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田丸久深
2024年10月26日 22:44
「たくさんお話を聞かせてもらいましたが、田丸さんって本当に頑張り屋さんですね」 紹介文用の対談時間が終わり、仲人の桜田さんがメモをまとめながらそう言った。「お仕事も遅くまで大変なのに、帰ってからスポーツジムで運動するなんて。お料理やアロマの勉強に、俳句の勉強もしたんですよね? お休みの日も着物でお出かけされて、旅行で本州に行って……パワフルというかアグレッシブというか」「よく、フットワ
2024年10月21日 23:54
○ 私が小説を書くことに対して、かつて恋愛関係にあった男性の反応を思い返してみる。 新人賞投稿時代、最終選考に残り喜びに震える私を見て「なにニヤニヤしてんだ気持ち悪い」と一蹴した元彼。本命の新人賞の〆切が迫り、この期間は小説に集中したいと伝えると「俺と小説どっちが大事なの?」と言われた。 同じく新人賞投稿時代。最終選考に残る頻度が上がり、俄然頑張る私が付き合っていたのは自称経
2024年10月20日 22:43
OL業と小説家の二足のわらじを履く生活と、結婚出産家事育児の両立は可能なのか。 この悩みを打ち明けると、決まって返される言葉がある。『稼ぎの良い旦那さんを見つけたらいいんだよ』 このアドバイスを受け、素直に行動に移せる人はいるのだろうか。 少なくとも私は、この言葉に対して引け目とも後ろめたさともいえない気持ちを抱くタイプだった。 たとえばデビュー前から付き合っていた相手だとか
2024年10月15日 01:48
○ 日曜日に3件のお見合いを終え、気疲れを引きずったまま月曜日が始まる。土日休みであれば片方の休日を自分の時間に使えるだろうが、医療の片隅で働く私は二連休も少なく、休日がすべて婚活で潰れることもままあった。「それで、昨日の婚活はどうだったの?」 職場には年上の先輩がいる。少数精鋭でまわす職場のため、同じ業務をするのは彼女だけだ。ふたりで働くうちに姉妹のような感覚になり、午後
2024年10月12日 23:24
「自分のパンツくらい自分で洗えばいいんじゃないですか?」 アラサーの枠が居心地悪くなりはじめた34歳。わたしは何度この言葉を飲み込んだことだろう。 女子アナのような清楚なワンピースに身を包み、ナチュラルメイクに控えめなアクセサリーをつけ、コーヒーカップについた淡い口紅を指で拭う。喫茶店のテーブル席、正面に座る男性が話す内容に、笑顔を貼り付けひたすら相づちを打っていた。 男性が着るのはジ