2024夏・3つの漫画展を巡る〜CLAMP展、呪術廻戦展、ゴールデンカムイ展〜
今年の夏、心待ちにしていた展示がありました。
大好きな漫画作品の「ゴールデンカムイ展」「呪術廻戦展」、そして子供の頃からずっと憧れてきた漫画家の「CLAMP展」です。
先週やっと3つとも回り終えたのですが、“漫画”という共通項がありながら、展示コンセプトや来場者へのアプローチも三者三様。
それぞれの会場で感じたことや、見終わってから心に残った気持ちも全く違うものでしたのでぜひ紹介したいと思います。
▶︎連載完結記念 ゴールデンカムイ展 新潟会場
7月の初めに訪れたのは、新潟市で開催中だったゴールデンカムイ展。
ヤングジャンプでの連載が終了してはや2年経ちましたが、アニメ化、実写映画・ドラマ化、各地でのイベントコラボなどまだまだ供給過多で大盛り上がりしてます。
平日の朝イチで行きましたが、開場前からものすごい人数並んでいてびっくり。新潟出身のキャラクターが何名かいるので、聖地巡礼と併せて大盛り上がりでした。
館内へ入ると巨大ポスターがお出迎え。
広いロビーにパネルや巨大ポスターが飾られているという大サービス。嬉しそうに写真を撮っている人たちばかりでほっこり。
メインの展示を見る前からこんなに楽しい。
そしてようやく会場へ。
会場内には120点を超えるイラストのほか、作中に登場するアイヌ民族の民具、明治陸軍にまつわる資料が展示されています。
私はゴールデンカムイ展は3回目の来場なのですが、会場ごとに展示内容がすこーしだけ変わったり変わらなかったりするので谷垣のアットゥシは新潟で初めて見ることができました。
新潟の佐渡島出身のキャラクター、月島基。
彼の聖地求めて佐渡島へ渡った人は数知れず。
そして月島と旅を共にする鯉登少尉。
アイヌ民族文化に関する展示物。
展示品の多くが作者である野田サトル先生の所蔵であるから驚きです。
ゴールデンカムイは明治後期の北海道が舞台ということもあり、作中に登場するアイテムは現代の生活にあまり馴染みのないものが多いです。
でもこちらの展示では登場人物たちが着ている服、身につけてる小物、武器などがほとんどそのままの形で置いてあるので、リアルな質感を感じ取ることができます。
作品の世界観にどっぷり浸れるゴールデンカムイ展でした。
たくさん楽しませてくれたゴールデンカムイ展ですが、こちらの展示は新潟会場でファイナル。
でも映画とドラマ撮影するにあたってかなり精巧に小道具やロケ地を用意されているようなので、次はぜひそっちの展示も開催して欲しいです。
▶︎芥見下々『呪術廻戦』展 東京会場
続いて向かったのは、渋谷で開催している呪術廻戦展。
「呪術廻戦」というワードを目にしない日は1日もない、週刊少年ジャンプで連載中の大人気作品です。
入場は時間指定有りで、全日程完全予約制です。
並ぶの苦手な私は事前予約制が嬉しい。
7月中旬の朝イチで行きましたが、平日でまだ夏休み前だったこともあってか並んでいるのは大人の方ばかり。大人の熱量を感じる。
展示エリアは4つの“領域”で構成。
デジタル手法による「呪術廻戦」の創作過程が作者の芥見下々先生の解説、Q&Aも交えながら紹介されています。
様々なシーンのネームが下書きになり、背景と合わさって原稿が完成されていくという過程を見ることができるのですが、やっぱり作品ができあがっていく様子を見るのは楽しいですね。
原則撮影禁止ですが、アシスタントさんが描いた背景を用いたフォトスポットのみ撮影OKでした。
背景の緻密さがすごくて、まさに神は細部に宿るんだよなぁと思いながら進んだらCR私鉄純愛列車のフォトスポットがあって変な声出た。
まだ見ぬ死滅回遊編のアニメ化を思い浮かべて震える…
原稿解説ではメタ的に裏設定が語られていて、芥見下々先生の作品への思いを知ることができます。
「これはNARUTOでいうところの〜」とか「BREACHの〜」って引用が多かったのですが、2000年代のジャンプ作品はだいたい網羅してるのに奇跡的にその2作品だけ通らなかった私。どっちも履修してから出直す必要がありそう。
作品の世界観に没入できるゴールデンカムイ展とは対象的に、呪術廻戦展は俯瞰的に作品を見ることができる展示でした。
2024年人気投票ベスト3の描き下ろしイラストがめちゃくちゃ可愛かったな〜。図録には載ってなかったので会場限定でしか見れないっぽい。
あと展示の開催にあたり寄せられた芥見下々先生のコメントに「目標は来てくれた人に『マンガって私にも描けそ~!!』と思ってもらうこと」とありましたが、私も漫画家になりたいと思っていた頃があったのをちょっと思い出しました。
学生の頃は朝から晩までデッサンに明け暮れるような生活を送っていたのですが、就職してからは筆折ってすっぱり絵を描くことを辞めています。
今となってはあまり触れたくない過去なのに、最近「ルックバック」や「ブルーピリオド」で絵を描くこととそれに向き合う人がテーマの作品を目にする機会が増えて、ちょっと痛い部分を突かれたような気持ちでいたところ。
