
あなたもきっとゲゲゲの親父に合掌したくなる🙏
昨年11月に公開され、本気で泣く大人が続出!
動員数145万人、興収2億円を記録。
話題を生んだ「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
人間の根源的恐ろしさとは!
23年一番の陰鬱な映画!
子供の頃に見ていたアンパンマンのような「ゲゲゲの鬼太郎」ではなく、金田一のような謎解きサスペンス+人間の性(さが)。
大人向けPG12の映画です。
都市ボーイズとはやともさんのレビューを見て映画館に足を運ぼう×2と思っているうちに公開終了となってしまいましたが、先日アマプラで配信されたので見ました。
目玉のおやじが、目玉のおやじになる前のストーリー。
鬼太郎の出世の謎、何故人間を助けるのか、鬼太郎の親父の物語です。
〜あらすじ〜
終戦後の日本、民間で血液の売買を行う血液銀行に勤め、上司にバカにされたりしながらも出世を密かに狙う水木。
大手製薬会社であり日本のトップ企業でもある得意先の頭取の訃報を受け、次期頭取に顔を売っておこうと一族の住む、人里離れた村へと向かいます。
血液銀行からの任務は一族の持つ「M」製剤の秘密を探ること。
なんでも、日本復興の背後には、この「M」の力があり、一族はMのおかげで富を成した。
当然のこと、どこの製薬会社もその製造方法を知りたがるのだが、どこでどのように作られているのか、中身が何なのかは謎であった。。。
一族の屋敷で水木はある男と出会う。
銀髪、長身、スリムで一風変わった雰囲気の男。これがのちの目玉おやじとなる。
跡取り争いで死人まで出てしまった一族に巻き込まれ、よそ者だからと捕えられてしまった男と水木は時間を共にすることとなる。
ある日突然行方不明となった妻をずっと探し歩いているという彼。
そこで水木は妻探しを手伝うことを条件に、自らに課された任務「M」製剤の秘密を探ってもらえないかと、見えない物を見たり、不思議な力を操る謎の男(ゲゲ郎と命名)に提案する。
そしてバラバラに思えた2人のミッションは次第に重なり始めるのだった。
果たして水木は自身の欲深さを選ぶのか、それともゲゲ郎との約束を選ぶのか。
終盤15分が見どころ!(以下ネタバレあり)
「M」の原料とされていた仲間や妻が生きていて欲しいという一心で、駆け出すゲゲ郎。
彼らは幽霊族。人間よりもずっとずっと前から存在し、ゲゲ郎の妻は大変美しく優しい心の持ち主で、嫌がる他の幽霊族とは違い、あえて人間と一緒にいることを選び、働いていた。
その優しさが災いをもたらし、欲深い一族に見つかってしまったのだった。
妻は今。。。。
身体中の血を抜かれ続けながらも、生きることを諦めず、なんとかゲゲ郎が来るまで耐えていた!
守るべきものがあったから。
そう、お腹に大切な子供が宿っていたのです。
妻も子供も取られてなるものかと戦うゲゲ郎だが、相手の力に及ばず万事休す!
という所で負け戦を共に闘った水木が現れるのだが、敵に良い条件を出され欲をくすぐられます。
水木は戦争で経験した屈辱、権力への疑問を抱えながらも、長い物に巻かれて生きてきたが、今回は自らの信念でゲゲ郎との約束、いつしか芽生えた友情を守ることを選んだ。
無念にも血を抜かれて息絶えた幽霊族の仲間たちの怨霊が渦巻く中、それを抑えるべき結界が崩れてしまう、その時ゲゲ郎の下した判断は。
一度生まれた怨念はそう簡単には消え去りはしない。怨念が怨念を生み、より大きくなってしまう。
我が子が生まれてくる世界のために、
そして真の【友】だと思える水木の生きる未来のために、
自ら恩怨の依代となることを選んだのだった。
ゲゲ郎の身体は怨念の数に耐えきれず、崩れてしまったが、目玉がひとつだけ残り、【目玉のおやじ】となって鬼太郎の成長を見守り、妻と我が子を守ってくれた水木への恩を忘れず人助けを続けるのでした。
ゲゲゲの鬼太郎エピソード0。
おしまい
〜感想〜
期待が大きすぎたのか、泣くまではいかなかったけど、人間の欲深さ、愚かさをこれでもかというほど目の前にマジマジとつきつけられると同時に、尊い愛、友情、真の責任感を感じるアツい作品だった。
「おまえが犠牲になることなんてない!」と依代になろうろとするゲゲ郎へ呼びかける水木の言葉に答えるゲゲ郎の姿に、真に何かを守ろうとする時、人は強くなり、そこに【自己犠牲】という概念は存在しないのだと改めて感じさせられた。
ただ突き動かされて、必要なことをやるのだ。
だから敢えて、これは自己犠牲だなと自分で思っている案件は、自らの意志で止めること、もしくは改善する余地、すなわち見直しの必要があるのかもしれない。
さいなら、さいなら、さいなら
淀川たま治