箱根駅伝ファンの一人として想うこと【創価大の小野寺選手やシード権を逃した選手達への尊敬】
新年の風物詩になってきている箱根駅伝
僕が中学生だった頃、叔母が駅伝に詳しかったこともあって、僕もその世界の虜になった。
今でも覚えている。第87回大会が僕を夢中にさせた。
僕を夢中にさせたのは、早稲田大学の走りだった。
当時、早稲田大学は一年生の大迫選手始め、多くの強い下級生の選手がいた。
しかし、大会直前に怪我のトラブルが重なり主力選手が出られた無くなってしまった。
その時、監督が出した結論は、今まで光の当たってこなかった四年生を出すことだった。
推薦入試ではなく、一般入試で参加した学生が多い早稲田大学では、推薦組の活躍を横目に、日の目を浴びることがなく選手人生を終えてしまう選手も少なくない。
そんな四年生を復路を中心に配置した早稲田は、序盤からレースをリードしていました。しかし、五区で山神こと柏原選手に抜かされてしまい、二位フィニッシュで往路を終えました。
そして、迎えた復路。
六区山下りで、四年生の高野選手の走りが僕を震え上がらせました。
先頭を走る東洋大学に追いついて併走していると、足が滑ってしまい転倒してしまうのです。
「あっ!!」と思った次の瞬間
高野選手はそのまま起き上がり、前を走る東洋大学の市川選手にすぐさま追いつき、抜き去っていました。
四年生だから、気迫が違うのかもしれない。仲間のために、転んで歯を食いしばっていたのかもしれない。一般組の意地だったのかもしれない。わからない。だけど、
その姿はかっこよくて、それから僕は箱根を駆け抜ける選手達のことを応援するようになりました。
ファンになって、もう10年です。
箱根駅伝の予選会を見に行ったり、出雲駅伝や全日本駅伝を応援したり、高校駅伝を見て、次の年の新しい風を期待したり、素敵な時間を過ごさせて頂きました。
本当に感謝しても仕切れません。
だからこそ、思うのです。
まず、箱根駅伝に出るってことは本当にすごいことなんです。
「今年はシード落ちしてダメだった。」
「優勝できないなんて、この代は弱いな。」
なんて、簡単に口にしますが、冷静に考えてみてください。
今、箱根駅伝に出たい人は山ほどいて、そこに出るために青春を捧げる人だって少なくありません。
そんな中、個人としてだけでなく、チームとして関東の中で20番以内に入り、そしてそのチームの中で、箱根路を走るたった10人に選ばれることがどれだけ大変なことか。
関東学連選抜を入れても210人しか走ることが許されない狭き門を潜り抜けて彼らはいるんです。
その事実に目を向けることは忘れてはいけないと思います。
そして、もう一つ大事なことがあります。それは、
あの人達はプロではないということです。
色んな考え方がある方と思いますが、プレイヤーではなく、観客が選手や球団に思ったことを言う権利があるとするのであれば、それはお金を払っているからだと僕は思っています。
その選手がプレイするために、お金を出し、応援している。投資をしているからこそ、口出しをする権利があるのかもしれないと思っています。
しかし、箱根駅伝を走っている彼らはプロではありません。
彼らは大学生なんです。学生なんです。
箱根駅伝は大学生のための大きな大会なんです。それだけなんです。
選手一人一人には人生があります。
誹謗中傷が蔓延るこの世界では、言葉という凶器を使って人の人生を狂わせることができてしまいます。
今回、創価大学が往路優勝をして、9区を首位で襷渡しをして、小野寺選手が走り出していきました。
結果として、3分以上あった差を詰められてしまい、二位で総合優勝を手にすることはできませんでした。
また、明治大学が26秒差でシード権を逃した。
ただ、この事実の裏には、チームの合計タイムとして、その差が埋められなかった。差をつけることができなかったという事実があります。
そして、駒沢大学のメンバーがタイム差をつけられながらも諦めず走ったこと、10区の石川選手が区間賞を取る走りをしたからこそ逆転優勝することができたということ。
創価大学の選手が、史上初の総合二位になるために走り切り、その偉業を成し遂げたこと。
早稲田・順天堂・帝京・國學院・東京国際大学がシード権争いを勝ち切るために各選手が走り切ったこと。
明治大学は、14位から復路で上げて11位にまで順位を上げたこと。
結果の一部を切り取って、誹謗中傷する権利は誰にもないです。
誰しもが憧れる箱根路を走った彼らを心から尊敬します。
来年、小野寺選手が奮起するかしないか気になりはしますが、その人の人生を周りは温かく見守ってあげることが、僕たち観客ができることなのかなと思ったりもします。
今年も感動と興奮をありがとうございました。
箱根路を走った皆さんを心から尊敬します。ゆっくり体を休めてください。