骨盤を動かしてみよう Part 2(ランニングフォーム作り)
忘れた頃にやってくる体幹シリーズ。前に「骨盤を動かしてみよう」という原稿を書きました。
その第2弾です。骨盤は肩甲骨と連動させると動かしやすいので、今回も肩甲骨と連動させながら骨盤を動かす方法の説明になります。
膝を伸ばしたまま骨盤を引き上げて歩く
これって「骨盤歩き」って呼ばれているんですかね? ロボットみたいな歩き方で歩く方法です。
簡単に言うと、膝を伸ばしたまま、腰を引き上げて歩く歩き方ですね。
右足を、膝を伸ばしたまま腰を引き上げる事で地面から少し浮かばせます。この時、同時に右の脇腹から胴体の右側面を縮めて右肩を下げるんです。(下図)
単に右腰を持ち上げるだけなら、身体全体を左に傾けて持ち上げてしまうのですが、同時に右肩を引き下げ右脇腹(胴体の右側面)を縮めるようにすると、全体のバランスを真ん中に保ったまま足を持ち上げられます。
そうやって両足を交互に持ち上げて歩いていくのですが、この腰を引き上げる際に真っ直ぐ真上に持ち上げるのではなく、「後ろから回す」ように持ち上げるんです。同時に肩を引き下ろす時も、真っ直ぐ下げるのではなく、前から回すように下ろします。そして、後ろから回すように持ち上げた腰を、前から回して降ろしていく。そうやって腰と肩で円弧を描くようにします。(上図)
前に、ストレッチポールを使った「肩甲骨はがし」を説明した原稿の最後で、肩を下ろす際に回すように下ろして肩の回転運動にする、という運動を説明したと思います。
これの「クロールの動き」が、ちょうどこの動き方になります。肩甲骨を大きく回すように動かせると、骨盤と同期させて骨盤も大きく動かせるようになります。この動きで前に歩いていくのを練習する訳ですね。
骨盤も足も自転車を漕ぐように動かす
前に、足の動かし方は自転車を漕ぐような回転運動が理想なんだ、と書きました。
骨盤の動かし方も、自転車を漕ぐような前方向の回転運動になります。そして、理想としては、骨盤をそのように回す事で、それと連動して足が動いて結果として自転車を漕ぐような動きになると良い訳です。
それができるようになるためには、1つ目が今回説明した骨盤の動きができるようになる事で、2つ目が、足の動きをドリルをしっかりして自動化しておくことです。
それができると、骨盤を後ろに回しながら引き上げると、それに連動して引き付けが起こり、足が上に引き上げられます。骨盤を上で前に移動させるのと連動してシザーズが起こって膝が前に行き、それに遅れて足が上の方で前に出ていきます。そのように、足の動きの一つ一つをドリルで自動化していくと、骨盤を回してやると足も自動的に回るように動いてくれるんです。
これが、骨盤の「縦回転」の動かし方の説明でした。
実は骨盤の動かし方は、横方向に捻る動きもあります。そちらは次の機会に説明したいと思います。
(2つの動きを組み合わせたのがランニングの骨盤の動きになります。)
ちょっと長い補足説明:実際の動きは
また例の通り、本文より長い補足説明の時間です。
体幹を動かす練習としては、こうやって円弧を描くように動かすので良くて、実際に走っている時の身体感覚(自分がこのように身体を動かしていると感じている事)も骨盤を円運動させている感覚に近いのですが、実際の骨盤の動きは円弧にはなりません。円を縦方向に潰した、横に平べったい円になります。(下側の方が潰れてほぼ平らくらいになるので、鏡餅みたいな形ですかね。)
というのは、着地の衝撃で身体が縦方向に潰れ / 縮み、それが復元する事で全身のバネでジャンプする事になるからです。つまり、円弧を描くように動かそうとして骨盤を下に引き下げる時に、着地して上向きに地面から力を受けて下にいけなくなる感じです。そして骨盤を引き下げる力と地面からの上向きの力が押し合う事で、骨盤が「潰れるように」前傾する(立った状態から前向きに傾く)というのが理想的な動きなんだと思います。
そして、それを踏まえると注意が必要なのが、肩の動き・腕振りです。骨盤は自転車を漕ぐように円弧に回そうとしても地面からの力で潰れてほぼ並行に動くのですが、連動して動かす肩の方は、同じように円弧に回そうとすると、着地の衝撃のような力が働かないため、そのまま回ってしまうんですね。
で、そうなると、例えば右足が設置している時、右の骨盤が下を通そうとするので対称に動く右肩は上側を回る事になるんですね。そうなると都合が悪いんです。
というのは、前に書いた「全身のバネで弾む」という話。
この時、全身のバネでジャンプするために、接地時に上半身も縮める必要があって、右足で接地している時は特に右側を縮める必要があるのですが、その時に右肩が上がっていると右側を縮める事ができなくなる訳ですね。できれば右足で接地している時は上半身を縮めるため右肩を下げてあげたいのです。
なので、肩の方は走っている時は回すのではなく振り子のように動かしたい所です。そうすると同じ側の足が接地している時も腕が下を通る時に肩も下がって上半身が縮み、背骨の撓み(たわみ)のバネも上下方向のジャンプに使える事になります。(その分、足のバネを使わずに済む、という事です。)
という事で、クロールのような、もしくは子供がやる汽車ポッポみたいな肩を前回しにする腕振りは、しないようにしましょう。(ドリルはあくまで、骨盤と肩甲骨を連動して動かす練習です。)