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西加奈子さんはじめまして【まにまに/西加奈子】
私は作家さんの書くエッセイが好きです。
作家さんは普段は物語の作り手として裏方にまわり、その本人自体にスポットライトが当たることはほとんどありません。
考えていることや伝えたいことは物語のストーリーを通して、登場人物たち の言葉を通して私たちに伝えられます。
エッセイでは、そんな作家さんたちの何気ない日常について、堅苦しすぎず肩の力を抜いたような文章で垣間見ることができます。
作家さんは本一冊のこれほどまでに膨大な文章を緻密につむぎ、作品全体の構成もうなるほどに上手い。こんな作品を生み出せる人物とは普段いったいどんなことを考えて、どんなものを見て、どんなものを食べて、どんなものに心を動かされているのか、すごく気になりませんか?
今回ご紹介するのは。西加奈子さんのエッセイをまとめた『まにまに』です。
西加奈子さんて本当に面白い人だなあというのが率直な感想です。
やっぱり作家さんというのは、これいいなあとか、これすごく好きだなあとか、そういったことへの感度が高い気がします。
日常の出来事に対して心が動いたらそれを言語化できるというのも、作家さんらしいなと思います。
とはいえ、あんまり作家だからとか作家ならではのとか言ってると、”作家”という職業で簡単にくくってしまうのは少々浅はかな気がしてきました。
むしろ作品を読んだだけでは”作家の西加奈子”ですが、エッセイを読んでその人を知ると、もはや”西加奈子”です。
中でも本を紹介していく章があるのですが、やはり本の読み方とか本から吸収するものの量が自分とは違うなと感じました。そして、紹介された本はもれなく読んでみたくなり、1つ残らずそれらをメモしました。
短く区切られていて読みやすいのがこのエッセイ集のいいところでもあります。私は読み始めると相当いい区切りがない限り止まらないタイプです。
だからこうしていい感じの区切りをたくさん作ってくれる本はとてもありがたいのです。
それに西加奈子さんのなんだかすいすい読めてしまう文章も相まって、もはやむしろ一生読んでいられる!
それからこの表紙イラストも素敵です。額縁に入れて飾っておきたいくらい。それがびっくり、なんとこのイラスト西加奈子さんが描いたようです。絵も描けちゃうのか~
エッセイの1つに”さんづけのどや感”というものがあります。タモリとか太宰とかは呼び捨てだけど近しい作家さんになると○○さんとさんづけをするのはなぜか。さんづけをするとどや感がでるのはなんだろう。
といった内容なのですが、かくいう私も西加奈子”さん”です。どや感は否めませんがどうしても呼び捨てするのは忍びない気持ちです。
こんな本当に何気ない日常の一部分をクスッと笑える一節にまとめてしまうのがなかなかすごい。
ぜひお手にとってご覧ください。
本日もよい一日を!