観終わったあと勉強がしたくなる映画『ある天文学者の恋文』
私は映画や海外ドラマが好きで、複数の動画配信サービスに登録している。
どれくらい観ているのか、あるとき数えてみたところ、月に20本前後の映画を観ていた。
その時間を仕事にまわせばいいのにと、自分でも心の底から思う。
でもこれは自分なりの息抜きでもあり、映画から表現力というものを学んでいるのだと考えることにしている。
せっかくこれだけの本数を観ているのだから、おすすめの映画について語りたい。
2016年に公開された『ある天文学者の恋文』というイタリア映画だ。
あらすじはこうだ。
大学院で天文学を学んでいるエイミーは、長年にわたって天文学の教授エドと恋愛関係にあった。
エドは既婚者であり、エイミーとは親子ほど歳が離れているのだが、二人は愛し合っており、会えないときもビデオ通話やメールのやりとりでつながっている。
ある日、大学院でエイミーはエドが亡くなったという知らせを聞く。
驚きと悲しみに打ちひしがれるエイミーのもとに、亡くなったはずのエドからメールが届く。
何が何だか分からないエイミーだったが、その後もエドからのビデオメールや手紙、贈り物が次々と送られてくる…
まず驚くのが設定は“教授と教え子の不倫”ということになるのだが、二人の愛のカタチが美しく描かれている点だ。
そこは映画の作り方のなせる技としかいいようがない。
いっそエドを妻を早くに亡くした独身者という設定にした方がよかったのに…とつい思ってしまうが。
まあ不倫である点は、物語上、あまり重要でないらしい。
映画自体は、ヨーロッパの美しい街並みや風景、音楽に彩られて、美しい仕上がりだ。
そして私が言いたかったこと。
それは「観終わったあと、勉強がしたくなる」という何ともずれた感覚だ。
劇中、エイミーが卒論を完成させるために、一心不乱に勉強するシーンがある。
それを観ていると私も「勉強しなくては」「仕事しなくては」と感じたのだ。
他の人は分からないが、私はそうだった。
何十本という映画を観ているわりには、なんというレビューかと自分でも呆れてしまうが…
最後にまともなことも書いておきたい。
この映画を観ると、心から愛されるということが、たまらなくうらやましくなってくる。
そして愛する人を永遠に失うという悲しみと再生…この映画はそれを限りなく美しく描いている。
ヨーロッパ映画は暗いというイメージがあるかもしれないが、ぜひ観ていただきたい作品だ。