そして僕は出汁を取るために温度計を買いにいった
「そうだ出汁を取ってみよう」
そう思って僕は料理用の温度計を買いに行きました。
背景
友人たちと集まって色々なものを食べながら色々なことを話すことが好きなのですが、せっかくなら『日常で試すには少しハードルの高そうなもの』をみんなで試すと面白いかもしれないと思ったことから毎月色々なものを試しています。
初回は、スーパーでも買える高カカオチョコ
2回目は、採れた地域が違う生はちみつ
そして3回目の今回は、お出汁にしました
準備
近所の商店街にいい感じの昆布問屋さんがあり、そこに昆布以外にも出汁の材料となりそうなものが置いてあったので、
・鹿児島県産 本枯節 (鰹節)
・北海道白口浜産 天然真昆布
・北海道産 干貝柱
・静岡県産 天日干し原木どんこ椎茸
の4種類の材料からそれぞれ別に出汁を取ってみることにしました。
参考にしたサイトは『まいにち、おだし。』というサイトで、せっかくならまずは出汁のみの味を楽しんでもらおうと思ったので、書いてある分量の倍の材料を使って出汁を取ってみました。
鰹節
水の温度が70℃になった瞬間に鰹節を入れて火を止めて、3分後に漉すだけだったので出汁を取るのに必要な時間は一番短かったです。
「えっ!?こんなに使うの!?」って量の鰹節を鍋に投入するので、小さい鍋で作る場合は注意が必要かもしれません。
これが、いわゆる「一番だし」と呼ばれる出汁の取り方らしくエグみみたいなものがほとんど無く、鰹節を作る際の燻製の香りを強く感じることができるお出汁になりました。
鰹節のお出汁は、ものすごく上品なのにシャープさというか酸味を感じる味で、縦のある味だな~と思いました。単体で味わうとちょっと物足りなさが出るような気がしましたが、なんとなく学年で一番美人だけどどのグループにも属さないヒロインみたいなイメージでした。
昆布
表面を軽く拭いてから水に浸けました。
2時間くらい浸ければ良いそうなのですが、調理の都合で前日の晩から浸けました。火にかける前に味見をしてみましたがこの時点でとても美味しい昆布水ができていました。
昆布は60℃で1時間ほど煮だしました。
温度管理が本当に大変で、少し加熱しては火を止めてみたいな事を繰り返してました。
割と手が掛かってしまったせいか、出来上がりが一番よかった気がします。
昆布は、鰹節のシャープさとは真逆の拡がりの落ち着きを感じさせてくれる味でした。低温で煮だしたお陰か昆布の臭さみたいなものは全くなく、素直に美味しいお出汁になり、名実ともに主人公!みたいな感じでした。
干貝柱
そのままだと少し大きかったので、小さく割ったものを前日の晩から水に浸けました。
火にかける前に味見をしたのですがあまり旨味を感じなく、今回の4つの中で一番不安な味でした。
中火で火にかけ、沸騰後も火にかけ続け10分間しっかり出汁を出しました。「あぁ出汁を取ってるなぁ」と思えた瞬間でした。
不安だった加熱前とは打って変わってものすごく馴染みのある味になっていて、加熱前と加熱後の印象が一番大きく変わりました。
干貝柱は、これ単体でバランスが取れてて本当に美味しく、やっぱりチート食材だなと思いました。
ちょうど鰹節と昆布の旨味の要素を両方持っていて、オートマの軽トラくらいの万能さを感じました。
干椎茸
こちらも前日の晩から水に浸けていました。水に浸けているとどんどん水が茶色くなってきて、いかにも何かが出てきてるという印象がありました。
火にかける前に味見したのですが、すでにめちゃくちゃ椎茸の匂いがしました。(※注)
弱火で沸騰するまで加熱し出汁を取ったのですが、どんどん干椎茸がふっくらしてきて生き返ってきてる感じがしました。
火にかけてて一番香りが出たのは干椎茸だったように感じます。
干椎茸は、他の3つに比べるとパッとしないのですが、きっちり仕事ができる経理の人みたいなイメージで縁の下の力持ちな感じのしっかり後ろで支えてくれてる旨味を感じました。
感想
改めてふだん馴染みのある4種類の出汁を飲み比べてみると思った以上に違いがあった、という感想でした。
「日本の出汁といえば鰹節だろう」と思っていたのですが、むしろ僕は鰹節よりも昆布の出汁のほうが身近に感じられたように思います。
その理由としては恐らく主なうま味成分が関係しているのかな?と思いました。
僕たちが一番馴染みのあるうま味調味料である「味の素」は主にグルタミン酸で出来ており、昆布の主なうま味成分もグルタミン酸だからです。
あと今回は、まずは塩を加えず試してもらい、後から塩を足してもらうようにしたのですが、塩味というものが人間の味覚とってとても大事な要素なのだなと思いました。
とっても楽しかったです。
材料を購入したお店、参考にしたURL
・材料を買わせて頂いた「こんぶ土居」さん
・出汁の取り方を参考にした「まいにち、おだし。」さん