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建築家の写真で計る自分の感性

写真集をじっくりと見てみた。そんな話。



僕が生まれて初めて感銘を受けた好きな建築の一つに成蹊大学の図書館がある。

成蹊大学図書館(外観)
成蹊大学図書館(内観)

こんなに心躍る建物は見たことがない。学生時代に何度もここに足を運んだのはいい思い出だ。毎日通い、毎日目にしていたはずなのに、いつも心が躍る。そんな建築だった。

毎日見ればだいたいのものは目は慣れすぐに飽きる。でもこの図書館はそうではなかった。そんなことをふと思い出し、この図書館の設計に興味を持った。なにが僕の心を躍らせていたのか、僕を惹きつけた要素はなんだったのか。そこにそのヒントがある気がした。そして、設計をした建築家の坂茂さんについて気になったので調べてたら、この写真集にたどり着いた。

これは坂茂さんが手がけた女川駅を建築写真家の田岡信樹さんが写真集としてまとめたものだ。

最近は、文字で本を読んだりするよりも、視覚がメインのいわば芸術的な情報に興味がある。文字で情報を得ていたフェーズから視覚から入ってくる情報に意識を向けるフェーズが急に訪れた。

そんなこんなで思ったことをつらつらと書いていこうと思う。




初めに言っておくが、僕は建築に関して素人中の素人だ。あいうえおの「あ」の字も知らない、サッカーで言えばボールもまともに蹴れないレベルの素人だ。その程度の知識しか持ち合わせていない僕が率直に感じることを書いていく。

女川駅。

何かを感じる。僕が好きな感じだ。だが何かはわからない。

それもそのはず、知識が全くないから、これをみて語れることが少ないのだ。「ここは〜建築でできていそう」とかは言えないが「ここはこうなっているから、人の導線をこういうイメージにしたんじゃないか」とか「ここにはこんな思いが含まれているんじゃないか」とかの憶測はできそうだった。

写真という視覚から一瞬で入ってくる情報に対して、僕はそこにどんなものを重ねていくのか、本と比べてそこに説明がないからこそ、自分のバイアスを知ることができた気がする。

さらに、僕は建築に興味を持ち、どんな建築に僕は引かれるのか、魅力を感じるのかを知りたくなった。Twitterで調べたら『建築家デザインbot』というアカウントがあって、そこで世界の有名な建築家がデザインした建築が写真としてたくさん上がっていたので、サーっと目を通して、自分の感性にヒットするものを探してみた。





SHELL

ウッド(木)が上手に生かされている空間。ここに間接照明が上手に調和している空間は最高だ。

bosjes chapel
リボンチャペル
今治のオフィス
サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013

裏側に美しい数式や規則性が隠されていることを感じるような曲線のデザインも好き。

元斜面の家

そして、単純に高低差のある設計も子どもの遊び心をくすぐられるようなワクワクがある。

他にも魅力的なものはたくさんあった。それらに共通するものがあることも発見した。僕が惹かれる理由や要素など、キーワードになるのは「木」「美しい曲線」「高さ」「間接照明」「自然の光」「ガラス」このあたりかなと。




独立研究家の山口周さんが書かれた『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社、2017年)でもこういった“感性”についての重要性が書かれていたのを思い出した。

 世界は巨大な「自己実現欲求の市場」になりつつあります。このような市場で戦うためには、精密なマーケティングスキルを用いて論理的に機能的優位性や価格競争力を形成する能力よりも、人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になります。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社、2017年)

ということで、自分の美意識や感性を磨くためにも、ドイツの美術館に行ったり、少し芸術的な生の情報をインプットする機会を設けていこうと思った。これらは自分の価値観を知るという意味でも役に立つし、これからの時代に必要な能力も磨けるのかなと。

たまにはこうして普段手にとらないようなものを意識してインプットしていこうと思う。

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