【#創作】からくり #ほろ酔い文学
そこは、とある1軒の居酒屋……
ではなく、鰻や…でもあり、焼き鳥も置いてあったりするSKYなお店
すごく(S)価格(K)安い(Y)と、同時に、
せまい(S)きたない(K)やかましい(Y)の
意味合いも含む!
そして、お財布が空になるまで飲んでしまうくらい旨い!
そんなお店を親子2人+叔父さん1人で不定休で切り盛りしている
まずはビールとお新香で1杯
「すみません、ビールとお新香1」
店内には先客が頼んでいる串やきのタレがこちらの胃袋を刺激する。
小瓶とグラス、そして大量に用意してあるお新香の小皿を手際よくカウンターにならべる大将、そして伝票替わりの札、この札と串の数でお会計を計算するのだ
「すみません、あと、トマトとうなぎ串と、エリンギを1つずつ」
メニューを見ると、もも、かわ、砂肝、ナンコツ、あたま、きも、うなぎ(串)、鰻丼、鰻重、エリンギ、トマト、ピーマン、既に売り切れとばかりに裏返してある札もある
さっきから、ずっと鼻腔を炭火でタレが焼かれる匂いに胃袋を刺激されている
落語にうなぎのタレの匂いでご飯を食べるという話しを脳裏に浮かべながら自分の串が焼けるのをじっと待つ
すると、いろんな音に気がつく
炭火のパチパチ、
年季の入ったレジスターをたたく音
冷蔵庫の扉を開けたり閉めたりする音
つい、まわりのお客の会話まできこえてくる
隣の常連風の2人は今日の競馬の結果についてなにやら話しが盛り上っている、
「いや今日のレースは凄かった!まさかアオイウマが1着で抜けるなんて誰が思う!」
「全くだ!絶対アオムスメが固いハズだったのになーもう馬は止める!」
なにやら、大荒れの馬レースだったらしいがこの手の発言で本当に止めた人はみたことない。所詮、二日酔いの朝の、『酒はもう飲まない』と言ってるようなもので、その次の夜には大抵、晩酌してる
ここで、頼んだ串行列がカウンターに並んだ
「はい、おまたせ、トマト、エリンギ、鰻串」
もう、充分に刺激を受けた胃袋は皿ごと食いつきにいきそうなくらいだ
トマトは薄い豚バラがミニトマトに巻いてある串 豚バラの油と温まったトマト、塩加減が最高、いい塩梅というのはまさにこの事だな。と変に感心してしまう
ここで、こちらの存在に気がついた奥に座る常連①さん、が話しかけてきた
「トマトとビール合うでしょ?ここは旨いものしかないから!からくり食べた?からくりが旨いよー」
「いえ、からくり食べてないです、からくりってなんですか?」
「じゃあ、大将、こっちとあっちでからくり3本ちょうだい!」
なんの串か教わるまえに注文されてしまった。続けて、常連①さんの弾丸トークの的になってしまった
「今日休み?」「学生さん?」「どこから来たの?」「なんでここ来たの?」
続くエリンギを頬張りながら、頷いたり、「えー」とか「あー」とか「食べログで見て気になっててー」
最後、気になっててーと答えたところで、常連②さんも加わり、「じゃあ、からくりは食べておかないとねー」
からくりとは、そんなに名物なのか?!
「鳥軟骨もほかとは違うから美味しいよー」
「ナンコツ好きです、頼みます」
ナンコツも頼むと、ナンコツの札が裏返った!最後だったらしい…、妙な優越感がたまらない
ビールがすすむ、2本串が終わったところで本星の鰻串、一旦、お新香でさっぱりして新しいビールがきたところで 一口、うまい、ビール、うまい、もう一口…
醤油と砂糖を最初に発明した人にこの感謝を伝えたい。ああ、幸せ、鰻串、串も皿も舐めたいがそんなことはもちろんできない!
先ほど頼んだからくりと呼ばれる串が出てきた。黒々としてなにやらぐるぐる巻きに串に巻かれている。
一口食べると、なるほど旨い。
これは…!うなぎのエンガワか!
脂がすごい、タレと脂がまざって適度な噛みごたえがあり、もうこれは、またビールがすすむ。お新香もおかわりし、ナンコツが出てきた、ナンコツと言いつつ、形状はつくね??ん?
私が今まで食べていたナンコツはヤゲンナンコツ。こんな形は見たことなかった。
でも紛れもなくコリコリ食感のナンコツ。
タレとうなぎの脂でギトギトの口を整えてくれる塩梅を心得ているようだ
常連①さん常連②さん、ありがとう。
感謝を伝えるべく
「からくりとナンコツ、美味しいです。」
「そうでしょ、美味しいんだよ、また来てよ」「はい、また来ます、お二人はよく来てるんですか??」
常連であろう2人に当然の質問をしてしまった
常連①「え?おれ?w今日で2回目」
常連②「俺は出張の度に何回か」
「えっとお二人はお友達ですよね?」
①②「(笑)ここでさっき初めて会ったんだよ」
…え?wなんか期待と違う答え(笑)
まぁ、いいか!
何も、ニューヨークだけではない、人種のるつぼ。からくりを提供してくれるお店とお客さんに今日も感謝。