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空想お散歩紀行 春のお出かけ、お供は音楽

今日はどこへ行こうかと、その少女は考えていた。
春の日差しが日に日に強くなってきている休日。
彼女は出かけることを決めた。
まず決めるのは、聞く音楽だった。
ロック、ポップス、クラシック、演歌に童謡何でもある。
それらの中から、今日の気分に合った一つを選ぶ。
イヤホンを付けると、体の中に音楽が流れ込む。それは、世界が体の中に入ってくるのと同じだ。
そして彼女は一本の鍵を手にした。
赤い石が埋め込まれたそれを持って、家の中の一つのドアの前に立つ。
彼女が出かけるのは「外」ではない。
鍵をそのドアの鍵穴に差し込む。
重要なのはそのドアではない。鍵穴がある扉なら何でもいい。
そして鍵が回ると、それは「こちら」と「あちら」が繫がることを意味する。
彼女は、音楽を聞きながらその鍵を使うことで、その音楽の持つ世界観の場所へ行くことができる。
体の中に広がる世界を体の外でも感じることができるのだ。
今回は春のイメージ。暖かな出会いと切ない別れが混ざった優しい音楽を聞きながら、彼女はドアを開けた。

https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5

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