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第5章 採算管理と損益分岐点分析
1.採算がとれる商売かどうかの判断
「値入率」と「粗利率」
商売では、当社も「これくらいの値段で売りたい」というラインがあり、得意先も「これくらいの値段で買いたい」という気持ちがあります。
「Product out」と「Market in」のせめぎ合いのなか、両社が納得できる地点で値段が決まれば良いのですが・・。
当然ながら、このときに営業担当者は「値入率」と「粗利率」を混同しないことが大切です。
値入率とは原価にどれだけ利益を乗せているか(Mark up ratio)であり、粗利率とは売上高に占める利益の割合(Margin)を意味します。
たとえば、次のケースではいかがでしょうか ?
![](https://assets.st-note.com/img/1693553688046-h2wyRHUcYY.png?width=1200)
原価(100)に利益(30)を乗せているので値入率は30%です。ここで、
「利益率が30%もあるから、10くらい値引きをしても大丈夫」と営業担当者が勘違いしてしまうと大変です。
この商品の売上高(130)に対する利益率は23%(=30÷130)ですから、10も値引きをすると利益率は16.67%(=20÷120)になってしまいます。
下から見た利益は大きく感じますが、上から見る利益は小さいのです。
まず担当者は「値入率」と「粗利率」を混同しないことが大切です。
商品の売上による利益は、さまざまな諸費用を差し引く前の粗っぽい利益という意味で「粗利」と呼ばれます。
リーダーは全体採算を把握する
続いてリーダーは、全体採算を考える必要があります。
次のケースで考えてみてください。
A商品の粗利率は30%(=30÷100)です。
しかし粗利率30%の商品を販売しても、全体で在庫ロス50が発生すると、損益計算書での粗利率は27.5%(=550÷2,000)に下がっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1693553973810-9mbs5RtuDF.png?width=1200)
このように、個々の商品は粗利率30%で販売したとしても、損益計算書において各商品の利益率の積み上げた粗利率が確保できるとは限りません。
たとえば、出荷済の商品に品違いがあり再納品でバイク便を走らせたり、破損やクレーム処理で値引きが起こったり、在庫ロスが発生すると、全体での粗利率は思いのほか低くなってしまいます。
個別採算の積み上げが、必ずしも全体採算とは一致しないのです。
リーダーは全体での採算を考えておく必要があります。