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空想お散歩紀行 水の上でちょっと休憩

「えーと、155番を右に曲がって38番に入ったら、次は69番を左に・・・って、ややこしいな。列車にすればよかったかな、やっぱり」
地図とにらめっこしながら、お金をケチった自分を今さらながら少し恨み始めていた。
周りを見渡すと同じように道行く人々。
上を見上げれば青い空。今日は久しぶりのいい天気だ。
そして下を見下ろすと、空に負けないくらいの青が広がっている。
一面の水が、空の太陽と雲をまるで鏡のように映しこんでいた。
どこまでも広がる水の地面。しかしそれは海ではない。巨大なリング状の大地の内側に広がる湖なのだ。
特殊な地形からか、遥か昔より移動手段については試行錯誤がなされていた。
最初は湖を船で渡るという単純なものだったが、湖の中で遭難するほど、この湖は広大だった。
そこで長い年月を掛けて造られたのが、対岸と対岸を結ぶ橋である。
今では増設に増設を重ね、幾重にもまるでクモの巣のように張り巡らされた橋は、人や物資の往来を楽にすると共に、初めて訪れた旅人はクモの巣に捕らわれたように迷いやすい場所となっている。
さらに技術は進み、湖の上を走る列車が開発され、優雅に水しぶきを上げながら今日も真っすぐに進んでいる。
列車が過ぎ去っていくのをうらやましそうに見つめる、今日初めてここに来た旅人。
「やっぱり、あっちにすれば良かった・・・ま、しかたないけど」
小さくため息をつくと、旅人は再び歩き出す。
そんな旅人たちの心を読んでいるかのように、橋の上にはいくつもの簡易な造りの店が並んでいた。
ひとまず旅人は冷たい物でも飲んで一息つこうと、その中の一つに入っていった。

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https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5

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