『逆・楢山節考』
本書『姥捨』読後の乃公、愚にもつかぬ雑感二題以下に編み出したり。
▼あらすじ
妻の浮気を発端に、なぜか夫も含めて夫婦心中しようと死に場所を求めて水上に出向いたその道中、夫が終始ウダウダと弁明を繰り返した末に結局死にきれず、崖から転げ落ちた妻の有様に嫌気が差し離婚するに至った苦心談。
▼雑感① 〜 かず枝と叔父の笑い 〜
本書は『姥捨』という物々しさ漂う表題とは裏腹におもしろ珍道中が展開されており、道中の片割れ、妻・かず枝が終始無邪気&ノープラン人間という点も珍道中の要素ではあるが、本書ラストに登場する、かず枝の叔父に関しても同様である。以下、例を挙げる。
以上2点の発言において、元夫への皮肉というよりもなんかズレてるというか、気楽なヤツだなあと私なんかは思う。で、もっと言うと、著者・太宰治は読者を笑かしにかかっている。その露骨な例を紹介すると、次の引用もまた叔父に関する描写だが、
と、これなんかは確信犯的表記であり「残念だなあと残念そうにしていた」って、もっと上手いこと言えたやろ、というアホ臭さがある。
▼雑感② 〜 嘉七の笑い 〜
先のあらすじで述べた「夫・嘉七のウダウダ弁明」も珍道中たる要素となっており、そのウダウダハイライトを2点紹介する。
といったことを考えながら、太宰治の作品は執筆背景と照らし合わせて読むよりも「単なる物語」として読んだ方が、笑える。
以上