数年後の日本の姿?
今後デジタル社会が加速する中で、我々日本人の思考はこのままで良いのか?
という疑問を呈して、現在IT最先端の中国にデータの回収方法から使用までを学ぶ。
日本の将来が心配な方は、本書を読む事でその悩みが少し和らぐかもしれません。もしくは倍増するかもしれません!
OMOとは
現在、中国のオンラインとオフラインの考え方はOMO(Online Merges with Offline)です。
文字通りオンラインとオフラインの融合ですが、私たちは思考癖として、オフライン(店舗など)前提のオンライン(ECなど)展開をビジネス戦略として考えてしまいがちですが、中国ではもはやその様な考え方をしません。
オンラインを主としたオフライン展開をしております。
隆盛中のフーマー
今、中国で拡大中のスーパーマーケットフーマーはOMOを実現しています。
その内容は、オンラインでもオフラインでも買い物をする事が可能で、フーマーから3キロ以内の住所には、注文から30分以内に食材の配達が完了します。
店舗内ではUX(ユーザーエクスピエリエンス)に注力し、若干倉庫の様な作りをしています。
その理由は、オンラインで注文が入ると専属の従業員が、商品をピックアップして、袋詰めして、専用のベルトコンベアを流れてすぐに倉庫に着きます。
そこで待機している、ドライバーがそれを受け取り配達に向かうわけです。
店舗と物流倉庫を一体化させたシステムで、このような効率アップを実現しました。
従来までは、配送用の倉庫と販売店舗が独立していましたが、フーマーでは、その固定概念を壊してしまいました。
フーマーのビジネス的哲学ですが、ユーザーはその時々で一番良い選択肢を選ぶという事です。
例えば、帰宅途中にフーマーに立ち寄る時間があれば店舗で購入し、時間がない場合はECで購入するという考えで、徹底的にユーザー(顧客)目線に立って考えることで現在のような形態になりました。
人が人を評価する事で善行を行う様になった中国人!?
少し大胆な表現ですが、以前の中国人の接客対応などは、お世辞にも『良い』とは言われていませんでした。
そこには中国の教えとして、人は生まれながらにして悪という「性悪説」が根底にあった様です。
例えば、人は誰も見ていなければ悪行をするという考えです。
しかしテクノロジーは、そんな中国人の考え方さえも変えてしまいます。
それが配車サービスのディディです。
ディディは乗車した人が、その車のドライバーの接客態度や運転マナーを評価できるシステムになっています。
いわゆる常に見られていることになります。
その結果、ドライバーは最善の注意をはらい運転し、良い評価をもらおうと頑張ります。
しかし好評価だけでは、誰も頑張ろうとは思いません。
そこには、好評価を得たドライバーには昇級というインセンティブが与えられます。
内容はドライバーには4段階の階級があり(詳細は省略します)上に行けば行くほどインセンティブが上がりたくさん稼げる様になります。
その結果、自然と接客対応や運転マナーに気を使って善行が行われる様になったということです。
恐るべしテクノロジー!
これから私たち日本人はどうするべき?
これからの日本人は、どの様な変化、思考が必要なのか?
著者は、様々なサービスや媒体での顧客との接点回数を、増やすために高頻度接点が重要と提言してます。
オンライン上で、今よりも顧客接点機会を増やすために、アプリなどを最適化し、顧客との接点回数を増やし、そこで収集したデータを元に企業が最適なタイミングで、最適なコンテンツを、最適なコニュニケーションで提供することが重要です。
そして、今後さらにデータのやり取りが新たなインフラとなり、そのデータを収集できる企業(スマート決済、電子マネー、〇〇Pay)などのサービスを提供しているプラットフォーマーが今後、産業ヒエラルキーのトップに君臨し、その下に飲食店やホテルなどの実際にサービスを提供しているサービサーが位置し、さらにその下に従来まで頂点に君臨していた、物作りメーカーなどが位置します。
そこで、企業は今後どのヒエラルキー(レイヤー)に移行していくかを考慮していかないと、生き残りは難しくなりそうです。
中国のやり方が全てではない
中国の変化のスピードには正直驚いています。
しかし国が違うと、思想や文化の違いなども大きく影響してきます。
中国の発展には、もちろん政治的関与も大きいと、著者は本書で述べています。
そして日本全体で中国のような監視社会になると生きにくいと感じる人がいることも確かです。
我々日本人が目指すべきは、中国の良いところは謙虚に学び、見習い日本独自の形になるよう創意工夫して、今後に活かしていくことが良いのではないでしょうか。