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Play list “Winter Melancholia Continues ” Ikeda K. Play list 2025.01.11.

昨年末に続き、今回も高円寺コネクシオンでの「Groovy Music Research」に参加。今回も冬を感じる曲というお題。昨年、寒くなるのが遅く、ちょうど今回の選曲を考えてた頃に急に冷え込んできました。 そんな時期にいつも思い出すのが物凄く冷えこみ、街中でも夜になると、街灯くらいしか照明がなく、暗く沈み込んだようになるロンドンの冬。 ロンドンに行く時期がいつも冬だったので、そのイメージが強いです。 ということで、ロンドンをイメージしながら、選曲スタート。 と言ってもイギリ

彼の作品の晩年の頂点はやはり「async」だと言えそう。「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」@東京現代美術館

1月2日からオープンしているという事で、 木場の東京現代美術館で、昨年末から開催中の 「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」に行って来ました。外国人も含む多くのお客さんで混んでました。ダムタイプとのコラボが多く、一昨年より、京都、初台、八重洲などで観た記憶があるインスタレーションが多く展示されていました。 現代芸術、現代音楽、フィールド・レコーディングをこれだけ多くの人達に届けた事は素晴らしいと思います。  彼の作品の晩年の頂点はやはり「async」だと言えそうで、インスタレ

バブルの時代、僕たちは、これは1920年代パリの”ベル・エポック”だと信じ、享楽的に浪費していた。「モダーンズ」(The Moderns)/アラン・ルドルフ監督(1988)

「モダーンズ」(The Moderns)/アラン・ルドルフ監督(1988) 日本がバブルに向かい企業が”メセナ“という名目で、”文化“お金を使うことで、多くの美術展が開催され、街中に”アート“があふれ、人々がそのゴージャスな世界を享受していた頃に、日本でも公開された作品。 映画の舞台は1926年のパリ、第一次世界大戦が終わり、戦勝国は好景気に沸き、その中でも”新興国“として、台頭してきたアメリカのアーティストたちが、パリを訪れ、パリの社交界、芸術界と交流した時のことが描かれ

ロンドン愛な僕が大好きな映画を再見。ひかりのまち(Wonderland)/マイケル・ウインターボトム監督(1999)

大好きな映画を再見。何が好きかというと、まず多くの人物が登場し、彼らそれぞれが、孤独と不安を抱えながら、ストラグルしながら生活し、その人生が交錯しながら、ストーリーを紡いでいく群像劇であること、そんな登場人物たちや彼らの生活を優しくメランコリックに包みこむようなマイケル・ナイマンの音楽、マイケル・ウインターボトム監督(は僕と同年代であり、70年代後半から、80年代前半かけてのティーンエイジャーから20歳代前半にかけて、パンク、ニューウェーブの空気感を共有した世代に通じ合える何

やっとPunk 色が出てきたStiffの第2弾コンピ Hits Greatest Stiffs(1978)

こちらはStiffのコンピ第2集で、グレイテストと名打ってますが、そもそもシングル10枚しか出してないので、そのシングルが収録されてます。オープニングが記念すべきStiffの第一弾シングルNick Loweの「Heart Of The City 」。 そして続くはPink FairyのStiffでの唯一のシングルと時代のスピード感を感じる楽曲です。 とはいえ元Ducks DeluxeのTyla Gang が「テキサス・チェンソー・マサカー・ブギー」なんていうパブ・ロック感

Play list “Winter Melancholia” Ikeda K. 2024.12.07

はじめてのDJは、高円寺のコネクシオンで。 今回参加する「Groovy Music Research」のテーマは ”Song Of Winter”。 そこで僕は、冬のメランコリー(Winter Melancholia)   というイメージでセレクト。暖かい部屋で、微睡みながら物思いにふける時に流したい音楽かなと思います。20分のセットを2回担当することになりました。 First Set 1.Maybe/Jill Read まずオープニングは、誰も知らないけど、どこか懐かしさを

これはパンクなのかと恐る恐る聴いたStiff のコンピレーション「A Bunch of Stiff Records」 (1977)

音楽雑誌ではロンドンではパンク・ロックが盛り上がっていると言う記事を見る事もあるが、音を聴きたくてレコード屋さんに行くも売ってなく、それらしきものとして買ってきたのがこのStiffのコンピ。 収録されているのは、知らない人ばかりで、唯一知識があるのは、同時期にシングルを何枚か買ったNick LoweとMotor HeadのLemmyの名をHawkwind のライブ「宇宙の祭典」で見つけたくらいでした。 聴いてみてもこのオッサンぽく、B級な感じがこれは本当にパンクなのかと謎が

