中国の起業家が参考にする日本の経営者
NewsPicksの記事で最近、中国の起業家が参考にしている、ある日本人の『経営哲学』や『考え方』を説いている記事がありました。
現在世界2位の経済大国となった中国ですが、日本人の誰を参考にしているのでしょうか?
すごく気になります。
それは、京セラ創業者の、稲盛和夫さんです。
そこで今回は、稲盛さんの本『考え方』を少し紹介します。
生まれつきの能力なんて関係ない
稲盛さんは、自身の人生の中で、自分より能力が高い人にたくさん会ってきたと言っています。しかし、能力が高いからと言って人生成功するかしないかは全く関係ないと言っています。
おもしろいもので、生まれつきの能力が高いか低いかというのは、長丁場の人生における成功にはほとんど関係がありません。能力がさほどなくても、嘆かず、恨まず、腐らず、妬まず、愚痴をこぼさず、誰にも負けない努力を重ねれば、素晴らしい人生を送ることができるのです。
実際に、稲盛さんは高校受験、大学受験に失敗しています。
この自身の経験から、京セラを一代で大企業にまで成長させることができた要因は、生まれつきの能力ではなく、後天的な自身の『努力』によって実現したことがわかります。
無限の可能性を信じよ
稲盛さんは、自身の本当の可能性(能力)を発揮できるのは、努力しだいと言っています。
しかし現代社会は、このような可能性を信じる気持ちを持ちたくても、簡単にへし折られてしまいます。
しかし、心配はご無用です。実際に稲盛さんも、生まれつき心が強い人ではなかったようです。
稲盛さんは若いときに会社で正論を言うと、他の社員から孤立してしまい、夜な夜な川辺で泣いていたようです。
そんな稲盛さんですが、南極を目指したイギリス人探検家の南極に同行する隊員の募集内容に感銘を受けます。
求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。耐えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る。
ーアーネスト・シャクルトンー
この募集広告には『できる』という可能性を信じることができなければ、誰もこの無謀な計画に挑戦しようとも思いません。
しかし、そこに集まってきた人たちは、信じることで自分の可能性に挑戦することを決断しました。
命の保証がなくても、自身の可能性にかけることができるほどの決断力があれば、可能性を信じることも容易にできます。
苦労を避けた人で立派な人間はいない
人は、できることなら楽して儲けたいと思ってしまいますが、稲盛さんは、そのような人は、立派になれないと説いています。
真面目に一生懸命に働くという行為こそが、人間を立派にしていきます。
苦労する経験を避けていった人で、立派な人間性を作り上げた人などいないはずです。
稲盛さんは13歳のときに終戦を迎えています。
そのような時代の中、稲盛さんの母方の叔父は、特別な学問があるわけでもないので、野菜を仕入れて、大八車を引いて行商を行って生計を立てていました。
その姿を親戚の人は、軽蔑の目で見ていました。
しかし、稲盛さんはそのようなことにも負けずに、毎日毎日汗水を垂らしながら大八車を引いていた叔父の姿を見て、真面目に一生懸命働くことの大切さを実感しました。
やがて、叔父は八百屋を営むにまでビジネスを成長させて、素晴らしい経営を続けたそうです。
挑戦して良い人、ダメな人
新しいことに挑戦することは良いことだ!
人生は一回しかないから、挑戦しないともったいない!
挑戦する回数を増やせば、必ずいつか成功する!
このような言葉よく耳にしますよね?
残念ながら稲盛流では、挑戦は良いことですが、世の中には挑戦していい人と、しない方がいい人がいると言います。
新しいことを成し遂げるには、「何があってもこれをやり遂げるのだ」という、闘争心が必要です。どんな障害に遭遇しようとも、それを乗り越えて努力を続けていくというタイプの人でないかぎり、チャレンジをしてはならないのです。
稲盛さんは、京セラ創業当時、飛び込み営業を行っていました。
しかし、とある大企業に営業をかけたとき、受け付け窓口で門前払いされます。
それでも稲盛さんは、何回も何回も地道に訪問を繰り返すことで、ようやくその大企業の技術責任者と面会することが許されました。
しかし、ここでも大きな壁が立ちはだかります。
その大企業は、ある財閥系の企業なので、当時京セラが製造していた、セラミックはその財閥の系列企業から買っているとのことでした。
京セラは実績も何もなかったので、稲盛さんは、その技術責任者に実績もなく無名の会社から買うことは決してないと言われてしまいます。
しかし稲盛さんは、挫けません。
断られたときが仕事の始まりだ。困難な状況をどうやって打開するかを考えることこそが仕事なんだ
そして来る日も来る日も、粘り強く訪問して最終的に、無名で実績もない京セラがセラミックスの受注を獲得しました。
これはまさに、ポツポツと水滴が岩を打ち、やがて丸びを帯びていくような地道な努力です。
このような努力ができない人は、決して新しいことに挑戦すべきではありません。
最後に
私自身、本書を読んでいて日々の努力や、利他の精神、謙虚な姿勢など、経営者やリーダーとしてではなく、人として非常に重要な考え方だと思います。
稲盛さんは、少し厳しいイメージがありますが、この厳しさの裏には社員を全力で守ってきた優しさも兼ね備えた方だと思います。
本書には、まだまだ稲盛メソッドがたくさん紹介されています。
稲盛メソッドを吸収したい方は、一度読んでみてください。
稲盛さん