でも学生のとき、絵とか衣装とか作っていてどんどん完成に近づいていく工程ってやっぱり楽しかったなぁ。
呪術廻戦の原稿がネームから仕上がっていく様子を見て、あの時の高揚感みたいなのを思い出して、私もまたちょっと絵を描いてみたいなって少しウズウズする気持ちになってます。
少し前向きに、自分と向き合ってみる気持ちになれた呪術廻戦展でした。
HikarieHallのある渋谷ヒカリエでは、ヒカリエ事変と称してコラボイベントが開催中。
レストランでの呪術廻戦応援メニューの提供や、フォトスポットの展示などが盛りだくさん。
会場近辺は昨年アニメ化されたエピソード「渋谷事変」の舞台となっているので、作品内で登場する場所に再現サイネージも。
渋谷に来ると聖地巡礼と併せて楽しめます。
しかし呪術廻戦本当に面白いな…。
つい先日、残りあと5話だと明かされ9月30日に完結することが発表さましたね。
こんなに先の展開が予想できなくて毎話続きが気になる作品って他にないので、完結まであと僅かですが最後まで見届けたいと思います。
▶︎CLAMP展
最後に訪れたのはCLAMP展。
「カードキャプターさくら」や「魔法騎士レイアース」など、圧倒的な画力で多くの人気作品を手がけている漫画家集団であるCLAMP先生の原画展です。
後期日程が始まったばかりの8/15(火)に行ったのですが、奇跡的に待ち時間なしで入れてラッキー。
来場者は老若男女大人から子供まで、そして海外の人もかなり多くて本当に世界中から愛されているんだなと実感。
CLAMP展は他2つの展示とは対象的で、特に作者のコメントや解説があるわけではなくひたすら原画が飾ってあります。
すべて絵に込めたので、見て感じて欲しいということなのかなと。
展示されている作品数もすごいですが、なんと言ってもアナログ原画の美しいこと美しいこと…。
大事にしていたコミックスの表紙絵や、何度も何度も読み返したお気に入りの名シーンなどの原画が目の前に飾られているという感動。
どこまでも繊細で、筆の跡までもじっくり見ることができました。
1番大好きな作品、東京BABYLON。
90年代の東京を舞台に、陰陽師の主人公が東京で起きる怪奇現象や霊的事件を解決するストーリー。
とにかく表紙絵を始めとしたカラーイラストがお洒落で、今から34年も前の作品だというのに今見てもちっとも年代を感じさせないデザイン。
私の中で、北都ちゃんがCHANELのリップで結界張るシーンを超えるものは未だないです。
子供のころ憧れた魔法騎士レイアース。
戦うヒロインは格好良い!
風ちゃんが好きで、ずっと髪の毛くるんくるんのボブヘアの女の子の絵ばかり描いてたな。
私はレイアースとカードキャプターさくらで足を突っ込んで、こんなんもありますぜ?って東京BABYLONやXに手を染めて行き聖伝まで読みきったところで中二病が完成した感じです。
Xの原画もどこまでも繊細でこだわりが詰まっていて素晴らしかった…。
カラー原画は撮影不可ですが、モノクロ原画含む多くのエリアが撮影可。
そして途中からデジタル原画に切り替わったことに気付かないほど、どんな画材でも完璧に使いこなしているので圧巻。
CLAMP先生ってほんとすごい。
IMAGINATIONエリアでは単行本がずらり。
こっちの壁に飾られてた作品、2003年くらいまでの作品とツバサ・クロニクルは全部持ってて自分でもびっくりした。
夢中になっていたあの頃を懐かしみつつ、今見てもどの作品も改めて大好きだなって思います。
CLAMP先生の作品の世界観って本当に夢があって、創作の素晴らしさを実感するCLAMP展でした。
▶︎図録のススメ
気に入った展示でもっぱら購入しているグッズが図録。
何が良いかと言うと展示内容をまるっとそのまま家に持ち帰って、後からじっくり見返すことができます。
会場が混雑してて仕方なく飛ばしてしまったりするときもあるし、あと写真OKの会場だとついつい写真を撮ることに必死になっちゃうときありますよね。
ガラスケースに反射が入ったり、角度が決まらなかったり…でもそれ図録にはめちゃくちゃ綺麗に載ってるんで!
会場では現物を見る時間に充てられます。
少しお値段しますが絶対に買う価値はある。ちなみにだいたい2,500円前後ですが、CLAMP展の図録は箔押しハードカバー仕様で5,500円(税込)でした。
図録は重くてずっしりしているほど喜ばれる。
全く異なる3つの漫画展でしたが、好きなものをより深く知ることができて本当に楽しい時間を過ごすことができました。
好きなものはたくさんあった方がいいし、好きなものにはたくさん触れた方が良いですよね。
ひとつだけ心残りが、どの展示も声優さんによる音声ガイドのレンタルがあったのけど時間の関係でパスしてしまったこと。
今まで美術展で音声ガイドを借りたことは一度もないのですが、せっかくだからレンタルすればよかったなとちょっと後悔。
次に機会があったら借りてみようかと思います。
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