ほんとうに、固形石けんはやさしいの?
いま、ひそかに固形石けんが熱い。
エコな暮らし、環境保全、持続可能な暮らし。
どうやら社会は、「やさしい」ことに敏感なようだ。
そんななか注目されているのが、固形石けん。
その、なにがどうやさしいのかは知っているだろうか。
人に?
環境に?
成分のこと?
今回は、固形石けんの「やさしさ」についてを深掘りしていこうと思う。
成分のやさしさ
3つの成分に注目して、やさしさの検証をしてみる。
石けん素地
成分表記に、「石けん素地」の文字がある。
これは、界面活性剤のひとつだ。
界面活性剤と聞くと、体にはやさしくないイメージがある。
一部はそのとおりで、石油系の界面活性剤は肌への刺激が強い。
しかし、石けん素地は天然系の界面活性剤で、人の肌にもやさしい。
油汚れはおとし、水で流すと、洗浄成分は肌の上に残らないという特徴があるのだ。
よって、多くの固形石けんには、汚れを落とす「やさしい」成分が使われているようだ。
原料
石けんがつくられる工程は、実にさまざまだ。
そして、使われている原料も思いのほか種類が豊富である。
ココナッツオイル、オリーブオイル、ヤシ油、パーム油、牛脂、小麦、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など。
調べると、文献それぞれに多くの成分名が出てくる。
ここで気になるのが、アレルギー反応だ。
正しく固形石けんを使っても肌荒れがおきた場合は、苦手な成分が含まれている可能性も考える必要がある。
だから、固形石けんがすべての人にやさしい原料で作られているとは、言いきれない。
敏感肌の人は、買う前にパッケージ裏にある成分表を確認したほうがよさそうだ。
香料
固形石けんには、香りをつけたものと、そうでないものがある。
やさしさを求めるなら、無香料が断然いい。
ただ、香料の成分に問題があるわけではない。
気になるのは、香りの強さだ。
「香害」という化学物質過敏症が、世間を賑わせたことを覚えているだろうか。
匂いは、良い悪いの判断が個人によって大きく変わる。
固形石けんはやさしいからと、香りのことを一切気にしない使いかたは、本当にやさしいとは言えなそうだ。
香りを楽しむなら、「あれもこれも」はおすすめしない。
メリハリをつけ、節度をもって生活に取り入れたほうが、心地よく、穏やかに過ごせるのではないだろうか。
環境へのやさしさ
固形石けんは、どのくらい環境にやさしいのだろう。
自然界での成分分解
固形石けんは、自然界で分解可能な天然系成分で作られている。
そこは、やさしいのだろう。
しかし、使用料が多くなると生き物への負担は大きくなると言われている…。
ごみの排出量
あれもこれもと揃えていた洗剤類を、ひとつの石鹸に変えられたなら、ごみの量は減らせる。
お財布へのやさしさ
固形石けんは、節約になる。
ただし、条件付きだ。
それは、何本もある液体洗剤をひとつの固形石けんにまとめることだ。
例えば、ボディーソープと洗顔料を、固形石けんひとつにするのだ。
なかには、体、顔、髪、すべてが固形石けんひとつというひともいるだろう。
固形石けんは、条件付きではあるが、液体石けんを買い揃えるよりはお財布にはやさしくなる。
結局は、あなた任せなやさしさ
ここまでで、固形石けんのやさしさは、使うひとにより変わることがわかった。
正しい情報を身につけて、選ぶこと。
そして、「やさしい暮らし」を意識すること。
そうすれば、固形石けんの持つやさしさは、充分に引き出されるのではないだろうか。
まとめ
「固形石けんはやさしい。」
その言葉を聞き、石けん生活を始めた当初を思い出した。
どこかで、石けんさえ使っていれば、人にも環境にもやさしい暮らしをしているのだと思っていた。
しかし実際は、確かにそうだと言える部分もあれば、違うこともあった。
結局、やさしくするのも、そうではなくするのも、使い手次第ということだ。
消費者であるわたしたちは、売り文句に惑わされず、本質を知る努力が必要なのだろう。
そして、自分の意思で選ぶことが大切だ。
溢れんばかりの情報が渦巻くこの社会で、溺れることなく、生き抜いていくために。