池田 和正

Men’s Bigi,LEGO,Amazonを経て、現在はキャリア・コンサルタント。音楽と映画を中心に書いています。

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ザ・スミス ヴィジュアルアーカイブ展  ロミ・モリ×音楽評論家保科好宏氏トークショー 「ザ・スミス 1984年」

今日は神保町のギャラリーカワマツで The Smithsのライブの撮影をされていたロミさんと音楽評論家としてライブにも立ち合われた保科さんが日本人で何人もいないはずのライブの証人としてお話。   司会は「お騒がせ モリッシーの人生講座」の著者でモリッシーの自伝の翻訳という難事業を担当された上村彰子さん。  1984年当時、全く情報がない中で、The Smithsに出会った時の事を思い出しながら、楽しい時を過ごせました。 ①そこでまず僕の話。 僕の初スミスは デビュー7インチシ

    • 80年代前半のNYの雰囲気 それはフェミニズムが輝いた時代でもありました。「Bette Gordon Empty New York 」

      高校生の時にジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』を観て、何かを感じ、フランスに留学。パリでは真っ先に『勝手にしやがれ』のラストシーンの場所に向かった彼女は、現地で1968年のパリ5月革命の「政治の時代」の若者の運動やその空気に触れるともに。街の映画館やシネマテークに通いハリウッド映画とは全く違うフランス、ドイツ、日本 そしてサイレント映画を観て、彼女の映画への道が開けたと言います。そして、彼女が言及するのが、ニュージャーマンシネマ、特にライナー・ヴェルナー・ファスビ

      • Once ダブリンの街角で/ジョン・カーニー監督(2007)

        2016年、アイルランドへ初めて行く前、その情報収集のためと思いと観た映画「Once ダブリンの街角で」 HMVの前やテンプルバー近くのフィル リノットの銅像の前などで撮影されていたので良い予習になりましたが、内容は売れないSSWと東欧からの学生のロマンスを軸、ロンドンでのデビューを目指し、一緒にレコーディングをするなど、曲つくりの過程が描かれたりと音楽好きにたまらない内容で収録された楽曲が大変よいのですが、どこかで見た人たちだと思い記憶をたどっていくと数年前に買ったThe

        • Damon &Naoki with Kurihara Japan tour 2024

          Damon&Naomiは 90年代にNirvana らによるグランジの隆盛への反発として、生まれた暗いメロディと歌詞、抑制の効いたスローテンポのリズムにミニマルなアレンジのスローコア、サッドコアとも呼ばれた音楽スタイルのバンドに大きな影響を与えたバンドのひとつGalaxie500が前身。 彼等の音楽を聴くとテクノロジーの発達によりどんどん情報を処理して行かねばならない日常と全く違う時間の経過を忘れさせてくれる緩やかで穏やかな酩酊感を感じられ、もっと深くかつフラットに物事を捉

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          sounds and silence~ECM records サウンズ&サイレンス~ECMレコード (2009)

          ドイツの音楽レーベルECM。その創始者であるマンフレット・アイヒャーが各地を旅しながら、レーベル所属アーティストのレコーディングやライブパフォーマンスをプロデュース光景を中心に収めたドキュメンタリー。 この映画は海外で十年以上前に公開され、僕もDVDで持っていますが、初の日本公開なので、映画館でじっくり観たくて行ってきました。 ECMと言えば、ブルース色を排し、ニューヨークの夜のタバコの煙とは、無縁の透明感のあるジャズの作品を長く発表し、美しく統一感のあるジャケットのアート

          sounds and silence~ECM records サウンズ&サイレンス~ECMレコード (2009)

          自分史と日本史の過去から未来へ続く関係 「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション~ひとりの精神科医が集めた日本の戦後」 @東京都現代美術館

