問題はそこにはない
僕たちは、何か自分に都合の悪いことが起こると、それを何とかしようとする。
やっていたことが失敗したり、思っていたことが思い通りに進まなかったりして、悲しくなったり、落胆したり、苛立ったりする。
その失望した気持ちを何とか取り返そうと、起きた問題の原因を探って、それを解決に向かわせる。
そうしないと自信を失ってしまうと思っているからだ。
だけど、それは順番が違う。
まずやることは、起こったトラブルの解決ではない。
本当の問題はそこにはない。
まず観なければいけないのは、自分の降りかかってきた外側の何かではなく、自分の内部だ。
つまり、心である。
傷つき、落ち込んだ心に目を向けなければならない。
そして、それを立て直すのが何よりも最優先なのだ。
人生、生きていれば色々なことが起こる。
思いがけないことも起こる。
突然のことに動揺することもあるはずだ。
その時に、ぐらつき、炎が小さくなってしまったままの心に意識を向けないで、
外側にばかり目を向けていては、本当の問題の解決には至らない。
次、似たようなことが起きた時に、また同じ様に動揺し、落胆してしまう。
だから、何が起ころうとも、まずは心の立て直しを一番にしないといけないのだ。
それを意識することは、心を鍛え強くすることにも繫がる。
以前聞いた話で、こんなものがある。
ある旅人が山を歩いていた。
旅人は足を酷く痛めていた。
その山道は、ゴツゴツした岩や棘のある植物が一杯で、その上旅人は裸足だった。
そこで旅人は、死んだ動物から皮を剥ぎ取って、岩や植物に被せた。
しかし、たくさん時間を使ったにもかかわらず、山道の一部にしか皮を被せることができなかった。
そこで旅人は、その動物の皮で靴を作った。
こうして、旅人は快適に旅を続けることができた。
というお話だ。
動物の皮で足を覆うことは、全ての地面の上に皮を敷くことと同じことなのだ。
つまり、自分の外側の問題にいくら対処しても、キリがない。
それよりも、自分の心を鍛えることが大切だ。それは世界中の問題に対処したことと同じになる、ということだ。
だから、何か問題が起こっても、まずやるべきことは揺らいだ心の波をフラットにすることだ。
人はいい意味でも悪い意味でも、慣れる生き物である。
これができれば、動物の皮で靴を作った旅人と同じ、世界中の問題を解決することにつながる。
問題はそこにはない。
目に見えるところには無いのである。
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