空想お散歩紀行 星の海へ、新たな旅立ち
人はどこから来て、どこへ行くのか。
遥か古代から続く永遠のテーマである。
だが一つだけはっきりしていることがあるとすれば、人は生まれ、そして死ぬことだけだ。
死は別れではない、新たな旅立ちなのだ、という考えは世界各地に存在する。
だから人々は死者を様々な形で送り出す。
土に埋め、火で燃やし、水に沈める。
時代と共にその形は変化したり、増えたり減ったりする。
そして今、人々が仕事に旅行に、当たり前に宇宙に出れるようになった時代には新たな旅立ち方が現れた。
宇宙葬とそれは呼ばれた。
宇宙船で星の海へと出て、そこで特殊な棺桶に入れられた死者を宇宙空間へと送り出す。
棺桶には小さなブースターが付いていて、しばらく噴射しながら進む。
その後はただ、果ての無い宇宙を旅することになるのだ。
それは途中で恒星に近づき燃え尽きるかもしれない。小惑星群にぶつかって砕けるかもしれない。もしかしたら永遠にどこまでも星の海を漂い続けるかもしれない。
とにかく新たな旅は始まった。
地球文明時代には、人は母なる海から生まれ、そして還ると言われていたが、人は今、死して本当の始まりへと向かっていくのかもしれない。
その他の物語
https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5
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