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空想お散歩紀行 歩き続けるその足元

男は宝を求め、宇宙中を飛び回っていた。
そしてある時とある情報を得た。
果てしなく宝石で埋め尽くされた大地が広がる惑星があると。
男は長い調査と情報収集の末についにその惑星を見つけ出した。
そして辿り着いた時、最初に降り立ったのは砂漠だった。
男は歩き出した。まだ見ぬ宝石が広がる大地を目指して。
しかしその旅は過酷なものだった。砂漠はどこまでも広く、この砂漠の砂はやけにチカチカと太陽の光を反射して目に入ってきた。
男は照りつける太陽とこの砂に苛立ちながら、それでもこれを超えた先に幸せが待っていると信じて歩き続けた。
そして、ついに砂漠が終わろうとかというところで男は一つの寺院を見つけた。
そこで何かしら財宝の情報が得られないかと男は立ち寄ることにした。
そこには人地の老人がいた。坊主頭に、質素だがどこか威厳を感じさせる服を身にまとっている僧侶だった。
「旅の人ですか。このような土地にどのような目的で?」
「この星に財宝があると聞いてきました。情報によるとこの辺りにあるはずなのですが、何か知りませんか?」
「財宝とは?」
「どこまでも果てしなく広がるという宝石の大地です」
「それなら知っています」
男の心臓は一瞬で跳ね上がった。まさかこんなあっさりと情報が手に入るとは思っていなかったからだ。だが、
「そしてあなたもそれを知っています」
僧侶の言葉を男は理解することができなかった。何も言葉を発することができない男に対して僧侶は、
「ここにはかつて、あなたの言う通り見渡す限りの宝石が大地を埋め尽くしていました。
しかしそれも過去の話。長い間、風に晒され続けた無数の石はやがて砂になったのです」
そこまで聞いて男は全てを察した。しかし言葉が出てこない。それを見た僧侶は優しく微笑みながら言葉を続けた。
「あなたがここに来るまでに踏みしめてきた砂が全て財宝だったのです。あなたはそれに気づきましたか?」
男は、自分の頭の中の想像に広がる風景にばかり心を囚われて、自分の足の下に広がる真実に気づかなかったことに深く考えるところがあったのか、これを期に宇宙の宝を探し求めることをやめた。
そして数年後、この寺院に入り僧侶の弟子となった。

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