空想お散歩紀行 ロボ婚
これは必然の流れだったのかもしれない。
科学技術は常に前へとその歩みを進め、決して後に戻ることは無い。
より効率的に、より使いやすく、より安価に、人々の求めに応じて技術は進化していった。
その中の一つ、ロボットも例外ではない。
最初は四角い金属のパーツが合わさった形だったそれは、次第に丸みを帯び、より人間に近づいていった。
より洗練され、より美しく、それは人体の理想形を目指して改良が加えられ、そして今現在、ロボットはそこに到達してしまった。
見た目は人間とほとんど変わらず、そして同時に進化を続けていたAIは、ロボットの体に人間のように考える力を与えた。
限りなく人に近づいた彼らに対し、人が持った感情は様々だった。
そしてその中の一つが、今社会の問題として注目を集めている。
ロボットとの婚姻、つまり結婚だった。
男女問わず、ロボットと籍を入れたいと思っている人が大勢いる。
ただ、これに対して否定的に見ている人も同じように大勢いる。いや、今はこちらの方が大勢と言ってもいい。
ロボットは自分でカスタマイズできる。自分好みの見た目にすることができ、ロボットは基本人間に逆らうことは無い。これは恋愛と言えるのかという、愛について哲学的な意見。
ロボットと結婚しても子供はできないのだから、少子化が加速するという社会的な意見。
純粋に理解できないという感情的な意見。
様々な意見が飛び交うが、個人の人生なんだから好きにすればいいのでは、というあえて声に出すほどでもない意見が実は一番多かったりする。
今はまだ個人の好みの範囲を大きく超えない程度だが、この問題は今後さらに大きくなっていくことを多くの人々はまだ知らない。
配偶者と認めた場合、ロボットにどこまで権利、税に関する優遇。それらを悪用する者たちの出現。
そして最終的に、ロボットに人権を認めるべきだという運動と、それは危険だという運動がぶつかり合い、社会に大きな混乱を招いていくこととなる。
その他の物語
https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5
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