          日本現代美術最高峰のコレクター高橋龍太郎氏の目から、戦後日本の変遷を辿る展覧会。 最近僕は、歴史家の俯瞰した客観的な目線でなく、個人の自分史、つまり個人の体験とその時に感じ考えたことの記憶からから、歴史が語られることに、リアリティを感じ始めているので、楽しみにしていた展覧会でした。 高橋龍太郎氏は、1946年生まれてというと団塊の世代として、学生運動に身を投じ、映像作家を目指し、学生新聞の編集に参加し、サルトル来日の記事にも関わったとされるインテリ医大生であり、彼の青春は、文

          自分史と日本史の過去から未来へ続く関係 「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション~ひとりの精神科医が集めた日本の戦後」 @東京都現代美術館

          ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?(2023)

          ベトナム戦争、キング牧師やロバート・ケネディの暗殺などの混乱を収束すると公約し大統領になったニクソンはベトナム戦争を逆に加速してしまい一度落ち着いた反戦ムードが高まり、かつ当時開催されたウッドストックフェスティバルは30万人、40万人と言われる若者を集め、音楽とドラッグがリードしたフラワームーブメントは頂点と達していました。加えて英首相チャーチルにより「鉄のカーテン」と名付けられた東西冷戦は核兵器の恐怖で一触即発の状況だったといいます。 そんな社会と政治の状況で現れたブラッド

          ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?(2023)

          アフターサン(aftersun)/シャーロット・ウエルズ監督(2022)

          両親が離婚し、別々に住んでいる父と娘が久し振りにバカンス行った時に娘が撮影した映像。そして成人した娘が、その後亡くなったと思われる父親が抱えていた問題や悩みをその映像の中に見出す事で、当時の父親の心情を自分が現在置かれている状況を重ね合わせている。。 そんな映画を観ていてまず以下のような事を考えました。 映像の中で監督が伝えたい事やストーリーをどの程度説明的に描くかは、映画がどのようなものになるかの大きなポイントになると思われます。例えば ハリウッド映画だと多くの人に観て楽し

          アフターサン(aftersun)/シャーロット・ウエルズ監督(2022)

          田名網敬一 記憶の冒険

          新国立美術館館で大回顧が始まってから少ししお亡くなりになった田名網敬一さん。 1人の作家の生涯の作品を集めたこういうレトロスペクティヴな展覧会というのは、 その作家が幼少期受けた衝撃が原風景として提示され、時代やそこで出会う人に影響を受けながら、段々自我の確立とともに、作風が独自なものとして完成される場合が多く、時代と個人を照らし合わせながら、そして時には、自分の経験も思い出しならながら鑑賞するのはいつも楽しい事です。 僕が彼の名前を意識したのは割と最近で、2007年に発売さ

          田名網敬一 記憶の冒険

          「自由の暴力」(旧題:自由の代償)/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督(1974)

          国内盤DVDは高騰しているため、Criterion版(英題:Fox And His Friends)を買ってきたところで、日本でもファスビンダー傑作選2024で上映されるということで、まず映画館で観たあと、家でCriterion版を観ています。 「以下ネタバレも含みます」 公園に設置された見世物小屋の呼び込みから映画が始まります。 見世物小屋のオーナーと思しき司会者が、3人のストリップ嬢(1人はイルマ・ヘルマン!)を紹介し、「本日の目玉の出し物は、胴体のない生首が、しゃべり

          「自由の暴力」(旧題:自由の代償)/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督(1974)

          「こわれゆく女 A Woman Under the Influence」/ジョン・カサヴェテス監督(1974)Film版

          フィルム上映の美しさ、鑑賞体験の素晴らしさの再評価を目指す映写技師が監修する35mmフィルム上映イベント「FILM座」の第一回として、ジョン・カサヴェテス監督作品「こわれゆく女」が上映されるので、観てきました。 主演は、最近お亡くなりになったジーナ・ローランド。そのカッコよさという点では「グロリア」がありますが、不安定な精神状態を迫真に演じるという点では、「オープニング・ナイト」を抑えて、この「こわれゆく女」の彼女には圧倒されます。146分という長尺の作品ですが、土木作業員(

