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「時間がない」の正体を探る”問い”のデザインワークショップ|Adobe Design Jimoto Local meetup開催レポート
こんにちは。Adobe Design Jimoto コミュニティエバンジェリストの西です。
今回は、2月1日に開催したDesign Jimoto Local meetup(以後:デザインジモト)の開催レポートをお届けします。
クリエイティブ関連から行政、IT、教育業界、デザイナーや公務員、学生、親子まで参加いただき、非常に多種多様なイベントとなりました!
さらに今回は、いつも行うプロトタイプ制作ではなく、社会課題を自覚するための『問い(課題設定)』をつくるワークショップに取り組みました。
【イベント概要】
日時:2月1日(土)13:00~ 16:00
会場: TIME SHARING 四谷
参加者:30名ほど
タイムテーブル:
1.トークセッション(13:00 - 14:00 )
①「Adobe Design Jimotoが考える社会課題を解決する仕組みのデザイン」
by Adobe Creative Cloud コミュニティマネージャー 武井史織
②「カンボジアの社会課題にアート・デザインができること」
by 一般社団法人SocialCompass代表理事 中村 英誉
2.ワークショップ(14:00 - 15:00)
『暮らしの中で感じるコミュニケーション課題』をテーマにした
ワールドカフェ式ワークショップ
3.フリータイム(15:00〜16:00)
※イベントページはこちら
Design Jimoto Local meetup(デザインジモト)とは?
デザインジモト)は、日本全国に存在するさまざまな課題に『デザインの力』で向き合い、解決を目指す課題解決型デザインプログラムです。
主にワークショップなどのイベントを通じて社会課題を自分ごと化し、
解決案をかたちにすることと、官民問わずクリエイターと他分野コミュニティが長期的に連携するきっかけの創出を目的としています。
現在、有志によるAdobe Design Jimotoコミュニティチームによって活動しています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
https://note.com/takuyanishi/n/nab09b2f78e5e
まずは、チェックイン!
私はファシリテーターを務めさせていただきました。
初めに参加者の緊張をほどくため、アイスブレイクは隣同士で似顔絵を描きイベントでの名札をつくり、イベントスタート!
トークセッション①
「AdobeのコミュニティマネージャーからDesign Jimotoが考える社会課題を解決する仕組みのデザイン」について
1人目は、Adobe Creative Cloudコミュニティマネージャーの武井史織さんにデザインジモトの取り組みについてお話いただきました。
2016年から日本全国で開催されてきたデザインジモトが今では海外でも開催されるまでになりました。
そして今回は「問い」のデザインを軸にしたイベントということで、
コミュニケーションデザインにおける『Awareness(認識)』を身につけることが社会課題の解決には重要とのことです。
トークセッション②
Social Compass代表 中村英誉さんによる「カンボジアの社会課題にアート・デザインができること」について
2人目は、この日のためにカンボジアから一時帰国いただいた一般社団法人Social Compass代表理事の中村英誉さんにコミュニケーションデザインを軸にカンボジアでの活動についてお話いただきました。
(一般社団法人Social Compass公式サイト)
カンボジアに移住されて8年間、アニメーションを軸に数多くの社会課題に向き合ってきた活動の話は普段に日本に住んでいる私たちにとっては素敵な気づきを与えてくれ、同時に多くの事例から学びをたくさん受けることができました。
中村さんの活動はSocial Compassの公式サイトからご覧になれます!
ワールドカフェ式ワークショップ
当日発表されたお題に対して、最適な解決策をための
『問い(課題設定)』をグループに分かれて考えるワールドカフェ式ワークショップを実施しました。
ワールドカフェは、話し合いのグループを固定せず、
ラウンドごとに別のグループに移動しながら話し合う形式です。
★まるで世界を旅するように、色んな人の意見を聞きながら、アイディアを膨らませていくのにピッタリな方法です!
お題は、私たちがつい言ってしまう「時間がない」を言わないための解決策を出すための問いを考える!
とっても抽象的ですね(笑)
そもそも物理的に”時間がない”ことが課題ではないと思っています。
しかし、近年の働き方改革や副業解禁、SNSなどの発展によって
自分のやりたい仕事や暮らしが実現しやすくなっているなかで、
今も昔も変わらず口にしてしまう「時間がない」という感覚は
一体どこからやってくるのでしょうか?
その正体を知るために、どんな課題設定をすべきか。
そんな抽象的な意識から、お題を参加者へ投げかけてみました。
【ラウンド1:「Whyの視点」なぜそう感じるのか?を考えてみる】
【ラウンド2:「Who,When,Whereの視点」だれが、いつ、どこで「時間がない」と感じているのか?を考えてみる】
【ラウンド3:「Whatの視点」それの何が課題なのか?何を守りたく、伝えたくて使ってしまうのか?を考えてみる】
【ラウンド4:「Howの視点」どうしたらそう感じなくなるのか。そのためにどんな解決策が必要で、どんな問いを立てたらいいのか?を考えてみる】
『問い(課題設定)』のデザインを実施した理由
私たちは、暮らしのなかで、大小さまざまな課題に触れています。
そして、課題の数だけ答えがあります。
しかし、その答えが必ずしも正しいとは限りません。
例えば「働き方改革」
本来は、一人一人に合わせて働き方を選ぶことができる環境をつくることが目的であるのに対し、「長時間働くことが良くない」という情報が先行し、残業禁止・強制的な有給消化が正しいという社会ができました。
それによって、もっと働きたいのに働けない人、誰かの残業分を担うために余計に働く人、残業禁止で給料が減った人など、本質とはズレた結果になっていると感じます。
「問い」という出発点を間違えれば、答え(ゴール)も違ったものになる。
だから、問いを疑う、何が最適な課題かをじっくり考えて設定することが
課題解決においては何より大切だと感じ「問い」のデザインを行いました。
チーム発表
ワークショップを通してさまざまな視点から紐解いた「時間がない」の
「問い=アイディア」を発表しました。
アイディア:
もし人生が残り7年しかなかったらあなたは今何をやりますか?
アイディア:
自分でやらなくていいことはなんですか?やらないを決めて時間をつくろう
アイディア:
どうすれば『自分の分身』をつくることができるか?
「時間がない」ことに対して、「今」に目を向ける考え方や「時間がある」ことを意識するための考え方、自分の分身?!をつくってやりたいことをやり遂げるアイディアまで、たくさんの問いが出ました!
1時間という短い時間でしたが、参加者それぞれが自分の暮らしと照らし合わせながら「自分だったらどうしてほしいか」という意識をもって取り組んでいただけたのが本当に良かったです。
イベントを終えて
もちろん、この短時間で最適な『問い(課題設定)』を立てることは難しいと思っています。(お題も抽象的でしたので笑)
それでも、問いから考える体験は非常に意味があると感じました!
少なくともいつものデザインジモトのように、予め設定された課題に対して解決策を考えるワークショップとは違う発見がありました。
なぜなら、課題意識が生まれるとき誰でも初めは抽象的な気づきから出てくると思っているからです。
だからこそ、その気づきを問いに変えていくプロセスを体験してほしかったのです。
もっとも、参加者のなかには「時間がない」なかお越しいただいた方も
いると思います。その人にとっても、ふと立ち止まって何で「時間がない」と感じてしまうのかを共有し、考えることで少しでも頑張る励みになれたらと思い、今回のデザインジモトを開催しました。
ご参加いただいた方、誠にありがとうございました!
「Design Jimoto Local meetup」に興味のある方、
是非、下記よりお問い合わせお待ちしております。
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おまけ★各チームのアイディアシート
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