空想お散歩紀行 大掃除をしてスッキリと
世界とは複雑に絡み合っていて、それを解きほぐして一本の糸に戻すことは不可能で、でもだからこそ興味深く、おもしろいと思っていた。
だが、それは単なる思い込みで、真実とは想像以上に単純だったりする。
この世界の歴史を研究して既に30年の月日が流れようとしている。
なぜ私が歴史に興味を持ったか。それは、この世界最大の謎に関係している。
過去に出土した人の化石から、およそ一万年前には人間がいたことは確認されている。
だが、人が作る文明の痕跡はおよそ三千年前が最古のものとなっている。
つまり、三千年より前の文明は一切その証拠が無いのである。
単にまだ見つかっていないだけかもしれないが、それにしてもこれは異常と言える。
だからこそ私はそこに興味を持ち、歴史の真実を追い求めてきた。
そして今回、私は真実の一端に触れることになった。
大地震によって割れた地面の奥深くから、偶然太古の遺跡が発見された。
それはおよそ三千年前ほどのもので、私は大きな期待を胸にその遺跡へと調査に向かった。
そこは、まるで誰かに見つかることを恐れ、隠れるように作られた場所であることを私は肌で感じた。見つかったら大変なことになる。それでも、後の世に何かを残したいという誰かの気持ちがその遺跡そのものであるかのようだった。
そして私はそこで、一つの重要な情報に出会った。
三千年より前にも人間の文明はあったこと。そしてその文明は今の私たちの文明より遥かに技術も思想も発達したものであるらしいこと。
そして、この世界には『神』と呼ばれる存在がいること。
その『神』とやらが歴史に大きな影響を与えているらしい。
『神』が三千年前にあった文明を破壊し全てをゼロにリセットしたと、遺跡の情報は伝えていた。
しかも、それよりも前の時代にも『神』は同じことをしていたらしい。
そんなことが可能なのか?『神』と呼ばれるやつ(いや、やつらか?)はそんな力を持っているのか。そもそもなぜそんなことをするのか、私には皆目見当もつかなかった。
だが、もう一つ、遺跡から得た情報がある。
それは何の文脈もなく、ただ一つの単語として残されていた。
『大掃除』
これが謎を解くキーワードだろうか。
正直に言うと、薄々私の中では結論は出ようとしてた。だが、理性か感情か、私の中の何かがそれを認めたくないと拒否をしていたのだ。
世界とは想像以上にシンプルで、実はくだらない理由で回っているのかもしれない。私はこれからもそんな未知を求めて歩くのだろうか。
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