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バーチャルオフィスでも代表取締役の住所非表示措置はできる(できた)

先月株式会社の法人設立の登記申請をして、先日無事に登記が完了した。で、早速法人登記簿謄本を発行してもらい、先月始まったばかりの「法務省:代表取締役等住所非表示措置について」がきちんと適用されていることを確認した。非表示といっても住所の途中までは表示されるが、まぁ全部出ないだけでも十分。

ページを見ても書類が合っているのかよくわからないし、特に今回本店がバーチャルオフィスだったので、できるかどうか不安だったが、なんとかなった。同じような状況で気になっている人もいると思われるので、メモ。


前提

昨今のプライバシーにかかる種々の問題を受けて、ようやく株式会社で代表者の住所非表示措置が認められるようになった。これまでは、登記事項にガッツリのっていたので、法人を設立する=凸の恐れ不可避であり、これは自分だけならまだしも家族など同居人がいると不安も大きく、大きな需要があるだろう。

ただそのやり方はまだ情報が全然出ていないこともあり、「法務省:代表取締役等住所非表示措置について」を読み解くしかない。やり方も必要な書類もよくわからないし、「バーチャルオフィスでも大丈夫なんだろうか?」などの不安もあったので調べたが、検索に出てくるどこぞのなんとか書士のブログや企業系ブログは法務省のこのページを切り貼りして「申請が必要です!」しか書かないし本当に役に立たない。あるのは権威性だけで情報がない。

まぁそれはともかく、仕方ないので法務省のページを頑張って読み解いて不安を抱えつつも登記申請をし、無事目的を達成できたので、記事にする。前提条件は以下とする。

  • 株式会社を新規に設立する

    • 当然上場企業ではない

  • 代表取締役は複数名

  • 定款の認証は同年度に済ませている

  • 本店はバーチャルオフィス

前提が違えば書き方や必要なものも異なるので、まぁ頑張って法務省のあのページを読み解こう。

必要なもの

何をするかというと、登記の申請書類に「代表取締役等住所非表示措置を講ずるよう申し出ます」から始まるテンプレートを挿入し、かつ添付書類として以下を用意することになる。

  1. 会社を受取人にして、本店に配達証明郵便を出す。その配達証明書と郵便物受領証

  2. 代表取締役の住所がわかるもの(登記申請時の印鑑証明書を流用できる)

  3. 株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面

2は問題ない。登記申請時に印鑑証明書を添付するが、それをそのまま使う旨を申請書に書いておけばよい。何か新しく用意する必要はない。

引っかかるのは1と3だろう。

本店あての配達証明書(バーチャルオフィス可)

まず1については、とにかく配達証明郵便を出せれば問題ないので、バーチャルオフィスかどうかは問われない。で、配達証明郵便は一般書留なので、バーチャルオフィスが一般書留での受取可能なら問題ない、ということになる。恐らくこれはほとんどの場合問題ないのではないか。たとえば大手のGMOバーチャルオフィスは最安価格帯だが全然問題ない。

郵便物受領証は配達証明郵便を出すときに郵便局で受け取る。配達証明書は、配達されてから郵便局で作られて、送付元の住所に送られるハガキ。だいたい1週間も見ておけば問題ない。一般書留の料金もかかるため、940円かかった。

郵便を出す時、局員の人が張り切って「配達証明書のサンプルお持ちしますね!……あ、あれ、ない……いつもはあるんですが……」「あ、ここです!ここにあります!」「あ、そう、これ、これです!」とわざわざ探して見せてくれた笑。ローカル郵便局では地味にイベントだったのだろうか。

株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面

意味不明なのは3の実質的支配者の本人特定事項を証する書面である。なんだそれは。なんか公証役場にいってもらう必要があるのか?なんなんだ?

結論を言うと、定款の認証時にもらえる「実質的支配者の本人特定事項についての申告受理及び認証証明書」みたいな名前のやつがそれに該当する。

これについて公式サイトを引用すると以下。

(3) 株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面
以下の書面が該当します。
なお、株式会社が一定期間内に実質的支配者リストの保管の申出をしている場合は添付不要です。

・登記の申請を受任した資格者代理人*3が犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)の規定に基づき確認を行った実質的支配者の本人特定事項に関する記録の写し

*3 司法書士又は司法書士法人に限られます。

・実質的支配者の本人特定事項についての供述を記載した書面であって公証人法(明治41年法律第53号)の規定に基づく認証を受けたもの

ただし、代表取締役等住所非表示措置の申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又はその前年度に認証を受けたものに限ります。また、記載事項として、実質的支配者の氏名、住居及び生年月日が必要となります。

・公証人法施行規則(昭和24年法務府令第9号)の規定に基づき定款認証に当たって申告した実質的支配者の本人特定事項についての申告受理及び認証証明書

ただし、代表取締役等住所非表示措置の申出と併せて行う登記の申請が当該株式会社の設立の日の属する年度又はその翌年度に行われる場合に限ります。

太字の部分がそれのはず。

正直不安だったのだが、まぁ違ったら登記申請時の窓口で指摘されるだろうと信じて法務局に突撃。無事受理された。

申請書類の文面を改変

あと忘れてはいけないのは、登記の申請書に「非表示措置するんでよろしく」的な文面を挿入することである。

なんとか会社設立サービスとか使ってると、編集できないPDFが自動で作成されるが、当然使えないので、法務局にある様式(「商業・法人登記の申請書様式:法務局」)を自分で編集して頑張る。なんとこのご時世にで作り込まれた .doc ファイルであるため、Windowsのデスクトップ版Wordで開かないと大きくレイアウトが崩れる。.docxに変更したら、Mac版Wordでもまぁまぁの状態で開けるようになる。

無事、登記完了

あとはフツーに登記申請すればとおる。とおった。

登記が完了したら、謄本見て非表示(住所が途中まで開示)になっていることを確認しよう。

ちなみに既に設立している場合、代表者の住所変更時などでないと、非表示措置はできないらしい。このためだけに引っ越す人もいるんだろうか。

(もし申請書類の具体的な文面まで興味ある人は、元記事に画像まであるのでお越しください。といってもまぁ法務局にある資料のテンプレまんまですよ。)


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