"自分らしい"を見つけることができるのは誰なのか? - 人事目線で思う就活ワード、「強み」の罠 -
はじめまして!TalkCamp運営メンバーのいいだまこです。
ゆる読みHR、第一弾です✋
運営メンバー4名(2024/1/24時点)で、気になったニュースや日々の気づきをコラムとして投稿していきますので、是非気楽に覗いていただけると嬉しいです。
私は普段、1企業の新卒採用担当としてはたらいています。
新卒採用歴は4年弱。本業以外にも副業として学生面談も多々経験あり。
そこそこ様々な就活生・大学生と対話させていただいた経験があると自負しています。(仕事というよりもはや趣味です笑)
そんな中で最近気になっているのが、就活でよく問われる「強み」について。
学生にとっては、就活で急に遭遇するワードかと思います。
実際に最近25卒の学生から相談を受ける中で、「自分の強みがわからない」という悩みは挙がることが多い印象です。
よくよく聞いていくと、そんな悩みには3パターンほどあるように思えます。
①自分に強みがあるように思えない
②強みはわかるけど言語化できない/しっくりこない
③自分の強みが面接ウケすると思えない
①は純粋に自己認知が不足していることが多いので、過去の経験や現在の性格・キャラクター、人生観などから自己分析を一緒に深めていくことで、おおよそ「確かにこれは自分の傾向かもしれない」と気づいてもらえることが多いです。
②のパターンは、何となく自己分析はできていて「私はまぁ人と話すことは好きだし…コミュニケーション力かなぁ…?」とざっくり方向性は見えているけれど、就活っぽいワードに当てこもうとするとどれも自分のこととは思えない…という状態です。
この場合は一度就活という枠組みを外した上で、①と同様に初めから整理して、大切にしている価値観の片鱗やキーワードを見つけに行くと、案外すんなり解決…とまではいかずとも、モヤモヤレベルが下がることが多い印象です。
ちなみにこのパターンの学生には、必ず「立派な就活ワードが出てくるよりも、あなたの言葉を聞かせてもらえるほうが私は嬉しいよ」とお伝えしています。
(これもこれで学生を悩ませてしまうかなとは思いつつ、実際多くの人事がそうなのではと思っています笑)
そして③のパターン。自分らしいワードもある程度見つかっていて、自己分析も言語化もそこそこ進んでいて、「でもこれって、面接で言っても強みとはならないですよね?」という状態。
個人的にはこのパターン、結構見かけるなぁと思っています。
そこで、人事の皆さんに是非聞いてみたい。
面接ウケする強みって何ですか…?
(今度TalkCampのテーマとして持ち込んでみようかな…笑)
正直私にはよくわからないです。
「リーダーシップ力」
「粘り強さ」
「課題解決力」
「前向きでいられること」
…どんな強みも魅力的だと思いますし、そして「もっと教えて!」と、その背景と理由の方に興味が湧きます。
でもそりゃそうなんですよね。企業の数、仕事の数だけ必要とされる強みも発揮できる強みもあるはずで、これだけ言っておけば百発百中!なんて魔法の言葉は存在しないはず。
だけど、学生は正解を求めてくるんですよね。
なぜか。
高校まで偏差値という分かりやすい指標があったという教育的な側面もあるでしょうし、情報化社会で巷に面接必勝法なるものがあることも影響しているでしょうし、就活に対する漠然とした不安や焦りから生まれる思考もあると思います。
ただ、最近仮説として考えているのが、もしかしてその原因の一つは私たち人事側にあるのではないかということです。
それが、面接やESの設問でよく現れる「強み」という表現。
強には、弱という対義語があります。
互いに強い>弱いという相対的な存在を前提とする表現です。
すなわち、就活で急に問われ始める「あなたの強みを教えてください」という質問が、就活を“成功”させるには他者より優れていなければならないという焦燥感を生み出すのではないかと思うのです。
だから、①のパターンは「私は普通だから強みなんてない…」と悩むし、②は「よく見せつつしっくりくる表現をしたいけど、なんか違う…」となるし、③は「就活で生き残るために、もっと目立つアピールにしなきゃいけない…」となるのではないかと。
ただ、本来強みかどうかは、それこそ置かれた状況と発揮した場所、また他者評価で決まる相対的なものです。
私たちが面接や選考の場で知りたいのは、例えば性格・特性といった、もっと絶対的なものなのではないかと思うのです。
この性格の学生が、当社に入社するとしたら…
こんな社員になるだろうな、これは強みになるだろうな、この部分は活かしづらいかもしれないな、ここは弱みになるだろうな。
そういった絶対的な性格を、各社の環境・仕事・状況に当てはめて想定して、入社後のイメージをすり合わせるのがマッチングなのではと思っています。
とはいえ、急に学生に「あなたの性格を教えてください」なんて言うと、突拍子もない質問で焦らせてしまうでしょうし、逆に本人の"強み"を引き出せないリスクもあると思います。
なので今、採用手法が増えてややカオス気味になっている採用市場の波に興じて、この「強み」というワーディングをどうにかうまく変革しに行けないか…なんて、秘かに目論んでいます。
常識を変えるには絶好の機会ではと思っています。
採用担当は、まだ社会に対して純粋無垢な(といえるほど何も知らないとは思っていないですが)学生の思考に深く触れる機会が多かれ少なかれあるからこそ、ちょっとした歪みや違和感、疑問を持つこともあると思います。
だからこそ、TalkCampの場で企業の枠組みを超えて就活・採用のそのもののありかたに何らかのインパクトを残せたら…と、夢に見ている今日この頃です笑
さて、題名に入れた「"自分らしい"を見つけることができるのは誰なのか?」
これって結局のところ、自分でしかないと思うんですよね。
だって私たち"他人"は、どうしたって本人の数分、数時間、数日、数年程度の一側面しか見れないんですから。
ただ、"自分らしい"を形作れるのは誰か。
それは他者でしかないと思います。
自分から見えた自分は、あまりに平凡で、普通で、当たり前の存在です。
そんな当たり前の常識が、実は自分の特徴なんだ!と気づくには、他者の介入が絶対に必要なはず。
そんな気持ちで日々面談していますし、普段の何気ない日常でも、自分らしさを形作れる人が増えて、そしてそれが当たり前に受け入れられる社会になったらいいなぁと常々思っています。
(これは学生に限らず、私たちも含めて!)
以上、自称ビジョナリー担当の私らしい初回記事となりました。
今後も引き続き、採用担当のリアルな気づきや考えから、HR関連のニュースや情勢、その他諸々、主に採用を中心としたHRについての記事を配信していきますので、是非またゆるっと覗いていただけると嬉しいです🍀 ̖́-
「採用」からはたらく人を幸せに…!🔥
■コラム執筆者:いいだまこ
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