オーストラリアシェフライフ。頑張ってもうまく行かない、そんな時は。。
頑張ってきたけど、もうダメだ。
もう、イヤだ。
諦めそうになるけど、頑張ればうまくいくかもしれない。
ひとりさんの、この言葉。
本当にその通りで、くじけそうな時に背中を押してくれます。
すぐに諦めそうになる時には、よい言葉。
頑張り時に頑張れない。
まだまだ忍耐や努力が足りてないのに、諦めそう。
そんな時に、もうちょっとやってみよう!という気持ちにさせてくれます。
ですが、人は一生懸命な時ほど盲目になりやすいもの。
努力を重ねてもダメな場合は、一度立ち止まってみましょう。
自分の内側に問いかけしてみるのです。
当然のこと、私にもありました。
(最後にカルチャーショックの小噺を載せています。)
オーストラリアでシェフになってしばらく経ち、責任のある立場になりました。
キッチンのこと、ホールのこと、スタッフのこと、オーダー管理、品質管理、衛生管理、結婚式やパーティーなどイベント時の対応、マネージメントの資格も取って、何かあっても大抵のことは責任を持って対処出来るようになりました。
朝昼晩のシフト制で忙しく、感情の起伏が激しいオーストラリア人男子に囲まれた職場は精神的にも体力的にも最初はキツかったですが、徐々に信頼も、笑いを取るコツも掴んで(※ここは大阪人として絶対に外せないポイント)、チーム皆仲良く充実したシェフライフを送っていました。
私が住んでいた場所は、サーフィンと一級品のワインが有名で国内外問わず旅行者が訪れるリゾート地区で、多くのワイナリーにはワインに合う美味しい料理を出すレストランが併設されています。
そんなワイナリーの一つで働いていた私は、休みになると数々のワイナリーを訪れ、お酒と料理に舌鼓を打つ日々を送っていました。(ブリュワリーでビールも。)
うちのワインも料理もとっても美味しいんだけれど、ある日訪れたワイナリーで衝撃を受けました。
ワインはそこそこだけど、料理が圧倒的に素晴らしい。
以前訪れた際にも料理は美味しかったが、衝撃を覚えた記憶はないし、明らかに違う。
どうやら新しい料理長が東海岸から来たそうだ。
絵画のように繊細な盛り付けと、わくわくさせるような調理法がつくされた料理は、食べてみると素材の味が最大限に生かされているこれは新鋭的でネクストレベル!
ここで働き学びたいと思い、後日レストランに電話をかけ、ヘッドシェフ(料理長)と会ってお話する機会をいただきました。
現職場からのリファレンス(推薦状)もあってか、私の熱意が伝わったのか、トライアル(お試し)ののち無事、働けることとなりました。
※オーストラリアでは、多くの場合リファレンスが必要とされます。
即戦力でありながら、学ぶ。
そんな自信と意欲盛り盛りでスタートしましたが、想像以上にハードだった。
即戦力どころではない。
今までの常識が通用しない。
現実を突きつけられました。
出来ないこと、知らないことが多すぎて、シェフとして持っていた自信は一瞬のうちに崩れ去りました。
焦れば焦るほど空回りしました。
火傷も増えます。
手当をする時間がないので、火傷しても何も思わなくなりました。
最終チェックで細い針のような物を唇に当てて、温度を図る料理長。
魚や肉が1秒でも焼け過ぎれば、全てやり直し。フライパンや怒号が飛んできます。
お客様のテーブルに届くまでにも、予熱で火が入り続けることを計算しているのです。
他にも多くのことをこなさなければいけない。
毎日毎日、開店前の下準備が終わるか終わらないかギリギリの上に、更に仕事が詰め込まれてパニックで勝手に身体が震えるのを止められないながらも、やらなきゃいけないので目をひんむいて唇を噛んで、必死でやりました。
大丈夫だと自分を鼓舞していましたが、毎日不安と恐怖で怯えていたのだと思います。
仕事を終えて家の駐車場に車を止めてエンジンを切ると、ホッとして車の中で知らぬ間に寝てしまうことが多々ありました。
。。。。。たった2ヶ月ほどで身体は病み始めました。
急に奥歯が痛くなり、歯医者に行くと即抜くハメになりました。
次に咳が止まらなくなりました。
それでも身体からの悲鳴を受けとることができずに、ついに血便が出ました。
4cmの大きなポリープが出来ていて、開腹手術のため3〜6ヶ月安静になりました。
シェフの仕事は何重キロというポテトや小麦粉、肉や大鍋を毎日扱います。
お腹をかばって働き続けることは無理です。
ここまできて、やっと立ち止まることができました。
事実を客観的に見て、出来ないことを出来ないんだと受けとめることができました。
自分を磨こう!という向上心で努力しているつもりでしたが、
