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空想お散歩紀行 年の瀬のいつもの風景

「あー、もうそんな時期なのね」
魔法使いのメアは上を見上げる。
夕暮れ時の、オレンジと紫がグラデーションを描く空に何かが列をなすように飛んでいる。
一見するとそれは白い鳥のように見える。
実際それは鳥の形をしているが、実は鳥ではない。
紙に魔法を掛けて、鳥の生命を与えたものだ。
「あたしも書かないといけないなー」
そう言いつつも、メアの表情は少しめんどくさそうだ。
今年がもうすぐ終わろうとしている。この時期の習わしとして、人々はお世話になっている友人や知人に、一年の感謝と新しい年のあいさつを兼ねて手紙を書く。
そしてその手紙を配達業者を使わずに、手紙に直接魔法を掛けて、送り先へと飛ばすのだ。
あの鳥たちは新年の朝に到着するだろう。
だから年の瀬の今は空にたくさんの手紙鳥が飛んで行く姿を見ることができる。恐らく明日はもっと増えるだろう。
「あの人とあの人と・・・あー、やっぱめんどいなあ、年賀の文なんて。魔術通信も発達してんだからそっちで済ませればいいんじゃないのかなあ」
そう言いつつも、もし年の瀬の空から、あの白い紙の鳥の群れがいなくなることを考えると少し寂しい気持ちになるのも事実だった。
あの太陽があと数回沈むと、新年の日が昇る。


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https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5


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