          「こわれゆく女 A Woman Under the Influence」/ジョン・カサヴェテス監督(1974)Film版

          エフィー・ブリースト/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品(1974)

          「小説の映画化は、それが小説であるとわからせる形で行うべきだ」というファスビンダーによる19世期を舞台にしたドイツの文芸作品の映画化。 まず精緻なモノクロの映像の美しさに惹かれますが、ナレーションの多用、頻繁なカット割り、練り上げられているようで、実は感覚的なファスビンダーらしい雑さ。 話は17歳の自由な精神を持つ娘が、19世紀の貴族社会のなかで、思うがまま振る舞うものの結局、社会に押しつぶされるもので、その時代に生きる個人がその独自性(時には性癖)ゆえ、苦闘というテーマは

          エフィー・ブリースト/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品(1974)

          gHOSTS oF pRINCES iN tOWER / Rich Kids 45years anniversary remastered

          昨年のRSDに出たRich Kids のファーストのリマスター盤。それにしても読み辛い大文字と小文字の逆転。 当時のふれこみはSex Pistolsを脱退したGlen Matlockのバンド。 当時 ピストルズで曲を書いてたのは彼という話があったので、赤盤で出ていたデビューシングルに続いて期待して聴きました。 プロデュースはMick Ronson。 曲やアレンジはバラエティに富んでおり、Glen曲はポップで 全然攻撃ではなく、これはPistolsのイメージではないなと思って

          gHOSTS oF pRINCES iN tOWER / Rich Kids 45years anniversary remastered

          モッズ・スピリットのその後 「Into Tomorrow」The Spirit Of Mod 1983-2000

          70年代後半に「さらば青春の光」の公開もあり、盛り上がったモッズリバイバル(Neo Mods)は1982年 突如The Jam の解散発表で終止符が打たれ、Paul WellerはThe Style Council(スタイル評議会)というコンセプトをバンド名にして活動を始めます。 そしてこれはモッズのスピリットがどのような音楽的変遷を辿ったかをまとめたCherry Redからの4CD。 よってこのコンピは“モッズのスピリットは持っていよう“とPaul Wellerが言ってる

          モッズ・スピリットのその後 「Into Tomorrow」The Spirit Of Mod 1983-2000

          Haircut 100 42年振りのNick Hayward参加の新作とツアーというニュースが入ってきたので、今日はNick の初ソロ作「風のミラクル」(1983)。

          さあソロで頑張るぞという感じの「When it started to begin」から始まる粒揃いの曲は全て彼の作品でブラスアレンジやプロデュースも自ら手掛け、このアルバムからは4枚もシングルカットされました。共同プロデュースはThe Beatlesのエンジニアとして名高いGeoff Emerick 。彼のプロデュースElvis Costelloの「Imperial Bedroom 」の少し後の録音の関係かSteve Nieveも参加。当時 ニューウエーブ系の作品によく参加し

          Haircut 100 42年振りのNick Hayward参加の新作とツアーというニュースが入ってきたので、今日はNick の初ソロ作「風のミラクル」(1983)。

          Summer of 85/フランソワ・オゾン監督(2020)

          夏休みは避暑地に行ったり、田舎に帰ったりと環境の変化が特別な体験を生み、思い出を長く記憶に残すわけですが、一方「ナイフで切ったように夏が終わる」なんていうPARCOの秀逸な広告コピーが今でも記憶に残るように、その儚区、急に終わる記憶はソフトフォーカスの淡い映像として脳裏に刻まれるわけです。 そしてこの映画は死のイメージに取り憑かれたホモセクシャルな若者の「ひと夏の体験」。 原作は「俺の墓で踊れ」。イギリスで82年に出版されたこの小説に描かれた80年代のムードが映像でもよく描か

          Summer of 85/フランソワ・オゾン監督(2020)