎士様。協会に侵略された祖国解放の為に戦っています。めちゃくちゃかっこいいです。

ラスボス戦に連れて行った記憶があります。ヤンデレ気味の妹、フレデグンド(cv.小清水亜美)と一緒にパーティーに入れると強力なコンビ技「ディバインエッジ」を使えるので。
キャラ面でも性能面でも私の中の人気ランキングぶっちぎりの一位だったと思います。

フレデグンド

あと本人は男前系なのですがこのキャラめちゃくちゃモテるんですよ。亡命先の皇帝から求愛されたり、配下の騎士から慕われたり……そんな中でも個人的にはアスアドさま(cv.鈴村健一)とくっついて欲しかったなあ。

アスアド

アスアドさまは亡命先のジャナム魔導帝国の魔導士です。ちょっとヘタレ気味ですが私は好きでした。頑張れアスアドさま。

このゲーム、世界を救う為に108人の仲間を集めながら進めるのですが、よく出来てるなあと思うのが各キャラの掘り下げがちゃんとなされていること。

クエストによる掘り下げは勿論なんですが、ただ仲間達が仲良しこよししてるだけじゃないんですよ。
108人も集まればいろんな国や宗教などのバックボーンを持つ人が集まるわけです。

世界を救うという共通の目的の為に協力していますが、いろんなイベントを見てるとお互いに微妙な空気になってたり、ひと段落ついたら敵同士だからな!!というような会話をしてたり、一筋縄ではいかない様子も伺えます。

あとはキャラクターという面で言えば声優さんもめちゃくちゃ豪華ですし、ボイス数も膨大です。当時の私は声優オタクだったので、そこも楽しめたポイントでした。

DSのゲームでここまでセリフが入ったものはRPGとしてはなかなか当時なかったのではないかと思います。

5.おわりに

昨年2020年12月25日に幻想水滸伝シリーズは25周年を迎えたそうです。

このゲーム、実は学生時代友人が貸してくれたことがきっかけでプレイを始めたんですよね。

DSってソフトにセーブデータ保存するじゃないですか。それで一周やった後で返却しなくちゃいけないことがわかっていたので、その時はやり込まず結局そのあと自分で買ってちゃんとやり込みました(笑)

お金のない学生時代に、借りたゲームを買うぐらいだったのでよっぽどこのゲームが好きだったんでしょう。

ラストの展開を大いにネタバレしてしまいましたが、それ以外にも沢山やり込み要素がありますのでお楽しみ要素は残ってますよ!
例えばまずは108人の仲間を集めるのに苦労したりとか(シナリオ上全員仲間にしなくてもエンドは迎えられる)。任意クエスト全クリアに四苦八苦したりだとか。

ちなみに主人公たちは拠点となる城を持っていて、仲間が増えるごとにそのキャラの特性や特技を活かした改造がされ、城もバージョンアップしていくんです。ここも楽しいポイントですね。

私は居城を拡張したくて、攻略サイトでどのキャラを連れてくればこのは部分が拡張するのか?みたいなのを見ながら「この子欲しい!!!」とキャラ獲得に勤しんでました。

古いゲームなのでなかなかプレイするのは難しいかもしれないですが、ぜひプレイしていただきたいです。

以上、私の心に残ったゲームの話でした。

※実は『幻想水滸伝』シリーズの他作品はプレイしたことがありません。
やったことがあるのはこの『幻想水滸伝 ティアクライス』のみ。

なので発売当時言われていた「幻想水滸伝シリーズらしくない」という意見についてはシリーズを全く知らなかったため分かりません……のでその点ご了承下さい。

出典

公式サイト:
https://www.konami.com/games/jp/ja/products/tierkreis_ds_best/

Amazon:

BGM:


#心に残ったゲーム


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