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プレイヤーが介入する物語〜BRAVELY DEFAULTⅡ(ブレイブリーデフォルト)〜【ネタバレあり】

どうも、流-ながる-です。

あまりRPGのシナリオについてこだわりがない自分が、「なんだこれは!?」からの「そういうことか!」と思わず膝を打ったシナリオを見せつけてきた『BRAVELY DEFAULTⅡ(ブレイブリーデフォルト)』のシナリオについて語りたいと思います。

特に第六章の前の展開に衝撃を受けて、これは備忘録を書いておかないと、忘れてしまうとなり、まとめようと思った次第です。

ネタバレががっつりあります。これからプレイする予定のある方は、見ないほうがいいというのが、こちらの考えです。よろしくお願いします。






最終目標(ラスボス)のおはなし

いきなりラスボスの話をしますが、このラスボスとこの世界の関係について整理します。ラスボスについて第六章開始時点でわかっているのは"ヤミノヒトミ"という名前だけです。これがいわゆるこの世界の災厄で、これが復活して活動を開始してしまうと世界が滅びますという、まあありがちなストーリーですね。この破壊神みたいな存在をなんとかするというのが、この世界存続のために必要なことになります。

"ヤミノヒトミ"をどうにかする方法には、2つあります。

  1. 完全に倒して消滅させる

  2. 封印をする

この2.封印をするというのが、定期的にこの世界で行われていて、この封印の役割を代々受け継いできたミューザ王家の者(今回はグローリア王女)が封印するルートというのがこの世界の"本来の筋書き"でした。

この"本来の筋書き"を変えるというのが、このゲームの根幹だったというのがわかる。このグローリア王女と共に、災厄="ヤミノヒトミ"を封印するキーアイテムであるクリスタルに選ばれた、光の戦士がグローリア王女含め4人いるのですが、その中の一人がプレイヤーの操作キャラ(分身)のセスなのです。

このセスはゲーム開始時にプレイヤーが唯一名前をつけられるキャラクターで、主人公はあなた、とされるゲームを踏襲しているのかな、と思わせられます。自分の場合はデフォルトネームがしっくりきたので、そのまま"セス"と名づけました。

2.の封印するというルートを潰すのが、プレイヤーであるセスになる。

そもそもセスとはなんだ

メインキャラクターのグローリア、エルヴィス、アデルは物語が進むにつれてそのバックが明かされます。いわゆる深みというか、この人物は何者なんだ、どういう性格で、どんな過去があったのか、というのがじっくり明かされていきます。これはメインキャラクターだけではなく、敵キャラクターやサブキャラについても掘り下げがあります。

では、主人公のセスはどうでしょうか。これが案外、セスって何者って部分がイマイチわからないのです。サブクエストでちらほらと船乗りだったセスの過去を思い起こさせるエピソードも登場しますが、セスが何者なのかについてははっきりしません。これがまた物語を進めるにあたってプレイヤーがなんとなーく「セスってなんなんだろ」と考えるように仕向けられていたような気がします。セスとは何か、は最終局面でものすごく重要な効果として働いていて感動さえ覚えました。

何かとすぐに答えが欲しくなりがちですが、ずっと考えることも必要だったというか、漠然とゲームの終わりまで「セスってなんだ」と考えてこられたことそのものが、ありがたいことだったなという気がします。

セス(プレイヤー)の選択で物語が変化する

第五章の終わりでグローリア王女との唐突な別れとエンディングに衝撃を受けた自分は「え? これマルチエンディングなの? どこかで間違った?」と大混乱しました。しかしマルチエンディングではないんですよね、これ。ここでの感情としては「こんなエンディング許せるかい!」というもので、当然ながらゲームを再度始めてしまいます。すると”こんなエンディング"の直前に戻ります。ここで、プレイヤー(セス)は"こんなエンディング"を拒否する選択肢が与えられました。

ネタバレと書いてあるので、はっきり言ってしまうと、"ヤミノヒトミ"の封印にはグローリア王女の命を捧げる必要があります。封印したことで世界には一時の平和が訪れるのですが、当たり前ですがこれはすっきりしない終わり方です。

グローリアの命を犠牲に訪れた平和だからという考えもありますが、前提として"ヤミノヒトミ"の封印にはミューザ王家の人間が必須というのがあります。"ヤミノヒトミ"が再び復活してしまった場合、もう封印できなくなる。ミューザ王家はグローリアを最後に滅亡してしまったので、この次を考えたらグローリアに封印させるのはあり得ない選択です。

そんなわけでプレイヤーが拒否することで、このエンディングは簡単に消滅するのです。「こんなエンディング許せるかい!」というプレイヤーの一存で。こうした展開がまた起こってしまうし、それをまた拒否することができる。

セスが入り込むことで変わる世界

セスってプレイヤーだから本来このゲーム内の世界には存在しない人間なんですよね。序盤に実はプレイヤーって試されていて、それこそ「本当にこのゲームやる気ある?」みたいな場面が出てきます。そこで何もしなかったらどうなるんだろう、と試すとあっさりとゲームオーバーになります。そこでセスを使って「やるよ! やってやるよ!」とゲームを進める選択をすると、セスはめでたくこの世界に受け入れられます(という個人的解釈)。

セスはこの世界では異物なんです。それが無理矢理入ってくることで、押し出される存在が出てきました。それが、グローリア王女を守る老剣士、この世界における先代の"光の戦士"であるスローンです。彼もまたセスと同じく【風のクリスタル】の啓示を受けた"光の戦士"です。

「セスがいなければスローンが【風のクリスタル】の啓示をすでに受けているわけだし、そのままセスの位置にスローンだった可能性ある?」という疑問が終盤で湧き上がってきました。
しかし、セスが【風のクリスタル】の啓示を受けたことで、スローンは押し出されるように次世代の"光の戦士"を守るために亡くなってしまった。世代交代の形の一つなわけですが、本来世界に存在しなかった異物によって、押し出されたと考えることも可能なのかなと思いましたね。

最終的にはその"異物"であることこそ、鍵となり、すべてのバッドエンドを回避し、"封じる"ことではなく"滅する"ことで世界の平和を勝ち取れた。ゲームをプレイする異物(プレイヤー)が必要であったとわかり、最後までゲームをやってよかったという気持ちにさせてくれました。その仕掛けにすっかり感じ入ってしまい、もしこのシリーズの新作が出たら是非ともという気持ちになりましたね。

最後になりますが、このゲーム、ほんとBGMが良いです。戦闘システムもすばらしく、手応えのあるバトルも楽しめますが、今回のテーマはシナリオについてなので、また気分によってまとめるかもしれないということで……。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。


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流-ながる-
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