80年代前半のNYの雰囲気 それはフェミニズムが輝いた時代でもありました。「Bette Gordon Empty New York 」

高校生の時にジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』を観て、何かを感じ、フランスに留学。パリでは真っ先に『勝手にしやがれ』のラストシーンの場所に向かった彼女は、現地で1968年のパリ5月革命の「政治の時代」の若者の運動やその空気に触れるともに。街の映画館やシネマテークに通いハリウッド映画とは全く違うフランス、ドイツ、日本 そしてサイレント映画を観て、彼女の映画への道が開けたと言います。そして、彼女が言及するのが、ニュージャーマンシネマ、特にライナー・ヴェルナー・ファスビ

Once ダブリンの街角で/ジョン・カーニー監督(2007)

2016年、アイルランドへ初めて行く前、その情報収集のためと思いと観た映画「Once ダブリンの街角で」 HMVの前やテンプルバー近くのフィル リノットの銅像の前などで撮影されていたので良い予習になりましたが、内容は売れないSSWと東欧からの学生のロマンスを軸、ロンドンでのデビューを目指し、一緒にレコーディングをするなど、曲つくりの過程が描かれたりと音楽好きにたまらない内容で収録された楽曲が大変よいのですが、どこかで見た人たちだと思い記憶をたどっていくと数年前に買ったThe

Damon &Naoki with Kurihara Japan tour 2024

Damon&Naomiは 90年代にNirvana らによるグランジの隆盛への反発として、生まれた暗いメロディと歌詞、抑制の効いたスローテンポのリズムにミニマルなアレンジのスローコア、サッドコアとも呼ばれた音楽スタイルのバンドに大きな影響を与えたバンドのひとつGalaxie500が前身。 彼等の音楽を聴くとテクノロジーの発達によりどんどん情報を処理して行かねばならない日常と全く違う時間の経過を忘れさせてくれる緩やかで穏やかな酩酊感を感じられ、もっと深くかつフラットに物事を捉

sounds and silence~ECM records サウンズ&サイレンス~ECMレコード (2009)

ドイツの音楽レーベルECM。その創始者であるマンフレット・アイヒャーが各地を旅しながら、レーベル所属アーティストのレコーディングやライブパフォーマンスをプロデュース光景を中心に収めたドキュメンタリー。 この映画は海外で十年以上前に公開され、僕もDVDで持っていますが、初の日本公開なので、映画館でじっくり観たくて行ってきました。 ECMと言えば、ブルース色を排し、ニューヨークの夜のタバコの煙とは、無縁の透明感のあるジャズの作品を長く発表し、美しく統一感のあるジャケットのアート

ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?(2023)

ベトナム戦争、キング牧師やロバート・ケネディの暗殺などの混乱を収束すると公約し大統領になったニクソンはベトナム戦争を逆に加速してしまい一度落ち着いた反戦ムードが高まり、かつ当時開催されたウッドストックフェスティバルは30万人、40万人と言われる若者を集め、音楽とドラッグがリードしたフラワームーブメントは頂点と達していました。加えて英首相チャーチルにより「鉄のカーテン」と名付けられた東西冷戦は核兵器の恐怖で一触即発の状況だったといいます。 そんな社会と政治の状況で現れたブラッド

gHOSTS oF pRINCES iN tOWER / Rich Kids 45years anniversary remastered

昨年のRSDに出たRich Kids のファーストのリマスター盤。それにしても読み辛い大文字と小文字の逆転。 当時のふれこみはSex Pistolsを脱退したGlen Matlockのバンド。 当時 ピストルズで曲を書いてたのは彼という話があったので、赤盤で出ていたデビューシングルに続いて期待して聴きました。 プロデュースはMick Ronson。 曲やアレンジはバラエティに富んでおり、Glen曲はポップで 全然攻撃ではなく、これはPistolsのイメージではないなと思って

Haircut 100 42年振りのNick Hayward参加の新作とツアーというニュースが入ってきたので、今日はNick の初ソロ作「風のミラクル」(1983)。

さあソロで頑張るぞという感じの「When it started to begin」から始まる粒揃いの曲は全て彼の作品でブラスアレンジやプロデュースも自ら手掛け、このアルバムからは4枚もシングルカットされました。共同プロデュースはThe Beatlesのエンジニアとして名高いGeoff Emerick 。彼のプロデュースElvis Costelloの「Imperial Bedroom 」の少し後の録音の関係かSteve Nieveも参加。当時 ニューウエーブ系の作品によく参加し