料理長の圧倒的な才能と、時間を全く惜しまない努力と労力を目の前に、自分はそこまで本気でないことに気がつきました。
体力がない、年齢的に無理だと思っていたけど、そこまでの情熱が無いことに気が付きました。
それと、努力だけでは到達できない【才能の壁】というものがあることも目の前で見せてもらいました。
逆に才能があっても努力しなければ、才能の持ち腐れになります。
才能だけ、努力だけではどうにもならなくなる一線があることを知りました。
【努力×才能(持って生まれたもの・資質)】で人は真に輝くのでしょう。
だからこそ、自分をよく知ることが大切なのです。
自分を知れば知るほど、よく理解すればするほど、何がしたいのか、何が得意なのか、何を努力しないといけないのか、どう生きたいのか、といったようなことが、わかってきます。苦手と思い込んでいたことが、実は得意だったりもします。
事実は受け止めたものの、私はオーストラリアでシェフとして生きていく!と100%の思いで生きていたので、正直戸惑いました。
ですが身体の悲鳴のおかげで立ち止まることとなり、私の資質は、一流シェフとして腕を磨きバリバリ働くことで輝くものではないことを存分に思い知ったおかげで、未練なく諦めがついたのです。
同時期に別の問題にも直面していた私は、この直後乳がんになり、内側への探求へと道を進めていくことになります。
では、料理をやめたのか?
いいえ、それからもレストランで働いたりと、今も二足のわらじで料理に携わるお仕事をさせていただいていますが、今が一番自分の食いしん坊やアイデア、芸術性などの資質を生かしたピッタリな働き方になっています。
Lokoに加え、こちらも私の大切なソウルワークの一つです。
本当に好きなこと、やりたいことは続けられます。残ります。身になります。
一つのことを追求してコツコツ長く続けることが得意とされる蠍座でありながら、そういうことが大の苦手な私ですが、食べ物に携わることと、魂に関することだけは続いていて、日々新しい発見があり、飽きません。
そして一生飽きることなく、探求していくのだと思います。
頑張ってもダメな時は、やり方や方法、思い込みなどに疑問を持って、一度自分の内側に答えを求めてみることをオススメします。
あなたのピッタリが見つかるかもしれません。
この頃の私が、【内観】を知っていれば色んなことを回避できたのではないか、教えてあげたかったと思いますが、痛い思いをしたからこそ、自分を知ることの大切さを伝えたいという思いに繋がっているので、必然だったのだと感じています。
Holistic salon loko では、内観や自己探求ワークショップなど、自分の才能・資質や本当の自分、ありのままの自分を知って、実生活に生かして生きるためのメニューをご用意しています。
(オンラインでの対応可)
気になる方はお気軽に、トップページのお仕事依頼からメッセージください。
ここで小噺。
海外に住んでみて受けるカルチャーショック。
私にとっては食文化よりも笑いの文化にショックを受けました。
笑いは関西人にとって、大切なコミュニケーションツールです。
オーストラリアにはボケとツッコミ文化がないので、関西的な笑いは相手がハテナ?となってしまいます。
ボケても誰も突っ込んでくれないし、突っ込むにしても、相手はボケているつもりがないので、なんでやねん!だけでは完了できません。
最初のうちはウケないとショックでした。
そして関西魂が燃えます。
何がウケるのか色々と観察して試してみました。
イギリスのダークジョーク的なものは、裏にある意味を汲み取ったりと、知的なタイプで言葉遊びや頭を使うことが好きな人にウケます。
対してアメリカンジョークは陽でオールマイティー。そつがないですが手応えがイマイチ。
相手と状況に合わせて、あの手この手で笑いの一手を繰り出す。
仕事の手も止めてる余裕はないので、同時進行です。
多くの場合は誰かをイジッたり、小学生のような単純で時に下品なジョークをやりやってる時が一番キッチンが賑わっていたように思います。
イヤだなと思っても、参加しないと置いてけぼりになっちゃいます。
女の子だからって傍観していたら、いつまでも一員になれない。
タイミングも大事。さっさと入らないと、話題は進んで行ってしまいます。
たまに面白いスタッフとシフトが一緒になると、どちらがより笑いを取るか競い合うような言葉の掛け合いがとても楽しく、水を得た魚のようになる自分に、やっぱり私は関西人だな〜、と失礼ながら他のスタッフに物足りなさを感じる私でした。。。
そんな苦労もありました(笑)
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愛をこめて
たまひろ