オシャレ番長の功罪
「ブラウスは2万円以上でないといけないのですか?」
と一時期よく聞かれたことがあります。
どうやら服飾評論家を名乗る御仁がテレビのファッションコーナーで「2万円以下のブラウスなんてダメよ」と仰ったようです。
もちろん2千円のブラウスよりは2万円のブラウスの方が質が良いにきまっています(悪質なボッタクリでない限り)。
でもそのブラウスを着る方の予算や用途によっては一概に2万円以下がダメとは言えません。(逆に2万円でもダメな場合もあるでしょう)
この服飾評論家は辛口評論家と但し書きがつくようなキャラクターが売りの方で、このような調子で常にメディアで人の服装をこき下ろしていました。人の印象に残る方法としては効果的といえます。
また最近は個人に服選びをアドバイスするスタイリストが増えてきました。下記のようなことを力説するスタイリストは少なくありません。
「最初の数秒で人の印象は決まる。だから服装は大切」
「ファッションを変えることで収入がゼロひとつ変わる」
「ファッションに無関心だと人生の楽しみが半減する」
確かに一理あります。「ボロを着ても心は錦」という諺もありますが、私たちは人を外見で多少判断してしまうことは否めません。
でも人それぞれの事情や服に対する熱意の温度差を汲み取らず、
だから
「あなたはダメなのだ」
「人生を無駄に過ごしている」
「オシャレのセンスのあるワタシに従うべき」
あげく
「今のままでいいのっ!?」
と今のあなたを否定して、高圧的に主張を押し付けるのはいかがなものでしょうか。
私はこのように
”ファッションに造詣が深く差し出がましい批評を
する”方を”オシャレ番長”とよぶことにします。
センスの善し悪しは数字や資格のように分かりやすい基準がありません。
なので頭から否定されるとオシャレに自信のない方はどんなに気に入っている服でも「おしゃれ番長からすると不合格なのかもしれない、でも
「自分には判断する目がない」
「この服だと怒られるのではないか」
とすっかり萎縮し、自分が本来どうありたいのか分からなくなります。
「オシャレ」「センスの良さ」=オシャレ番長の審査に合格
しなければならないと錯覚してしまうのではないでしょうか。