![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/139858356/rectangle_large_type_2_320b70ed84674743c424ede4df2a3792.jpeg?width=1200)
『低空飛行』/原研哉
タイトルから、現在の日本をデザイナーさんの目から批判的に書いた本かと勝手に想像していたのですが(笑)、日本の風土に根付くデザインや価値を、高い高度を飛行するジェット機の目線でなく、速度が遅くても、低空でも、しっかりと見える距離から俯瞰的に隅々まで見直すことを解く本でした。
具体的には、「観光」というサービス産業の新しい価値付け、見直しを説かれていて、地方創生前夜の「新・観光立国論」(こっちは読んでないので)とはまた違う種類の本と思われます。
けれどもご本人も、「観光」という言葉は使い古されていて極力使いたくないとおっしゃっているように、大きくは「日本固有の風土を味わうことをもう一度ブランディングする」といった方が近いかもしれません。
そうした日本固有の風土について、デザイナーさんならではの、建築的視点、「カタチ」の解釈から語られるのが面白いです。
デザイナーさんの大きな役割は、同じ対象がそこにあったとしても、「ひとつの違う見方」を提供すること。
原さんは、世代的には「成長する日本」を生き抜いてきた方だとも思うのですが、片方で現代の若い世代が「わたし」を脱却し、「わたしたち」という感覚で活動し始めている(MeからWeへ)ことを感じ取り、彼らが、素晴らしいと感じる場所や地域から価値を発信している・・ことにも関心を持たれていて、このアンテナはさすがだなと思います。